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第725回 株式会社猿屋一家 代表取締役 藤野裕章氏
update 19/07/23
株式会社猿屋一家
藤野裕章氏
株式会社猿屋一家 代表取締役 藤野裕章氏
生年月日 1975年5月4日
プロフィール 東京都中野区育ち。ホテルマンを養成する専門学校を卒業する。在学中、アメリカシアトルに留学。卒後も、1年間、研修生として「ヒルトン ハワイアン ビレッジ」で勤務。帰国後、グローバルダイニングなどで頭角を現し、2007年、32歳で独立。国分寺に「猿酔家(サスケ)」をオープンする。
主な業態 「猿酔家」「猿狗楽」「サルノコシカケ」「猿子」他
企業HP http://www.saruyaikka.com/

1人だけの卒業式。

高校生の時、休んだことはほぼなかったが、遅刻の回数は200回に及んだ。時には朝6時に到着し、朝練だけ済ませて、雲隠れした。もっぱら、デニーズが隠れ家だったそう。
「遅刻がもとで、卒業を認定してもらえなかったんです/笑。なんとか許しがでたのは、卒業式もとっくにすぎた3月20日。残された道はなく、進める学校も限られていました。それで、私は、夜間の専門学校を選択したんです」。
「ちっちゃな頃からサッカー少年でした。マラソンが得意で、中学時代には駅伝に出場してく大会で1位を獲りました。サッカーは高校に進んでからもつづけます。もっとも、ちかくで帝京高校サッカー部の、二軍ですが、選手たちが練習していて。ええ、二軍でも、私たちからすれば十分、怪物です/笑。だから、サッカーで食べていくなんて、思いもできません」。
高校は、当初、私学に進みたいと思っていたそうだが、結局、都立高校に進学する。自転車で15分。それが選択理由だった。にもかかわらず遅刻の常習犯になるのだから、わからない。
「当時から、ちょっと、かわり者だったんだと思います。集団行動が苦手で。遅刻も、もしかすると集団生活に馴染めなかったからかもしれないですね/笑。ともかく、高校を卒業し、夜間の専門学校に進みます。『調理師』と『ホテルマン』の養成学校です」。
選択したのは、ホテルのほう。「ホテルのドラマが流行っていて、ちょっと影響されました」と笑っている。

ハワイのヒルトンにいた、天才レセプショニスト。

「その専門学校では、2年次に留学のプログラムが組み込まれていて、私も、プログラム通り、海外に行きます。アメリカのシアトルでした。もっとも留学と行っても、生徒40人でいっしょに行くわけですから、みんなであそんじゃいますよね。もう、イチローもシアトルにいたし。何より当時の私は、ノストラダムスの大予言を信じていて、残りの時間をたのしく過ごさないといけないっていう強迫観念みたいなものがありましたから、尚更、たのしい方向に進んじゃいますよね/笑」。
シアトルから、ハワイへ?
「そうなんです。シアトルからもどり、残りの勉強をして、あとはハワイです。ハワイは、卒業生を対象にした研修プログラムの一つで、私は学校を卒業してから、1年間、研修生として『ヒルトン ハワイアン ビレッジ』で勤務します。それが、一つのターニングポイントです」。
フロントを希望したが、レストランサービスに配属される。
「今思えば、これが、始まりです。とくに、そのホテルにいたレセプショニストには、影響を受けました。彼女は、50代くらいの黒人だったんですが、すべてのゲストが彼女に魅了されるんです。彼女は、ゲストの名も、その時々の会話もすべて記憶します。もう、なんていうか。それまでサービスが何者かも知らなかったわけですから、そりゃ衝撃です。彼女は、天才か、天使かですね」。
ハワイで暮らそうと思ったそうだ。
「なんとかできないかなって。ビザのこともあるし、もちろん、お金の問題もある。それでもなんとかできないかと、研修が終わって帰国してからも、正式な仕事には就かず、コンビニで割りのいい深夜バイトを始めます」。
しかし、そう簡単ではない。
「ビザもいろいろあるでしょ。21歳の若造だったし、経験もないし、だんだん無理かなと。そうですね、8ヵ月くらいして断念します」。ハワイが急に遠くへ行った。

