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第858回 株式会社CITRABA 代表 脇 篤史氏
update 21/10/19
株式会社CITRABA
脇 篤史氏
株式会社CITRABA 代表 脇 篤史氏
生年月日 1982年
プロフィール 大学卒業後、株式会社ダイナックに入社。ホール、キッチン全般を経験し、料理長も務める。独立のスキルを獲得するが、クラフトビールに出会い、いったん独立にブレーキをかけ、常連客として通っていた株式会社ステディワークスが運営する「クラフトビアマーケット」でアルバイトを開始。知れば知るほど奥が深いとのめり込み、正社員として5年勤務。同社の「クラフトビアマーケット高円寺店」を譲り受けるかたちで「クラフト麦酒酒場 シトラバ」をオープンする。これが、脇氏、36歳の時。
主な業態 「クラフト麦酒酒場 シトラバ」
企業HP https://citraba.favy.jp/

中学時代に書き残したのは、社長の二文字。

1982年生まれ。出身は神奈川県座間市。「小学1年の時に茨城県に引っ越します。うまくはなかったですが、父親の影響もあって、ずっと野球をやっていました」。
高校は土浦日大付属高校。1学年に生徒1000人を数えるマンモス校だったそうだ。「小学生の頃の目標は、プロ野球選手でした。ただ、中学にはもう少し現実的な目標にかわっていました。社長です。将来、社長になるとどこかに書いたような/笑」。
それから数年、大学を卒業した脇氏は株式会社ダイナックに入社する。いうまでもなく、サントリー系列の飲食企業だ。ホームページには「響」「魚盛」「鳥どり」などの多業態飲食店の経営と書かれている。
「もともと飲食を志望していました。高校時代から飲食でずっとバイトしていたので、親しみもあったし、だいたい人と接するのが好きだから、この仕事に向いていると思っていたんです。だから、就活では、飲食ばかり受けていました」。
ダイナック以外には、ダッキーダック、際コーポレーションなどなど。
「バイトはジャンル問わず経験しています。ラーメンに、中華に、イタリアン、ハウスウェディングでもはたらきました。飲食はバイトの定番だし、じつは食に興味もあったんです」。
こちらは、お母さまの影響らしい。
「母親の料理が好きで、大学に進むときも、じつは料理の専門学校と迷ったくらいなんです」。ダイナックにすれば、とびきりいい人材が採用できたことになる。

ダイナックで、修業。職人気質の料理人に叩き込まれる。

「料理好きということもあって、大学時代はイタリアンのキッチンでずっとバイトをしていました。そのぶん、学校にはあまり行ってなかった/笑」。
むろん、無事卒業はできている。
アルバイトでキッチンの経験もなくはなかったが、配属はホール。
「やっぱり料理が好きだから3年目にキッチンに異動させてもらって、2年半で3店舗経験します。いまはもうないブランドなんですが、職人気質の料理人に、びっしり叩き込んでもらいます。私の料理人のベースができたのは、この人のおかげですね。ダイナックには計9年いました。5年目には料理長にもなっています」。
ホールから異動したなかでは早い昇格だという。
「ダイナックでは居酒屋も経験しました。居酒屋の経験はなかったので楽しかったですね。ダイナックを辞めるきっかけになったのは、クラフトビールに出会い、魅了されたからです」。
むろん、独立というのも視野に入れてのこと。ホール、キッチン全般を経験し、独立できるスキルと資金をある程度貯蓄できたのも、辞めるきっかけになったのではないか。
志も準備は万端。
だが、クラフトビールが気にかかる。

大手メーカーだけじゃない。クラフトビールは、旨くて、楽しい。

「私がクラフトビールに出会った『クラフトビアマーケット』は雰囲気もすごくいいお店です。私もじつは常連客の1人でした。どうしても気になったこともあってダイナックを辞めたあと、じつはこちらでアルバイトを開始します。最初は数ヵ月と思っていたんですが、クラフトビールというのは、知れば知るほど奥が深いんです。その奥深さに負け、物件探しもしていたんですが、そちらはいったんストップし、開業も先送りして、こちらで正社員になります」。
数ヵ月のつもりが、けっきょく5年勤務している。
「虎ノ門店からスタートし、三越前店、淡路町店で店長を経験し、神田店では、立ち上げから店長を務めさせていただきました。もちろん、独立を忘れたわけではありません」。
ちなみに、クラフトビールとの出会いには奥様も一役買われている。
「2012年、30歳の時に結婚します。ダイナックを辞める頃ですね。奥さんとは、ダイナックで知り合いました。彼女がベルギービールが好きで、その影響でクラフトビールを知り、のめり込んでいきました」。
ちょっと先走ることになるが、いま我々が「シトラバ」で旨いクラフトビールをいただけるのは、奥様のおかげでもある。感謝、感謝。

クラフトビールとレモンサワーと、丸鶏フライドチキン。この三本柱にはかなわない。

「クラフト麦酒酒場 シトラバ」がオープンしたのは、2019年4月13日。脇氏、36歳の時。「会社から『クラフトビアマーケット 高円寺店』で独立しないか、というオファーを頂戴します。私にとっては申し分ないオファーです」。
それはそうだろう。リスクは少ない。ある意味、ホームグラウンドでもある。「28坪で、50席くらいです。損益分岐点でいうと450万円くらいでしょうか」。
目玉は、クラフトビールとレモンサワー。ここに、ビールと相性抜群の丸鶏フライドチキンが戦力に加わる。もうこれだけで、ビール好きは落城したようなもんだ。
レモンサワーにもこだわりがある。
「こちらは、小田原の矢郷農園のノーワックスレモンを使用しています。シンプルな『いつものレモンサワー』から、はちみつで漬け込んだレモンを使用した『贅沢レモンサワー』に、『パクチーレモンサワー』、『ガリレモンサワー』とバリエーションも豊富にご用意しています」。
クラフトビールだけではなく、レモンサワーも用意することで客層が広がる。センスのいい戦略だ。「2021年1月に法人化します。3月には2店舗目の中野店をオープンします。こちらに決めたのは、家賃が下がったことと、小窓もあるので、ビールのテイクアウトもできそうだったので」。
ビールのテイクアウトとはめずらしいが、じつは、高円寺でもやっている。
「クラフトビールと、人気のフライドチキンをおうちでたのしんでいただきたいという思いでスタートしました」。専用のペットボトルもあり、こちらは何度も使用できるというからリピーターにはうれしい。
ただし、1本で満足できるかどうかは、はなはだ疑問だが。
コロナ禍のなか、消費者も難民になっている。旨いビールと旨い料理がテイクアウトできるなら、これはありがたい。
ちなみに、「シトラバ」では、日替わりで20種類のクラフトビールが楽しめるそうだ。キリン、アサヒ、サッポロと比較し、うんちくを語るのはいいが、もうひとつの選択肢としてクラフトビールがあるのも、忘れてはいけない。
日本でもすでに100社以上のクラフトビールメーカーがあると言われている。

思い出のアルバム
 

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