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第32回 株式会社サンティール 田崎真也氏
update 08/12/22
株式会社サンティール
田崎真也氏
株式会社サンティール 田崎真也氏
生年月日 1958年、東京都生まれ。
プロフィール 船員を目指していた高校時代、海辺のスナックでのアルバイトで飲食業の面白さに目覚め転身。フレンチレストランでサービスを経験後、1977年フランスに渡り本場の食材、ワインの勉強に励む。1983年、25歳で日本ソムリエチャンピオンとなり、95年に世界最優秀ソムリエに輝く。
現在ワインスクールを運営する他、複数のコンセプトの異なるレストラン経営を行っている。
主な業態 「フレンチレストラン・S」「和食のお店T」など
企業HP http://www.tasaki-shinya.com/
田崎真也氏といえば、日本にソムリエという職業を広く認知させた人物。1995年の世界最優秀ソムリエコンクールで優勝し、その後若手ソムリエの育成やワインスクールの運営、そしてお酒や食に関する著書、講演、テレビ出演などで広く活躍している。2000年に開催された沖縄サミットでは、首里城で開かれた晩餐会において飲み物・グラス・サービスのすべてをプロデュースし、世界の代表から賞賛を得た。そんな田崎氏がレストラン経営を始めたのは1998年のこと。ワインの素晴らしさを広めるためと思いきや、「日本のソムリエがどうあるべきか」自問自答した結果だという。田崎氏の考えるサービス、ソムリエとしてのスタンスを聞いた。

他の誰でもない、自分自身が突き詰めたソムリエ観

 1995年5月、第8回世界最優秀ソムリエコンクールで世界ナンバーワンソムリエの座を勝ち取った田崎氏は、14年間フランスを見続け、コンクールのためにトレーニングを重ねてきた人生に一区切りをつけた。しかしその途端、「何を見てどの方向に自分自身が進んでいくべきか分からなくなってしまった」という。海外に招かれる機会が増えた田崎氏は、「日本にワインをどう売ったらいいか」アドバイスを求められる立場となる。改めて日本の食文化や酒文化について見つめ直すこととなった結果、行き着いたところは「“日本のソムリエ”としてやるべきことをしよう」ということだった。  船員を目指していた田崎氏は、高校2年の夏、海水浴シーズンだけオープンする海辺のスナックでアルバイトをした。その時、見よう見まねで作ったケチャップだけのナポリタンを食べてくれたお客様の一言が人生を変える。「ごちそうさま、ありがとう」。「お金を払う人がありがとうなんて言ってくれる商売ってこれ以外にあるんだろうかと思いました。素晴らしい世界に出会ったと思いました」。
 自分の進むべき道を確信した田崎氏は、すぐに飲食の世界へ転身する。割烹料理店での調理場、高級フランス料理店でのサービス。ワインの難しさ、奥深さに惹かれていき、フランス行きを決意。3年間のフランス滞在で葡萄畑を回りソムリエスクールを卒業した田崎氏の夢は、「日本の最高級レストランの支配人になること」だったという。
 帰国後25歳で国内のソムリエチャンピオンになった田崎氏は、翌年フランスに招かれ世界チャンピオンと面会する。「鼻高々だった私は、世界との歴然としたレベルの差に唖然としました。世界に追いつき追いこすためには自分自身がチャンピオンにならなくてはダメだと思いました」。
 こうして冒頭のようにコンクールのための本格的なトレーニングを開始する。場所はホテル西洋銀座。面接で「コンクールに勝つために働きたい」とアピールし、翌日から受け入れられてのことだった。そして37歳で世界最優秀ソムリエに輝くが、その後、世界舞台で聞かれ考えるのは日本の酒文化のこと。「日本のソムリエは海外文化を日本に持ち込むだけでなく、日本の文化を海外に広めることでもある」。最高級レストランの支配人になるという夢は変化していた。


