株式会社zans 代表取締役 水谷大輔氏 | |
生年月日 | 1974年12月7日 |
プロフィール | 京都市南区出身。高校中退。家業の手伝いをはじめ、大工など様々なアルバイトに就いた。その数、30種類以上。28歳、上京し、和食、ワイン酒場などを経営する株式会社エヌイーエスに就職。2年半、勤務し、業務委託として独立。その後全店舗を取得。2006年11月20日、会社設立。同年12月7日、のちに本店となる「艶酒健菜 よござんす(港区芝大門)」をオープンする。 |
主な業態 | 「代表鳥締役 かいかぶり」「ドラゴン餃子 Ryuo」「新宿 思ひ出酒場 えんなすび」「艶酒健菜 よござんす」他 |
企業HP | https://zans.jp/ |
長野の高原は、風が透明で天空はどこまでも青かった。
「経験したアルバイトは種類だけでも30種以上」といって、今回ご登場いただいた株式会社zansの社長、水谷大輔氏は笑う。長野の話も、じつは農家のバイトの話。
水谷氏が生まれたのは、1974年12月7日。京都市の南区出身。父親は、友人と共同でプラスチック製造の会社を経営されていた。母親もはたらいていので、かぎっ子だったそう。
5歳離れた妹がいる。
「小学校の頃から、活発なほうでした。スポーツは苦手だったんですが、小学生の頃は野球もやっていました」。
中学は、地元の洛南中学。全校で生徒3000人ほどのマンモス校だ。そのなかでも、成績は常にトップクラス。超名門の洛南高校にも、70〜80%の確率で入学できる成績だったというから、すごい。しかし…。
「じつは、成績がいいのは中学2年までの話なんです/笑。3年からちょっと道を外したっていうのか/笑」。高校にも進学はしたが、2学期になる前に卒業してしまっている。
「それからですか? 大工を3年くらいやって、親父の会社でもはたらきました。こちらは4〜5年です」。
父親が経営する会社の取引先は、京都の大手メーカーが主。業績は悪くない。
「共同経営者が、岩崎さんって人で、私の最初の師です。親父が営業で、岩崎さんが技術。私は、岩崎さんから様々な思考やアプローチの方法を教えていただきました」。
ぜんぜん、人をほめない方だったらしい。「でも、たまーに『いいな』、なんて言われる時があって。ふだん、ほめられないもんだから、その一言がうれしくて。ハイ、自信を生む魔法の一言でした」。
4〜5年も務めたのに、会社を継ぐ意思はなかったのだろうか?
「ぜんぜんなかったですね。まだ若かったし。5年目でも、まだ23歳です。高校を辞めてから、大工も経験しましたが、いっても小さな世界です。それで、23歳だと思うんですが、外の世界をみてみようと。長野で百姓をしたのも、その時です」。
28歳になるまでの、およそ5年間。流されるように、渡り歩いた。ただし、この5年は無駄ではなかったはず。人は、そうやって人間の幅を広げるから。しかし、水谷氏はどこにたどり着くのだろう。
「リゾートバイトってあるでしょ。その時、知り合った子といっしょに東京に行きます。そして、飲食店を紹介してもらって。ハイ、その店のオーナーが、私のもう1人の師である山口氏です」。
水谷氏が、紹介された店というのは、株式会社エヌイーエスの運営店である。その会社のオーナーであり、代表取締役が山口義成氏。和食、ワイン酒場、沖縄料理、鉄板料理、創作ダイニングなど、バラエティ豊かな店舗展開を行っておられる敏腕経営者だ。現在、店舗数は、30数店舗オーバー。
そして、弟子である水谷氏のほうはというと、現在、おなじく業態の異なる飲食店を6店舗運営している。「かいかぶり」や「えんなすび」などとネーミングにもヒネリが利いていて、面白い。もっとも、店名は、山口氏やスタッフが名付け親だそうだが。
「ともかく、今の原点になるのが、エヌイーエスですね。山口社長に採用いただいて、すべてがスタートします」。
最初の1年間。休みも返上した。何も知らないから、時間でカバーするほかない。明るく、楽しく。何ヵ月経った頃だろうか。月商は、過去最高に。
「あの頃は、やるしかなかったですね。エヌイーエスも出店攻勢をかけていましたから、店長、マネージャーに昇格。2年半で、私自身は独立しました。最初は業務委託です」。
いよいよ、水谷ワールドが始まる。しかし、水谷氏が偉いと思うのは、けっして独りよがりにならず、ちゃんと山口氏の方法論をトレースしている点だ。ちなみに、山口氏とは今でもファミリーとして付き合う仲だそうだ。
会社設立は2006年の11月20日。本店となっている「艶酒健菜 よござんす(港区芝大門)」は同年12月7日、水谷氏の誕生日と同じ日にめでたくオープンしている。
「独立したのは31歳です。当初から100年、100店舗という目標をかかげています。12年経った今は、6店舗です。来期まで10店舗を出店する計画です」。
エヌイーエス同様、バラエティに富んでいる。
「一度、出店すれば、おなじブランドでつづけていきたいですね。飽き性っていうのか、私自身は、バイトもいろいろ体験しましたが、やはり贔屓の店っていうか、なじみの店っていうのは、かわらないのがいちばんだと思うんです。ホームみたいな、ね」。
「お客様にも、思い出がある」と水谷氏はいう。その思い出を大事にしたいのだという。このように、自身がオーナーの店を客目線でみることができる経営者は、何人くらいいるのだろうか。
「山口代表に、洗脳されている部分もあると思うんですがね」と茶目っ気に笑いながら、そういう。
とにもかくにも、人が元気になれば、街は元気になる。街が、元気になれば、人も元気になる。案外、元気は循環しているのかもしれない。その真ん中に、水谷氏がつくる店がある。
それが、いちばんの未来図かもしれない。
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