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第51回 ダイタンフード株式会社 代表取締役社長 丹道夫氏
update 09/07/14
ダイタンフード株式会社
丹道夫氏
ダイタンフード株式会社 代表取締役社長 丹道夫氏
生年月日 1935年生まれ、愛媛県西条市出身。
プロフィール 東京栄養食糧専門学校卒業後、4度の上京を経て埼玉県川口市で弁当屋を開業。その後、友人とともに不動産業を営み、月商7億円を売り上げるまでに成長。1966年、「富士そば」の原点となる立ち食いそば店を東京・渋谷でスタート。1972年、ダイタンフード株式会社を設立して独立し、立ち食いそば店「富士そば」の経営に専念。
現在、「富士そば」を79店舗展開。経営者の傍ら、作詞家としても活躍中だ。
主な業態 「富士そば」
企業HP http://fujisoba.co.jp/

創業は昭和47年。立ち食いそば店の草分け的存在

人通りの多い駅周辺の一階店舗を中心に、24時間営業の立ち食いそば店「富士そば」を展開しているのが株式会社ダイタンフードだ。現在は都内の他、埼玉・神奈川・千葉も含め、合計79店舗の店を構えている。
“安くて旨い”をコンセプトに掲げる同店で、一日5万食も販売している主力メニューが日本そば商品だ。蒸した麺などを一切使わずに、注文ごとにそばを茹でて、その都度、水で冷やしてしめたものを提供する。
一方、そばつゆのだしは、静岡県の焼津から直送されるかつお節と、北海道・日高産昆布を使い、各店ごとに毎朝だしをとっている。立ち食いのそば店ながら、手間暇かけた内容でおいしさを追求している点が成功の要因になっている。
他に、メニューにはカツ丼や天ぷらも用意して人気。昭和47年の創業以来、気軽に入店できる“立ち食いそば店のパイオニア的存在”として、サラリーマンなどの人気を、長年、獲得し続けている実力派企業なのである。


他人のために無償ボランティアで始めた店が、後に大ヒット!

同社代表取締役の丹道夫氏はこれまで、弁当屋、不動産業など、さまざまなビジネスをゼロから手がけてすべて成功させてきた敏腕経営者だ。
「最初にスタートさせた弁当屋は、田んぼのど真ん中にありました」と微笑みながら説明しだす丹社長。閑散とした郊外立地にもかかわらず、弁当屋は瞬く間に地元で評判の店となったという。そしてその繁盛ぶりに目を付けた不動産業者がある日、丹氏に近くの駅前物件を紹介した。「いい場所があるのでそこにも出店したらどうか」と。
丹氏は当時、商売を拡大させるつもりはそれほどなかった。しかし、「不動産業業者が物件を借りてくれ、と頼んできたので駅前の物件で立ち食いそばの店を始めました。“情けは人のためならず”という言葉が念頭にあって、不動産屋さんのためと思って、私は無償で立ち食いそば店を始めました」。
丹氏の人間力が最初に輝きを放ったのはこの瞬間である。“情けは人のためならず”の言葉通り、他人のために一銭も受け取らずにボランティアで始めたそば店が、後に、30年以上も続く大ヒット業態へと成長するのである。他人のためにはじめたことが、自分へと戻ってくるのである。


腹筋20回、粗食、断食…etc。健康管理に貪欲な敏腕社長

丹社長は経営者にしては珍しいほど温和な人柄だ。しかし一方で、自分自身には非常にストイックな一面も併せ持つ。特に自分の健康管理においてはこの上なく厳しい。
毎朝の日課は腹筋20回。朝食にはバナナ1本。タバコは一切吸わない。接待の時は付き合いで余分に食べなければいけないことを意識し、普段から粗食を徹底している。このような生活を若い時から実践してきた。
さらに40代の時は、100日間にも及ぶ“断食”を敢行したという。「まず毎朝6時に起きて20kmのランニングをしました。その後、梅干しひとつを食べて、お茶を飲みました。午後の3時には大豆ハンバーグを食べました。とにかく超人的に健康な人間になりたかったのです」と丹社長。
「もともと一度やり始めたら粘り強い方」と自認する丹社長は、健康管理においてもビジネスにおいても、やり続ける持続力を自身の真骨頂としている。
「私はどちらかと言うと、ひとつのことに集中して粘り強く続けられるたちですが、それが苦手な人はたくさんいます。一瞬だけ集中できても、それを持続できないという人が多いのです。そういう人には、同じような目標を掲げる友達を作ることをおすすめします。友達に負けないように!と思ううちに、続けられることが多いですよ」とアドバイスする。


「賢い犬は嵐の中、地面に這う」。不況でも強さを発揮する秘訣

100年に一度の大不況と言われる昨今だが、長年、経営者として手腕を発揮してきた丹社長にとっても、「今回の不景気は初めての経験」なのだそうだ。そして丹社長は、長年の経験から、「こういう不況時は、あえてアクションを起こさないでじっとしているのが得策。動かないのも戦略のひとつ」と判断している。
“嵐が来ると賢い犬は地面に這う”という言葉があると話す。「愚かな犬は嵐が来るとキャンキャン走り回ってしまうけど、地面に土埃が立って周囲が見えなくなるだけ。つまりあせっても自分を見失うだけ。賢い犬ほどじっと地面に這って嵐が過ぎ去るのを待つのです」と丹氏は説明する。
今の時代、安易に商品価格を安くしたり、売り方を変えたり…ということはあえて控えた方がいいのだという。小手先だけを変えてもあまり意味がない。それよりも、基本的なことや、やれることを再徹底させることの方が重要なのだ。例えば社長の場合、自身の健康管理もそのひとつ。 経営者としてだけでなく、作詞家としての顔も持つ丹社長。ビジネスでも趣味ででも、「“仕込み”に集中することが後の成否を分ける」と話す。社長にとっての健康維持は、ビジネスの“仕込み”のひとつなのかもしれない。

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