グローバルダイニングと、「猿」の始まり。

コンビニバイトを卒業した藤野氏は、まだフリーター生活をつづける。
「代官山にある『タグローズ』に面接に行きました。恰好いいのは、やっぱ代官山だろうな、って思って。当時、横浜に住んでいたんですが、一本だったし。でも、『タグローズ』はクローズが12時、片付けを入れると1時くらいになっちゃって、終電に間に合わなかったんですね。で、『だめですね』ってことになったんですが、担当者が、『ゼスト キャンティーナ 恵比寿』を紹介してくださったんです。『あそこは、朝までだから』って」。
たしかに、朝までなら、終電は関係がない。ところで、当時、藤野氏は「代官山で」とは思っていたが、「タグローズで」とは思っていなかったようだ、つまり、「タグローズ」が何者で、また、「ゼスト」が何者であるかもわかってはいなかったようだ。
「とにかく、紹介されたんで『ゼスト』に行くんですが、ドアを開けた時の解放感がもうハンパなかった。『なんじゃ、これ!』って」。
そりゃ、そうだろう。「ゼスト」はいうまでもなく、グローバルダイニングのコアダイニングの一つである。ドアを開けたとたん、異空間が広がる。息を飲むのは、こういう時をいうのだろう。
「当時、ゼストのマネージャーは、石田聡さんという人です。ヒルトンにいたレセプショニスト同様、石田さんも天才です。しかも、スタッフみんなをのせる天才。彼の下で、もう毎日が楽しくて。しかも、グローバルダイニングが、全盛期の頃です。私もバイトでしたが、バイトも正社員もかわりない。『年収1500万円』のバイトがいた時代です/笑」。
時給は自己申告制。
1日オープンな会議が行われ、それで、みんなが頷けば、めでたく時給がアップする。
「そんなしくみにも惹かれました。ともかく、何から何までけた違い。ふつうじゃない。『ゼスト』からして、ふつうじゃない。400席あって、月商7〜8000万円。日々、目標をクリアする。チームの絆はつよかったですが、甘えは、一切なしです」。
言い遅れたが、「ゼスト」でも藤野氏の仕事は、レストランサービスだった。ちなみに、当時、上司に「猿」というニックネームをつけられた。それが、いまの「猿」の始まり。この頃にはすでに、「独立」の二文字を念頭に置いていたそうだ。

店長×料理長、つまり、店主。

「30歳迄に独立」という目標を立てた。
「グローバルダイニングでは、恵比寿から、渋谷、また恵比寿、そして代官山と渡り歩き、次は『楽コーポレーション』の理念を継承した『ガヤ商会』という居酒屋に移ります。ええ、『楽』は、グローバルダイニングとはある意味で正反対です。ただ、どちらもお客様から、圧倒的に支持されていました」。
「ガヤ商会」に移ったのは、料理を勉強したかったから?
「ええ、その通りです。私がつくりたかったのは、グローバルダイニングみたいなスケールじゃなく、なんなら1人でできるスケールのダイニングでした。だから、私が、料理もできないといけない。サービスはもう、超一流のレストランで習っていますから。あとは料理です。それで『ガヤ商会』でキッチンをスタート。カウンターキッチンだったのも、いい勉強になりました。あのスタイルが、うちの原型です」。
30歳迄と言っていたが、2年遅れる。ま、遅刻は、むかしからの常習犯だ。「いやいや、この時は、なかなかいい物件がなかっただけ。遅刻を狙ったわけじゃない/笑。資金が潤沢にあるわけでもないですから、都心は無理だし…」。
「国分寺に出店したのは、正直、家賃が安かったからです。はい、2007年、私が32歳の時に、国分寺に創業店である『猿酔家(さすけ)』をオープンします」。
店主、藤野氏のスタートである。

一家を離れ、一家を構えろ。それが、願いの一つ。

「リピーターづくりには自信があった」と藤野氏はいう。一流のサービスマンである。むろん、料理も、一級品。「とはいっても、最初はちょっとしんどかったですね。何しろ、地下だったし、地下にもかかわらず、サインもださなかったから。でも、そういうスタイルでやりたかったんです」。
知る人だけが、知る?
「ええ、そういう発想ですね。ただ、この時は、『時間無制限980円飲み放題』をやって、それが起爆剤となるんですが…」。
現在、猿屋一家の店舗は6店舗である。2007年からのスタートだから、11年で6店舗となる。
「いい物件といい人材ですね。それが整えば、出店します。うちの場合、できるだけ家賃が低いところを狙っていますので、オープン後も焦らず、じっくりです」。
人材の育成も、焦らず、じっくり? 
「そうですね。たとえば、うちに来るのは、『がむしゃらに頑張って1500円』じゃなく、『ふつうに頑張って1100円。そっちがいい』って子なんです。はい。グローバルダイニングと比較すると、違いは明確です」。
「でも、私は、グローバルダイニングをつくりたいわけじゃないですからね/笑。ギラギラしていない『人』でいいんです。そのぶん、すぐに結果をださなくてもいいので、じっくり育成できるという利点もある。目標は、はっきりいって、独立です」。
野望と縁遠いとしても、やがては、一家を離れ、一家を構える、そんな部下が登場してくれることを、藤野氏は願っているに違いない。
ともあれ、「15分」の道のりを、何時間にも置き換え走った、藤野氏だ。けっして、人を急がすことはないだろう。

思い出のアルバム
 
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