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第9回 株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 林祥隆氏
update 08/04/22
株式会社ベイシックス
岩澤博氏
株式会社ワンダーテーブル 代表取締役社長 林祥隆氏
生年月日 1963年生まれ、東京都出身。
プロフィール 1986年慶応義塾大学卒業後、株式会社第一勧業銀行に入行。同行を退職し、UCLAビジネススクール(MBA)へ留学。卒業後、両親が経営する株式会社ヒューマックスへ入社。1994年、富士汽船(株)<現株式会社ワンダーテーブル>転籍。2002年株式会社ワンダーテーブル代表取締役社長に就任。
主な業態 「六蔵」「モーモーパラダイス」「ロウリーズ・ザ・プライムリブ」「月の兎」など
企業HP http://www.wondertable.com/
2000年、社名を改め飲食業界へ参入を果たした株式会社ワンダーテーブル。2002年には38歳で林祥隆が代表取締役社長に就任する。現在「お客様に感動を与える体感型飲食店を展開し、社会にプラスの価値を提供する」というミッションを掲げ、一店舗一店舗オリジナリティー溢れる「感動」と「心の満足」、温かみのあるおもてなしの精神で店舗展開している。ワンダーテーブルに新風を巻き起こす林社長。その活躍をここでは紹介しよう。

幼少期の林社長

株式会社ワンダーテーブル代表取締役社長林 祥隆氏、44歳。慶応義塾大学卒業後、株式会社第一勧業銀行に入行するもUCLAビジネススクール(MBA)へ留学するため、わずか3年で退職。2002年38歳の若さで株式会社ワンダーテーブル代表取締役社長に就任。
全業態既存店100%クリアする快挙を成し遂げる。その経歴だけを追えば、華麗な人生を想像させるが、幼少時代の林氏は意外にも可もなく不可もなく、普通が似合う少年だったようだ。
「幼稚園の時から都内有名私立校に通う、恵まれた環境で育ったせいか、のんびりとした性格でした。エスカレーター式で進学した中学1年生の時には、担任の先生から「このまま行くと落第するよ」と言われてしまうほどでした」と林氏は微笑む。実際、大学まで卒業できる人数はわずか半分程度だったそうだ。
しかし、その教師の一言が林氏の責任感に火をつけ、発憤させたという。「高校へは無事入学できましたが、この頃、将来、自分は家業を継がなければならないと漠然と考えるようになり、大学は経済学部へ進学しました」と林氏。時代は進学競争が激化し、受験戦争が社会で叫ばれ始めていた頃。エスカレーター校ではあったが希望する学部へは易々とは入学できなかったが、持ち前の運もプラスされて見事合格。「大学生になると同時に、将来、自分が社長になった時、オーナー系だからといって甘んじられないという危機感を持ち始めたころでもありました。祖父、父の力を借りず、世の中の勉強をしようと外の世界に飛び込むために卒業後は、銀行に就職したわけです」。経営全般を見通し、経験できるのは商社か銀行だ。しかし商社を選択する場合、専門分野に配属される可能性もあり、その時は専門知識しか得られないだろう。そんな考えから選択した結論だった。
一方、物心ついた頃から、日本とは違った外国の風景や文化に触れてきた林氏は、早くからグローバルな視点に目覚めていた。社会人になってその想いはますます強くなったと林氏は振り返る。「ビジネスマンとしての英語力の無さを痛感し思い切って退職し、アメリカに留学。2年間、UCLAビジネススクールに通いMBAを取得しました。そして、ビジネスを展開していく上での必要最低限な英語力とグローバルな視点を身に付け、満を持して帰国。熱い思いを内に秘め、経営者としての一歩を踏み出したのです」。
アメリカで外食を見てきていて感じてきたこと、それは日本は「今日何を食べる?」という会話はあっても「今日どこのお店で食べる?」という、お店が目的ではなく食べることが目的になっているという根本的な違いだったという。いつかお店を目的にお客さまがきてくれるようなそんな会社を作りたい。そんなことからワンダー(不思議=意訳すると、感動する、驚かせる)テーブルという社名になったという。

企業の成長と、感動を与える人の成長

今、一番夢中になっていることはやはり仕事だと林氏は力を込める。会社が厳しい時期、社長に就任。ブランド力への依存する企業体質、社内の風通しの悪さなど経営課題は山積していた。そこで継続的な成長に必要な店舗力アップとお客様に感動を与えられる人財の育成に着手した。ようやくその効果が出てきた。「今では、その変化やパフォーマンスを見るのが楽しみでもあり、やりがいでもある。個人的には息子が生まれ、今までの人生の中で感じたことのない力や責任感が沸き起こりました。息子のためなら、自分の命に代えてもよいと思えるほどです。新たな人生のステージに立ち、ますますパワーアップしていると感じています」と顔を緩む。ビジネスでも、プライベートでも、出会う人が成長し、輝いてくれることが最大のモチベーションとなったのだ。
そして現在、林氏が取り組んでいるのが、プロフェッショナルなレストラン経営者を育てる仕組みだ。飲食業に携わるようになり林氏は、3つの感動を知ったという。一つは、お客様が来てくれること。二つ目は、経営者となり、企業が成長することが面白さ。三つ目は、共に働くスタッフの成長に喜ぶことだ。こうした感動がワンダーテーブルの店舗力を生み出しているのだ。
「店が繁盛するかどうかは、店のメニューや内外装など業態そのものが持つ魅力(業態力)と店のサービス・オペレーションによる魅力(店舗力)の2つ」だと力説する林氏。企業が永続的に成長するためには、スタッフ一人一人がプロフェッショナルになれる仕組みを創り上げなければならない。ただ、店舗の運営面での実力は目に見えず評価しにくい。そもそも店舗力を強くするために何をすべきかも分かりにくいのだ。そこで、導入したのが9段階評価制度だった。店を実力に応じて「ホップ(H)」「ステップ(S)」「ジャンプ(J)」という3段階に分け、各段階をさらにレベル1からレベル3まで3段階に細分化し、レベルごとに3つの目標を明示。各目標を達成するとレベルが上がる仕組みだ。
「何かをしたいのなら、まず成功者を真似ること。真似ができない人間は何もできない」。子供の頃に父親から教わった教訓をずっとかみしめてきたという林氏。「自分は飲食業に限らず、あらゆる業界の成功事例を学んでいる。次は、スタッフとともに社内外の成功要因を紐解き、進化し続ける企業構築のためにさらに発展させたいと思う。そして、自分が思い描く“お客様が感動する店舗”“社員一人一人が輝ける会社”を創り上げたい」。林氏は常に自分で学び、考え、進化しようという熱いマインドとどうすれば人が輝けるのかを考えるおもいやりを持っている。それが、社員一人一人のモチベーションを向上させ、サービスとなって魅力的溢れる空間を創っているのだろう。
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