株式会社アデッソ 代表取締役 岩田真理氏 | |
生年月日 | 1961年、埼玉県生まれ。 |
プロフィール | 学生の頃からイタリア料理店のキッチンやホールで経験を積む。人材派遣会社で営業職なども経験した後、1996年に独立。カジュアルイタリアン「ひいき屋」を出店。1999年より人気のラーメン中華「七匹の子ぶた」を展開し、現在、24店の飲食店を展開している。 座右の銘:成功は失敗の彼方にある。但し、その失敗は常に新しくなければならない。 |
主な業態 | 「七匹の子ぶた」など |
企業HP | http://www.i-adesso.co.jp/ |
ラーメン中華「七匹の子ぶた」や餃子の「赤丸餃子軒」など、関東で現在、25店の飲食店を展開しているのが株式会社アデッソ。景況悪化が叫ばれるにもかかわらず、同社では現在、全店舗で黒字を記録。売上高は対前年比110%で推移している。
同社のメインブランドとなっているのが「七匹の子ぶた」。愛嬌のある子豚のキャラクターを店に配したブランドで、現在9店舗を展開している。ラーメンはとんこつと鶏ガラがベースで、一頭の豚から4本しか取れない厳選したげんこつや国産丸鶏、高級店などで使われている頭昆布などを使用しているのが特徴だ。
メニューはラーメンだけでなく、小ラーメンと餃子のセットメニューや、立地によっては酒肴料理も用意。リピーター率が高く、どの店舗においても女性の“おひとりさま”も掴んでいるのが同ブランドの特徴だ。
「学生の頃、ホールを担当していたのですが、キッチンでハンバーグなどが次々と出来上がっていく光景に圧倒されました。まるでマジックのようでした」と話すのは、同社代表取締役の岩田真理社長。レストランでのアルバイトがきっかけとなり、岩田氏は飲食の面白さに目覚めたという。
「レストランのアルバイトを通して、飲食に対する興味がわき、いろんなお店に行っておいしいものを味わうようになりました。そのたびに“これを本気で仕事にしたい”と思うようになりました」と岩田氏は話す。
そして本格的にフランス料理店でコック見習いからスタート。もともと器用な方だった岩田社長は、フレンチの伝統的な技法をすぐにマスターした。しかし同時に、ある思いが浮かび上がってきたともいう。
「フレンチはお客様がいつも一緒。限られたお客様だけが、高いお金を出して食べるもの…」。そう考えた末、岩田氏は「いつかもっと多くのお客様に日常的に食べていただく料理を提供したい」と意識するようになったという。
そして独立後、カジュアルイタリアンやラーメン業態など、幅広い客層に支持される店で次々とヒットを飛ばしていくのである。
同社(当時 株式会社ひいき屋フードシステムズ)は1号店から大繁盛した。20坪程度のカジュアルイタリアン「ひいき屋」では月商850万円を達成。いつも行列ができる店として、マスコミ各社から取材が殺到した。
当時の人気の要因を岩田社長は次のように話す。
「ひいき屋は当時、カジュアルイタリアンの草分け的存在でした。さらに当店では、いちはやく生ハムやゴルゴンゾーラチーズなどの本格イタリア食材を使い、そのことがすぐに話題になりました」。
しかし「ひいき屋」では2店舗を出店した後、ガス器具の不良によるガス爆発事故が起きてしまう。お客や従業員、関係者に大変な迷惑をかけることになり、「この時ばかりは、もうダメだと思いました」と岩田氏は当時を振り返る。
しかし社員(現、役員クラス)は、落ち込む岩田社長と一緒に暗い顔をするのでもなく、明るく励ますのでもなく、「しょうがない。またこれから、やっていくしかない」と淡々と話したのだという。冷静で、前向きな周囲の態度が社長を励ますことにもなり、次のヒット業態「七匹の子ぶた」が誕生するである。
「七匹の子ぶた」では、若い女性客がメインの「ひいき屋」で培ったノウハウが存分に生かされている。女性の“おひとりさま”向けのメニューまで用意され、女性客や家族連れ、サラリーマン、カップルなど、幅広い客層を取り込んで、現在も店に行列を作っているのだ。
同社はこれまで、“ハコ(飲食店)ありき”で人を採用してきたという。例えば飲食店をオープンするので、そのために人を配置する、というやり方だった。しかし今後は、「まず人を育て、人が育ってきたところで、その人と一緒にコンセプトから考え、“人ありきの店舗展開”にしていこうと考えているところです」と岩田社長。人が店のコンテンツのひとつになるような店づくりを実践していきたいと話す。
そのためにも同社では、上昇志向の強い人がどんどん成長していけるように、インセンティブ制を導入した給与体系にしている。具体的には、店舗の最終利益の5%を社員の給与にプラスするという仕組みだ。しかも今後は、5%という数字をさらに引き上げていくことも検討中だ。
同社の社名のアデッソとは“いま”の意味。「常に大事なのは過去ではなく、今です」といつも前向きな姿勢でチャンスをものにしている岩田社長。今後は中華と和食の2つを主軸に据えながら、さらなる躍進を実現していく構えだ。
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