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第213回 株式会社エムアンドケイ 代表取締役 木下孝治氏
update 11/04/19
株式会社エムアンドケイ
木下孝治氏
株式会社エムアンドケイ 代表取締役 木下孝治氏
生年月日 1951年12月1日
プロフィール 石川県金沢市旧裏千菊町(現在の千日町)に生まれる。四人兄弟の末っ子で次男坊である。父は、母親の反対を押し切ってまで職人の道に進み、建築会社を設立した立身出世の人。この父が興した会社を次男坊の木下が引き継ぐ。実業家の父の血を引く木下もまた子どもの頃から独立志向が強く、高校卒業と同時に建築事務所などで修行を開始。27歳で2代目社長となる。後に、この会社を甥に譲り、自らは新規事業を模索。異業種交流を通じ、回転寿司用コンベアの大手、日本クレセントの社長徳野信雄氏と出会い、回転寿司チェーン店構想を描く。1994年、岐阜県内にマーケティング・リサーチのための魚市を出店。翌1995年、従来の回転寿司とは異なる高級路線の回転寿司を開業。現在、「金沢まいもん寿司」をはじめ海鮮料理・和食店を国内外に展開している。
主な業態 「金沢まいもん寿司」「金沢海鮮屋」「魚匠庵」
企業HP http://www.m-kgroup.co.jp/

戦後、力強い復活を遂げる、そんな時代を少年は、駆け抜けた。

北陸地方で古くから栄え江戸時代には加賀100万石と言われたのが金沢市である。加賀藩の藩祖、前田利家はつとに有名な武将の一人だろう。金沢市に生まれ、この前田家に仕えた武将の血を引くのが、今回、ご登場いただく(株)エムアンドケイ、代表取締役、木下孝治である。木下が生まれたのは終戦6年経った1951年である。ちなみに第二次世界大戦の最中、金沢市は大都市のなかではめずらしく空襲を受けていない。兼六園など歴史的な建築物も多く残っているのはそのためだ。だが、戦争のキズ跡がまったくなかったわけではないだろう。各地で戦争のキズ跡が徐々に癒え、高度成長期に入る、昭和を代表するこの時代。木下は、四人兄弟の末っ子として、年が離れた兄弟たちにも可愛がられながら育っていくことになる。「父親が事業を興していましたから、周りと比べれば裕福な家庭だったのでしょう。私が小学生を卒業する頃にはクルマも、テレビもありましたから。父は、幼くして父、つまり私の祖父を亡くし、母である私の祖母に女手一つで育てられてきました。5人兄弟の真ん中です。祖母の言う通りに進学せず職人の道に進んだため、勘当された時期もあったそうです。しかし、父が職人の道に進み、会社を興したことで経済的には助かったのではないでしょうか。父の弟で、私の叔父の一人は、父が金銭的な援助を行い大学まで進学させたそうです。叔父は東京帝大を卒業しています。そういう苦労人の父ですから、無駄使いにはうるさかったですね。代わりに、使う時にはどんと使う。とくに食べ物には、ちゃんとお金を使ってくれて、小さい頃からお寿司屋さんにも良く連れていってもらいました」。

鶏口となるも牛後となるなかれ、は父の口癖。

木下にとって、父の存在は小さくない。インタビューを通し、そういうイメージを抱いた。若くして建築の道に入り、事業を興し成功に導いた事業家としての父を尊敬しているのだろうか。「もちろん、それもある。けれど、私は父の生き様が好きなんです。父から良く言われたのは『鶏口となるも牛後となるなかれ』という言葉です。また、『武士は食わねど高楊枝』なんて言葉も教わりました。とても、プライドが高い人でした」。そういう父の背を末っ子の木下は、いつも眩しく見上げていたのだろう。木下も、やがてこの父に負けないほど、プライドの高い人間になっていく。お金を無駄に使わないことも、これだと思えば思い切って投資するきっぷの良さも父にどこか似ているような気がする。さて、この父の事業を木下が引き継いだのは、27歳のときである。23歳で結婚、24歳で子どもも生まれている。とはいえ、2代目社長となったものの、引き継いだのは事務所と看板のみだったと木下。資金の援助も受けず、取引先もゼロから開拓したそうだ。実質の創業である。小さい会社だが、見事、鶏口となった木下は、この後、どのように会社を育てていくのだろうか。ちなみに引き継いだ事業は建築業。飲食店とはまるで異なる事業である。

