株式会社シーセカンド 代表取締役 佐賀久芳氏 | |
生年月日 | 1961年、東京生まれ。 |
プロフィール | 慶応大学卒業後、大手アパレルショップに就職するが、2年ほどで家業の苦境を知り、退職。 家業を継ぐ道を選択する。それまで1店舗だったショップを一気にチェーン店に。 その一方で、飲食事業にも乗り出し、人気店に育てる。 あるセミナーに参加したことで、サブビジネスだった飲食事業がメイン事業に。 こちらでも、一気に多店舗化を推し進めるようになる。 |
主な業態 | 「ラ・シェンナ」「月味座」「2538」 |
企業HP | http://www.c-second.com/ |
北千住にカジュアルなイタリアレストランをはじめ、和風ダイニングバーなど5店舗を展開するシーセカンドは、レストランの運営以外にも、レディースセレクトショップを11店舗(うち1店舗はアウトレットショップ)を展開する、飲食とファッションが融合した新種の会社だ。社長は、慶応大学卒業の48歳。北千住の生まれである。彼の過去を追ってみた。
子どもの頃からなにかビジネスをすると決めていた、と社長の佐賀は語る。アパレルショップを経営する父親の影響もあったが、業種などは一切決めず、ただ漠然とそういう思いを抱いていたそうである。もちろん、その思いが具体的に動き出すのはまだまだ先の話。
小学校5年生の頃から、受験を意識するようになった。今思えば両親に乗せられていたのかもしれない。ともかく、両親がいいという「慶応」に行くと決め、猛勉強を開始した。だが、結果は失敗。青山に進むことになる佐賀だが、そのときの悔しい思いを忘れず、3年後、きっちり慶応付属高校に合格。リベンジを果たしている。大学へは、そのままエスカレーターで進学。晴れて慶応ボーイになった。大学時代は、他の学生と同様に、遊びとアルバイトに精を出す。4年間で無事卒業できたが、いまでも、「よく、留年しないで卒業できたものだ」と思っているそうだ。
就職は、アパレルメーカーの大手「鈴屋」へ。これが、社会人第一歩である。とはいえ、もともとサラリーマンになる気がなかった佐賀は、「服飾の勉強をするつもり」で、入社している。配属されたのは店舗ではなく、本部。佐賀いわく「接客には向いていないと思われたのでは」ということだが、この本部での仕事が、おもしろくて仕方なかったようだ。「なんでも自由にやらせてもらえました。販促の企画などが中心。なかにはコンサートをからめた大掛かりな企画も行いました。成功したのもあれば、失敗したのもありましたが、入社1年目からこんな仕事ができるとは思っていませんでしたし、実際何でも自由にできたのでサラリーマンになった気がしませんでした」と当時を振り返る。
家業のアパレルショップが苦境に立たされつつあった。鈴屋、就職2年後のことである。「北千住にルミネという駅ビルができることになって、路面店の経営が苦しくなってきたんです」。それで、鈴屋を退職。家業の経営に乗り出すことになった。しかし、鈴屋でも路面の経験はゼロ。思考錯誤の末、なんとか店舗を広げていくことが出来たそうだ。
さて、こんな佐賀と飲食店は、どのように結びついていくのか。8店舗ほど展開した際に、佐賀は飲食店を出店している。特に意味はなく、ただ儲かれば…と言う軽い気持ちで始めたそうだ。やがて、何気なく始めたこの飲食業が、彼にとっても大きな意味を持ってくるのだが、そのときはまだ、試しに始めた事業の一つに過ぎなかった。
アパレル事業にのめり込む人もいれば、飲食業に人生を賭ける人もいる。その2つを天秤にかけたとき、どちらが重いかは、何をしたいかに関わってくる。
生産から供給まで一気通貫のシステムを構築するのはアパレルではリスクも大きすぎる。その点、飲食業はメーカーであり、サービス業。生産から供給までをワンストップで行える数少ない業種であったことがまず一つ。もう一つは、あるセミナーに参加したことによって、改めて自分を見つめ直す機会があったことである。
「それまでは、100億の社長になる!なんて考えていたんですが、何のために仕事をするのかと問い直したとき、ふと、100億円という目標がどうでもいいように思えてきたんです。それよりも、スタッフと同じ方向を向いて、いっしょに仕事をする。部下が、自分から声を上げ、こんなことをしたい!といってくる。その瞬間がうれしくて、『この瞬間をつくることにこそ価値があるのだ』と考えるようになったんです。飲食業は、そういう瞬間を作れるビジネスであることにも気づいたんです」。
その気づきを経て一気に3店舗の出店を果たす。いまの目標がなにかと聞かれたら、社員のライフプランと会社のライフプランを両立させていくこと、と答える。そのためにも、「まず、北千住で一番のお店になろうな」といっているそうだ。
佐賀が飲食業と真剣に向かい合ったのはつい最近のことだ。社員たちと、また自分の素直な気持ちと真正面から向かい合い、そのうえで飲食事業を推し進める決断を下した。いま、その飲食業の魅力にハマっている、といえば怒られるだろうか。
「アルバイトの子のほうが、おもしろいことを考えたりして、それも勉強になります。社員からもいろいろと学ぶことがある。人と人。それが本気で関われるのが飲食業なんですね」。いま従業員には、「社長になれ」と言っているそうだ。実際に、既存店を譲る考えもある。
いつかビジネスを起こしたい、そう思っていた少年が、いつの間にか、自分の下に集った社員たちに「ビジネスを起こすように」とハッパをかけるまでになっていた。
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