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第698回 株式会社T.K-BLOCKS 代表取締役社長 木下威征氏
update 19/04/09
株式会社T.K-BLOCKS
木下威征氏
株式会社T.K-BLOCKS 代表取締役社長 木下威征氏
生年月日 1972年10月4日
プロフィール 辻調理師専門学校を首席で卒業し、フランスに留学。フランス校でもトップの成績を取り、本場の三つ星レストランで修業。帰国後も、有名レストランで研鑽を積み、2008年に「AU GAMIN DE TOKIO」をオープン。オーナーシェフとして腕をふるう一方、TVや雑誌にも多数出演。現在レストランのほか物販店含め7店舗を経営するオーナーシェフ。2019年秋、宮古島にPrivate Villaをオープン予定。
主な業態 「AU GAMIN DE TOKIO」「TRATTORIA MODE」「深夜食堂はなれ」「Plaque cuisine de GAMIN BLOCKS」
企業HP http://www.gamin2008.com/

お爺さんは、神戸牛の生みの親。

「ハイカラな爺さんだった」。今回、ご登場いただいた株式会社T.K-BLOCKSの代表、木下威征氏は、そう言って目を細める。
「95歳になっても、サングラスをかけハーレーダビッドソンを運転していました。『まだ目も悪くないわ』なんてつっぱって/笑」。
木下氏の祖父は、資産家でもあったそう。「淡路島のどれくらいでしょうか。かなりが爺さんの土地だったらしいです。のちに『金なんていらん』といって、兄弟らにあげちゃったらしいんですが…」。
木下氏の祖父が、成功したのは、戦後淡路島に広大な土地を買い、米軍と組んで「神戸牛」を生みだしたことによる。いうならば、「神戸牛」の生みの親。調べてみると、淡路島は和牛の一大生産地だった。
「小さい頃は年1回、親父といっしょに爺さんのうちに行きました。私が料理に目覚めるのは、もっと先なんですが、源流は、この時かもしれません」。
どういうことだろう? 
「実は、親父の妹、つまり叔母が淡路島の老舗旅館に嫁いでいたんです。親父は、当時、弁護士を辞めて会計士の仕事をしていましたので、叔母の旅館の財務などをみてあげていたんでしょうね。私は、親父が仕事をしている間、キッチンで遊んでいた。その時見た、料理人がかっこ良かった。いま思い出したんですが、そういう『かっこいいな』って思いが、私の頭にずっと残っていたのかもしれませんね」。
淡路島行は年1回の楽しみ。祖父の武勇伝を聴くのも、楽しみだった。祖父も、木下氏を溺愛したことだろう。ちなみに、木下氏は1972年、東京都の多摩市に生まれている。

「いちばんになれ!」父との約束。

「小学校の頃は、リトルリーグで野球をしていました。ピッチャーで、四番で、キャプテン。漫画みたいでしょ」。クラスでも人気者。将来はプロ野球選手。そういう選択肢がないわけではなかったが、中学で野球は辞めてしまう。といっても運動神経はあいかわらず抜群。イケメンだけに、目立っていた。
「当時は、ビーバップハイスクール全盛期ですからね。不良が、アイドルだったんです/笑」。木下氏も、ある時期、やんちゃな世界で活躍する。
「料理の世界に入るきっかけは、一冊の本です。題名は『料理王国』。その本をペラペラめくっていると、偶然ですが、辻調理師専門学校の広告があって。それをみて『おれは、ここに進もう』と直感的に、そう思うんです」。
もちろん、きっかけもあった。
「昔、母の真似事でチャーハンをつくって、仲間にふるまった時があって。その時、みんなが口々に『旨い』っていうんですね。その時のうれしさが心に残っていました。これも私が料理人を志す最初のきっかけだったんだろうと思います」。
それで、辻調理師専門学校?
「親父にもハッパをかけられ、『辻調理師専門学校に行くならいくで、それでいい。学費もだしてやる。しかし、ぜったい1番になれ。それが、約束だ』って」。

