株式会社アジルカンパニー 代表取締役社長 矢内聡郎氏 | |
生年月日 | 1974年11月26日、埼玉生まれ。 |
プロフィール | 3代続く、事業家の長男として、生まれ、事業家の父を見て育つ。 慶応大学を卒業し、いったん大手日用品のメーカーに就職し、2年後、父の会社でもあるアジルカンパニーに入社。 2009年、社長に昇格。父親の跡を引継ぎつつ、弟である専務とも協力し、オープンな会社づくりを目指している。 現在、埼玉県でもんじゃ・お好み焼き「わいず」を9店舗、展開している。 |
主な業態 | 「わいず」 |
企業HP | http://www.agilecompany.co.jp/ |
09年8月から、もんじゃ・お好みの焼きの「わいず」に、ユニークなメニューが4品目、加わった。「プリプリもちシュウマイ」「ドリもん・ドリア風もんじゃ」「とろ〜り えび救出大作戦!!」「きのこバターのお好み焼」がそれ。味はもちろん、ネーミングにも一味違った工夫の跡が伺える。
これら新メニュー。実は、「わいず」主催の「鉄板グランプリ」で入賞を果たした上位4作品。756通の応募の中から、スタッフ80人が試食し、食材のプロたちが厳選な目で選んだ秀逸な作品ばかりである。
この「鉄板グランプリ」をはじめ、楽しくも真剣な催しを企画しているのが、代表取締役の矢内 聡郎。今回は、この青年社長に、スポットを当ててみよう。
矢内は、事業家の家系を継ぐようにして生まれる。祖父も、父も、むろん実業家。事業を行う父を見て育っただけに、商売への意識は幼い頃から芽生えていたそうだ。
とはいえ、影響を受けた父の事業は、けっして順風満帆ではなかった。「父は、ジーンズショップを経営し、5年で6店舗の出店に成功したそうです。この成功をきっかけに、アパレル系の製造卸会社を始めるのですが、これが失敗だったようです」。「その失敗の先に、やがて行き着いたのが、うちの店の前身になる『たこ焼き屋』なんですね」。
父の英甫氏(現会長)は、「賢者.TV」に出演した際に、「数百、数千万円の単位でお金を動かしていた人間が、一皿340円のたこ焼きを売る。落差はあったが、地に足をつけた生き方が、心地よかった」という主旨の話をしている。とはいえ、「たこ焼き屋」では、借金が返済できない、と「お好み焼き」に転業。これが「わいず」のスタートとなる。
一方、商売を志していた矢内だが、大学を卒業後、いったん日用品の大手メーカーに就職。「すでに次男が、父の会社に入っていたものですから、リスク分散の意味もあって、じゃぁ、オレは違う会社に就職しよう、と。ということで2年間、その会社で勉強するんです」。そして24歳の時、矢内は、いよいよ「わいず」を経営する株式会社アジルカンパニーに登場する。
「わいず」は、矢内家の家業に近い。矢内で2代目。しかし、すでに店舗数は、9店舗になり、年商はつぎの一手で10億円に届く勢いである。家業から文字通り法人へと、いまその階段を上っているように思える。そのような視点から、改めて「アジルカンパニー」を捉えると、矢内の立ち位置が明確になってくる。本人がいうように、裏方に徹し、事業の根幹を築くのが、いまの矢内の役割に違いない。
ツートップ。矢内が裏方に徹することができるのも、いち早く同社に入社した次男、裕之氏(現専務)の存在があってこそである。
社長の矢内が裏方に回る一方、専務である裕之氏は、表に出て、現場を取り仕切る。会社の行事も、矢内が企画し、裕之氏が、盛り上げる。互いを補完しあう関係。父の英甫氏から見えれば、嬉しくて仕方がない兄弟の関係だろう。
しかし、実際には、家庭に集まっても話すのは会社のこと。会社の上下関係のまま、会話も敬語になるのだという。それだけ、熱心な事業家の家系ともいえるのだが。父である英甫氏も、次男の裕之氏も、矢内本人も、見据えているのは「わいず」の未来。それ以外の何ものでもない。父として、子ども達の成長に目を細めている暇は、英甫氏にもまだないかもしれない。
会社の特長には、経営者の考えが色濃く反映されるものだ。「アジルカンパニー」にも経営者の、しかも、親子2代の考えが反映されている特長がある。その特長が顕著に表われているのが、社内で行われるイベントの数々。「会社が設立した時から企画している、フットサルやソフトボール・カラオケなどの大会を開催していました。店舗が増えることで参加者も当然、多くなり、いまでは大きな大会になっています。ほかにもアルバイトだけで飲み会を開いたり、OBの連中が集まったりもしているようです」と矢内。とにかく従業員のつながりが強く、イベント参加率も非常に高い。これもまた「アジルカンパニー」の特長の一つ。「職場を離れても、仲がいい」という従業員たちの息の合ったプレーは、職場でも、もちろん発揮される。「わいず」の人気の秘密は、こんなところにもありそうだ。
「とにかく風通しの良い会社でありたい」と矢内。仲間であることを意識し、仲間には正直でありたいという考えから、開かれた会社経営を実践している。
大事だと分かってもなかなか実践できないのが、このオープンな経営だ。しかし「アジルカンパニー」では、月曜の定期会議一つとっても、社員ばかりか、アルバイトも自由に参加できる。垣根は低く、自由なコミュニケーションが活発に行われていることの証だ。
矢内は、社員もアルバイトも同時にかわいがる。こんな矢内に今後の出店計画を聞いてみた。「後、1店舗で、ちょうど10店舗、10億円。大事な節目ですから、いままで以上に慎重になっています」「実は、新店より既存店が大事。これからの人も大事ですが、それ以上にいまの従業員をまず大切にしなければと思っています」という答えが返ってきた。
出店ばかりを追い求めるのではなく、働くスタッフに焦点を当て、彼、彼女らが楽しめるお店、会社運営を行っていこうという意志の表れ。
表の顔は弟に任せ、自身は裏方と称する青年社長。彼の、裏方に徹する、強く、それでいて自由であったかな会社づくりが、スタッフたちの笑顔を支え、お客様の心をわしづかみにしているに違いない。
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