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第797回 株式会社Key table 代表 周郷 海氏
update 20/07/21
株式会社Key table
周郷 海氏
株式会社Key table 代表 周郷 海氏
生年月日 1992年4月29日
プロフィール 千葉県出身。大東文化大学卒。学生時代からのバイト先に就職。学生時代から店長を務め、のちにスーパーバイザーになり、仙台から石川まで17店舗を統括。26歳で独立。経営者の道をスタートする。2020年現在、28歳。直営店を千葉に2店舗、福岡に3店舗、宮崎に2店舗を出店している。
主な業態 「シャンティ」「炭火野菜巻き串と餃子 博多 うずまき」
企業HP https://akr7629424234.owst.jp/

140キロとの別れ。

漁師町。祖父も若い頃は、漁師だったそう。いまの幕張からはイメージできない。「両親が離婚したのは、私が小学2年生の時。それからは母と妹と祖母の3人で暮らしました」。
野球が、うまかった。小・中の時には、選別にも選ばれた。友達のなかには、プロに進んだ者もいる。
高校は、市立船橋。スポーツの名門校だ。
「1年からレギュラーでした。ピッチャーです。球速は、140キロくらい。プロを目指していました。ただ、2年の秋にケガをして」。
140キロとの別れ。リハビリ生活が卒業まで続いたという。プロもあきらめた。これが、最初の挫折。ヒーローが、ヒーローになれなくなった時だ。
 大学は、大東文化大学の経営学部に進む。「経済的な問題があり、就職も念頭にあったのですが、先生の勧めで進学します」。
大学進学は、いままでとはまったく違う選択だった。プロというゴールに進む道から外れた選択。周りにいるのも、いわば、ただの学生。
「正直、温度差があった」と周郷氏。当然、目は、学内ではなく、学外に向いた。
「経営学を勉強したくて、指定校推薦で大東文化大学に進学したわけですが、大学には、全然行っていないっていうか」と笑う。
大学で出会ったのは、デール・カーネギーの「人を動かす」。
経営者を意識するようになる。

志は飲食へ。目標は「改革」の二文字。

「『人を動かす』には、かなり影響を受けました。ビジネスに関心があったから、在学中から株式投資をしていました。そんな中で飲食に興味を持つんですが、これはホテルで配膳のバイトをしている時です。だって、飲食って面白いでしょ。バイトの方が、時給がいいとか。ホテルで仕事をしていると分かるんですが、けっこうダークな面もあって」。
それを逆に、面白いと思った?
「そうです。私たちの時代でも、就職先としてみたら、飲食はやはり敬遠されます。労働時間が長く、給料が少ない。問題点は明白です。ちょうど大手の残業問題がクローズアップされて、社会的にも、益々評価が下がるんですが。私は、逆に、それが面白いと思ったんです」。
経営者の発想で?
「そうです。問題が明確なんです。でも、何年経ってもクリアできない。でも、だからこそ、チャレンジする価値があるのでは、と。私が経営者となって、どれだけのことができるか、試してやろうという」。
そうは決めたが、卒業ができない。半年、留年。就職先は、やはり飲食。当初の「志」は変わっていなかった。
「就職させてもらったのは、学生時代からバイトしていた飲食店です」。学生時代から早くも店長を務めていたそう。「それで、半年遅れで卒業し、そのままお世話になります。スーパーバイザーも経験させていただいて、そうですね。仙台から石川まで、17店舗の統括マネージャーをしていたこともあります」。
志は飲食へ。
目標は「改革」の二文字を実現すること。

つぎは北海道かも。

そして、2018年、独立。学生時代から始めた資産運用で貯めたお金も、ぜんぶ、つぎ込んだ。「現在(2020年6月)で、丸2年、3期目のスタートです」。快調なことは、出店ペースでも明らか。早くも、7店舗だ。
出店数もそうだが、周郷氏のユニークな点は、千葉の2店舗以外にも、福岡に3店舗、宮崎に2店舗を出店していること。しかも、全店、直営。さらに、いまからの出店計画をたずねると、「7月に福岡にもう1店舗、また、長崎にも1店舗」と、平然と言われ、驚いた。
青息吐息の会社が多いなかで、異彩を放っている。
「コロナの影響はなくはなかったですね。ただ、キャッシュアウトもしましたが、正直に言って、そんなにきつくはなかったですね。スタッフもみんなで頑張ろうと言ってくれていますし」。
いままでは、出店資金も借り入れなしでまかなっていたそう。だから、財務的にも健全で、融資も下りやすく、攻めの資金もできている。
「今回、福岡と長崎に出しますが、つぎは北海道かもしれません」と笑う。
ドミナント戦略など、まったく頭にないのだろうか?
「テーマは低投資なんです。創業時から、初期投資を抑えて負担を軽くしています。今回も、コロナの影響が軽微だったのは、家賃を低くしていたからです。東京のど真ん中に出店していたら、こうはいかなかった」。
たしかに、そうだ。家賃は、売上の10%が、適正範囲と言われている。売上100万円なら、家賃は10万円。しかし、いまや家賃比率が100%オーバーの店舗があってもおかしくない。
「長崎や北海道というのも、そこ。家賃が低いだけではなく、素材もいいものが入る。どっちがいいんでしょうね。家賃の高い東京で、頑張るのもいいですが」。
とはいえ、「いつかは、都内に出店するかもしれない」と言っている。ただし、あくまで、広告宣伝費のなかで。「渋谷にある…っていうと、それだけで宣伝効果につながりますから」。

東京、それ以外という戦略。脱、東京。

「何が何でも、東京っていう時代はもう終わったんじゃないですか。少なくとも、今回、そのリスクが浮き彫りにされたと思います。飲食でいうとわかりやすいですが、生ビール一杯は、東京でも、福岡でも、長崎でもだいたい500円です。ハイボールは350円くらいです。でも、東京と福岡では、家賃は全然違うでしょ。イニシャルコストからして、福岡は、東京の数分の1。どっちか、いいか。私なら、福岡です」。
 たしかに。
日本なら東京、世界ならニューヨークで勝負する。むろん、間違いではない。ただ、家賃一つとっても、正しいかどうかは別にして、合理的かどうか、では「?」がつく。
「いまうちは、冷凍餃子づくりにも着手しています。食品メーカーへ、というか、新たな試みですね」。
エリアにも、業態にもこだわらないのが、周郷、流。逆にいえば、エリアにマッチした業態を出店するというのが、戦略の一つとなっている。
「将来はFCもそうだし、独立支援もしたいですね。何より、いろんなスキームを試し、改革を進めていきたいです」。
じつは、周郷氏はもともと教育者になりたいと言っていた。しかし、経営に興味がわき、ドラッガーの言葉に動かされるように経営の道を走りはじめた。
「ただ、いまはもう一度、教育者にと思っているです」。
28歳、語ることは、つねに未来への次の一手。
「50歳の人も、20歳の人もレイヤーごとに、楽しく働ける店づくりもいいな、と」。
いい教育者になるために、まずはいい経営者になる。
周郷氏が「いい経営者」というのは、むろん、売上第一主義の経営者像ではないだろう。だから、周郷氏にとって、大事なのは、東京への出店ではないのだ。
ところで、どうでもいい話だが、カーネギーは、「非難は愚者でもできる、理解は賢者しかできない」と言っている。周郷氏は、インタビューの中で一度も、非難的な言葉は使わなかった。その分、5年後、10年後、どんな経営者になっているか、楽しみになってきた。
いや、その時にはもう、教育者として、次の道をスタートされているかもしれないが。

思い出のアルバム
 

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