異業種交流に熱中。

「いまから考えれば、良くうまくいったなぁと思いますね。だってね、新規にお客様を開拓しなくっちゃいけない時に、頭を下げるのが大嫌いなもんだから頭一つ下げないし、お愛想一つ言えないんです。友だちが家を建てるという話を聞いても、『それなら、俺に』と言えないんですね。とにかく父親ゆずりの性格だったんでしょう(笑)。あるとき選挙があって親しい議員さんを応援していたんです。すると、やっかみなのでしょう。『応援の見返りを期待しているんだろう』って思ってもいないことを言われまして。それで腹が立ったというか、官公庁の仕事は一切やらないと言って、指名願いの申請を全て取り下げた。だから選挙の応援をやったからと言って、私利私欲の願い事は今までに一度も無いことを自負しています」。木下は、金沢市立工業高校建築科を卒業している。たぶんに父の強い勧めがあったからだ。とはいえ、木下自身、建築のことが好きでなければ、新たにデザイン会社を創業したりはしなかっただろう。ところが、そんな木下の軸足が、動く。元来の好奇心と親分肌というか、リーダーの気質がそうさせたのだろうか。徐々に中小企業の経営者たちとの異業種交流活動に熱中し始めたのである。

高級回転寿司、誕生まで。

木下は、異業種の経営者たちとの交流を通じ、新たなビジネスを模索していた。自らビジネスを立ち上げ、新たなマーケットに進出するというダイナミックな仕事に心惹かれたからである。すでに30代半ば。事業もうまく進んでいた。それでも、新たなビジネスへと気持ちが傾いていく。交流会で知り合った仲間たちと実験的な試みも行った。十数名のメンバーたちといっしょに農業関連の会社を立ち上げたこともある。出資金はそれぞれ百万円程度。だがこの会社は、軌道に乗らず解散。それでも、あきらめない。会社を甥に任せ、自らは情報収集やネットワークづくりに奔走した。「怖いもの知らずというんでしょうね。地元経済界の重鎮のような人たちのところへも、どんどん出かけていきました。アポもなしで、出かけていくなんて、いま思えばなんちゅう奴、ってことになりかねないんですが、不思議なことにみなさん快くお会いしてくださって。そこでの出会いが、結局、私の財産になっていくんです。」日本クレセントの社長、徳野信雄氏との付き合いが始まったのも、交流会を通じてだった。日本クレセントは、回転寿司用コンベアの大手であり、社長の徳野氏は回転寿司業界の高級化を促す第一人者でもあった。その徳野氏の熱い思いに触れ、木下は、回転寿司のチェーン店構想を描くのである。ただ、その構想は、「高級江戸前寿司」のディスカウントチェーンであり、従来の回転寿司のマーケットとは異なる層をターゲットにした大胆な発想であり、挑戦の始まりだった。

会社設立。出店が加速する。

1994年、木下43歳。岐阜県内にマーケティング・リサーチのための魚市を出店する。翌1995年、構想通り、高級路線の回転寿司を開業。これが、「金沢まいもん寿司」の始まり。本格的に出店を加速させたのは、1999年、(株)エムアンドケイ設立から。以下、時系列で追ってみよう。1999年4月「かねた寿司 八日市店」出店、2000年4月「金沢まいもん寿司 金沢駅西本店」出店、2002年「金沢まいもん寿司 たまプラーザ店」出店、2003年「金沢まいもん寿司 珠姫 玉川高島屋S・C店」出店、同年11月「金沢まいもん寿司 八日市店」出店、2005年3月 「金沢まいもん寿司 梅鉢亭 名古屋ラシック店」出店、同年年11月「金沢まいもん寿司 港南台店」出店、同年年12月「金沢寿司割烹 魚匠庵」出店、2007年5月「海鮮丼とあぶり焼き 金沢海鮮屋」出店、2009年6月 「金沢まいもん寿司金沢駅店」出店である。事業の幅も飲食店(寿司店、廻転寿司店等)の経営からレストランプランニング&コンサルティングまで広がっている。会社としては12年、構想より現在で19年。木下の大胆な挑戦は、見事な成功を収めたといえる。だが、けっしてすべてが順風満帆だったわけではない。苦境のたびに木下は、「家族に、妻に、そして社員たちに支えられてきた」という。とりわけ、社員たちには感謝の気持ちでいっぱいだ。

プライド高き、経営者が追い求めたもの。

「なんども失敗しました。騙されたこともあるし、投資に失敗したこともある。そのたびにみんなに支えられてきました。落ち込むのは1日だけ。そう1日だけで済むのもすべてみんながいてくれたからでしょう」。そう言いながら、回転寿司に高級化という新たなカテゴリーを生み出した大胆かつ、孤高とも言える自らの軌跡を振り返る。今後の構想もまた大胆だ。「今後は街づくりをやっていきたい。100年、200年、1000年そういう単位で未来の子どもたちに関わっていきたいんです」「少年の心を失ったら終わり」。そういう木下と話していると、こちらまでわくわくしてくる。武士は食わねど高楊枝。プライドの高さは、けっしてマイナスではない。孤高であることもまた人を魅了する。だが、それだけではない。プライド高き木下の、未知なるものへの孤高の挑戦が、周りを引き付けてやまないような気がする。それはかつて木下の心を引き付けた、父の姿であるようにも思えてならない。

思い出のアルバム
   
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