料理の東大を首席で卒業。

「私は辻調理師専門学校の東京の1期生です。MVPを獲ればフランス校への留学費用が免除になるという制度があって、私は親父との約束にも背中を押され、MVPをめざします。辻調はご存じの通り、料理界の東大と言われていました。ハイ、1年制です」。
いちばんになると言っても、木下氏に調理の経験はない。周りは旅館や料亭の息子。かないっこない。しかも、中・高と勉強とは縁遠かった。
「笑い話にもならないんですが、『アイハブ』がわからなくて、『先生に何ですか?それ?』って。すると、先生が『君はぼくをバカにしているのかね?』って/笑」。
ただ、その先生が、いい先生だったらしい。「事情を話すと、『そうか、わかった。オレも昔は…』っていって特別授業をしてくれるんです」。
「その方のおかげもあって」と木下氏。
 当初は、下からいちばんだった成績が、卒業する時には、約束通り上から1番になる。全教科、満点。「首席」となって卒業する。むろん、MVPにも選ばれ、晴れてフランス留学をいとめる。
「今度は、フランス校です。各地域からMVPに選別された優秀な生徒たちがやってきます。そのなかで1位を取れば、三つ星レストランで研修を受けることができました。こちらでも1位になって権利をゲット。三つ星レストランに研修生として送り込まれます」。
辻調理師専門学校を「首席」で卒業。フランスの三つ星レストランで、研修。一度、帰国し、再度、フランスに渡っている。箔がつく。もっとも、まだ10代。いまから本格的に修業を積み重ねることになる。
以前、著名なシェフに「料理にもやはり天賦の才ってあるんですか?」と直截にたずねたことがある。「ある」とそのシェフは言下にそう呟いた。むろん、いくら、天賦の才といっても、なにもせず花開くわけではないだろう。問題は、どこで、どんな修業をしたのか。ホームページで、話のつづきを追ってみた。

2008年に「AU GAMIN DE TOKIO/オー・ギャマン・ド・トキオ」を開店。

ホームページには<帰国後は、レストラン業界で話題となった「AUX BACCHANALES/オーバカナル」で5年、その後9年白金台「MAURESQUE/モレスク」で料理長を経て独立し、2008年に「AU GAMIN DE TOKIO/オー・ギャマン・ド・トキオ」を開店>となっている。
現在地は、むろん、言うまでもないだろう。
ホームページを追いかけると<「GAMIN/いたずら小僧」の名のように、枠に囚われず、フランス料理店の常識を覆す全対面オープンキッチンでライブ感溢れる中、お客様との距離感、お客様へのおもてなしの心に重きを置き、「一食入魂」の想いを胸に日々厨房にて腕を振るっている>とある。
TV出演も多く、雑誌にも度々登場されている。ちなみに、海外の雑誌では「世界で活躍するシェフ」と紹介されたこともあるそうだ。

オレたちにはもっと欲しいものがある。

そのホームページの洗練されたイメージとは対照的だが、木下氏が設立した株式会社T.K−BLOCKSは、熱い「義理人情」で成り立っているという。人間、木下氏がよく表れてもいる。
「父親は会計士ですが、息子の私は何もわからない。経理も法務も習ったことがないから、じつは契約書だってちゃんと読めなかったんです。だから、いろんな意味でたいへんだったし、『そんなバカな』って経験もしました」。
腕がいいから、だけでオーナーシェフは務まらない。なんとかしようと思っても、どうすることもできないこともあった。
「スタッフのことも、その一つです。ある時、つくづく飲食の限界を知るんです。だって、そうでしょ。みんなのことを考えたら、休みはないし、給料は低い。ボーナスだってだしてやれない。私はそうじゃなかったですが、いい思いをするのは、オーナー1人。だから、みんな独立しようとして、そして、たいていの人が失敗する。リスキーですよね。ぜんぜん、よくない」。
そんな状況をなんとか、改善したいと悩む。悩んでも、方法がみあたらない。思いあまって、常連客だった著名な投資家に相談する。
「ファンドをつくって、投資すればいい。そうすれば、巨大化し、チェーン化できる」。
そういうアドバイスだった。
「そうなれば、休みも、ボーナスも、キミのいう通りになる。ただ、キミの会社じゃなくなるけどね。それでいいなら、いくらでも相談にのってあげるよ。ファンドと組むかい?」。
木下氏は、はらをくくる。幸せになる権利は、オーナーだろうが、スタッフだろうが、平等だ。「ファンドと組むか?」。その答えを出す権利を、当時いた10名のスタッフに聞いてみた。
「みんなで決めろ。オレはそれに、従う」。
「ファンドに」という話になれば、木下氏はオーナーではなくなる。むろん、そうはなりたくない。しかし、いまのままでは労働条件の改善もままならない。
目をつぶった。が、会話がはじまらない。うっすらと目をあけると、みんなが木下氏をみつめている。答えは決まっていた。
「オレたちは、伊達に義理人情でやってきたわけではないです。たしかに、金も、休みも欲しい。でも、オレたちにはもっと欲しいものがある」。それは何か。もう、言わないでもいいだろう。
現在、木下氏は、「AU GAMIN DE TOKIO」「TRATTORIA MODE」「深夜食堂はなれ」「Plaque Cuisine de GAMIN “BLOCKS”」など物販店舗を含め7店舗を経営されている。むろん、いずれの店も、評価は高い。「一球入魂」ならぬ、「一食入魂」。その思いは全スタッフに継承されている。

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