「美味しいお酒」=「楽しいお酒」。ソムリエはそのお手伝いをする職業

 「ごちそうさま、ありがとう」。この言葉で飲食の世界に入った田崎氏は、基本に立ち返る。「日本の酒文化は居酒屋文化なんです。厚揚げをつまみに300円のお酒を飲む。それで美味しいねと言っていただくことがサービスのベースなんです」。“日本のソムリエ”としてやるべきことは、まず日本に根付いた楽しいお酒のためのサービスをすることだった。日本酒や焼酎や日本のワイン。ソムリエならまず自国のお酒を知り、それらを最適な環境で提供していくるべきなのではと発想して始めたのが「焼酎居酒屋・眞平」だ。またフレンチレストランも始めるが、そのコンセプトは“日本のソムリエ”らしくというか、田崎氏らしくユニークだ。
 「3000円から200万円までのワインが8000本ラインナップされているとしましょう。一見選択肢が豊富なようで、実はそうではないんです」。田崎氏の「フレンチレストラン・S」は、アラカルトのようなコース料理を1種類(3800円)だけ置き、同じ1本(750ml)3800円の選び抜いたワインを300種類用意している。「ポケットマネーで来ていただける店、もう一軒行かなくてもきちんと酔えてそのまま帰宅できるレストランにしたかった」。
 結局、コース料理が3種類あるから見栄をはらなければならず、上には上のワインがあるから食事をしていてもそわそわして楽しめない。そういうレストランをソムリエがやることは、本当の実力を持ったソムリエがやることではないと田崎氏は言う。「美味しいお酒というのは楽しいお酒です。見栄ではなく味の好みでワインを選べて、楽しく美味しく時間を過ごしていただくのが本来の食事のシーン。そのかわり、きちんとお薦めできる確かなワインだけを揃えています」。
 「フレンチレストラン・S」は開店6年目を迎えたが常に満席の状態だという。


地産地消の意味

 最近、食の安全の問題で地産地消という言葉をよく耳にするようになった。この言葉、多くは地元で採れたものを地元で消費することと捉えている人が多い。それは違うというのは田崎氏の弁。「その土地の人が伝統的に培ってきたものや食べ方を見直し、進化させることです。地元の食に誇りを持つというのが本来の意味なんですね」。
 東京生まれで釣り好きの田崎氏は、よく伊豆七島に行く。ちょうど三宅島の噴火があった年だという。地元の食文化に注目してみると、焼酎や明日葉、くさや、島鮨など、島独自の食べ物があることに気づく。そして多摩地区にまで目線を広げてみるとお茶やワサビ、柚子こしょう、そして日本酒やビール。東京湾で捕れる魚も多い。実に様々な食材が豊富であることに気づく。「東京の食材だけを出すお店をやろう!」。地産地消ワーストワンの東京のためにもなるし、何より東京自慢ができる。こうして「和食店・T」をオープンさせる。
 「元は茶屋だった一軒家をそのままレストランにしました。港区愛宕の山の上にあり、夜あたりは真っ暗になってしまいます。もちろんぶらりとお客様が入ってくれるようなお店ではありません。しかしコンセプトがしっかりとしたお店ですからお客様は来てくださいます。ミシュランのレストランが郊外にあるのと同じですね。行く意味があるレストランならばお客様はタイヤをすり減らしてでも来てくださるものです」。
 田崎氏が焼酎の店を出すと焼酎ブームに、ワインの店を出すとワインブームに。そして東京の食材だけを扱う店を出すと地産地消が話題になる。何か流行を先取りする技のようなものがあるのかと尋ねてみた。
 「それはたまたまの偶然です。私の趣味は食べること。自分でお店を探して、特に昔から長く続いているお店に行ってカウンターで何でだろう?なんて考えながらお酒を飲む。するとやっぱり、お店の人の魅力だったりするんです。自分がここでお店をやるとしたらどんなお店にするかな、なんて想像するのが発想の原点です」。


明日はもっと素晴らしい仕事をしようという発想のみが進化に繋がる

 フランスに渡る資金稼ぎのために半年間一日16時間働き続けた日々。世界最優秀ソムリエになるため14年間勝つためのトレーニングに専念した日々。楽しいお酒の場を提供するために考えに考え抜く日々。田崎氏の仕事の原点は進化であり、そのために明日はもっと素晴らしい仕事をしようと力を抜くことをせず、さらにそれを継続することにある。
 「コンクールに勝つ知識をつけるためにたくさんの時間を費やしてきましたが、私はワインオタクではありません(笑)。私の本業は“楽しいお酒の場を手伝ってくれてありがとう”と言われるサービスなんです。ですからもし、サービス業を目指す方になら私のやっていることが参考になるかもしれませんね」。
 ただ田崎氏はこうも言う。
 「目標とする人に近づこうというネガティブな発想をするのではなく、その人を越えようとすること、人と違うことを発想する想像力をつけることが大事なんだと思います。他の人の流儀をマスターしても、その人には勝てない。自分らしい違う方法でトレーニングするから壁を越えることができます。結局勉強の仕方、方法論は自分で考え出すしかないんです」。
 なるほど。とは思うが非常に難しいことでもある。
 「いや、簡単です。美味しい鉄火丼を食べたら、二度とその店には行かないんです。もっと美味しい店を自分の力で探し出せばいい」。
 努力する。死ぬほど辛い思いをする。田崎氏の仕事観はまさにそれ。「楽しいことはプライベートで思いきりやればいいんじゃないかな」。一流のサービスは、まずなにより自分自身に真摯で厳格なことから生まれるということに改めて気づかされた。

思い出のアルバム
思い出のアルバム1 20才の時、フランスボルドー地方のワイナリーを歩いて見学して回っていた頃
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