株式会社LG&EW 代表取締役社長 中澤祐介氏 | |
生年月日 | 1978年1月2日 |
プロフィール | 日本大学商学部卒。学生時代の飲食店でのアルバイトを皮切りにして飲食人生がスタート。グローバルダイニングや際コーポレーションを経て、クリエイト・レストランツに入社。当時の記録で、最年少でスーパーバイザーに昇進。35歳、LG&EWの前身であるイートウォークに役員として派遣され、2022年3月、社長に就任している。MBAと中小企業診断士の資格を持つ。 |
主な業態 | 「TANTO TANTO」「やさい家めい」「Mr.FARMER」他 |
企業HP | 【AWkitchen、やさい家めい】 http://www.eat-walk.com 【Mr.FARMER】 https://www.mr-farmer.jp 【TANTO TANTO】 http://tanto-tanto.com |
「親が呼び出されるほど、落ち着きがない子どもでした」と笑うのは、今回ご登場いただいた株式会社LG&EWの代表取締役社長、中澤祐介氏。
ただ、小学4年の時、川崎に引っ越してから「ふつうになった」そう。
「環境がかわったから、ちゃんとしないといけないと思ったんでしょうね」。だれかに言われたわけではないらしい。中学になってハンドボール部に入部。「めちゃくちゃ強い部だった」とのこと。
中澤氏は、万年Bチーム。「からだも小さかったし、うまいのがゴロゴロいましたから笑」。ただ、万年Bチームだったが、ハンドボールは大好きだった。
日大三高に進んだ中澤氏は、バスケットボール部に入部する。こちらも強豪。練習もハンパない。
「みんな辞めていくんです。正直、楽しいとは思ってなかったですね」。
その頃、ご両親が離婚されている。
「ナーバスになっていたわけではないですが、それもあって、退部を監督に相談したら、全否定されて。その日、なぜか練習が楽しくて。やっぱりオレってバスケが好きなんだなって思うんです」。
ちなみに、中澤氏は今もバスケットボールをしている。ボールを自在にハンドリングし、キュッキュッとシューズの音を鳴らすし、リングに向かってシュートする。
いえば、たったそれだけのことだが、それが人を魅了する。
「高校時代より、背丈は20センチくらい高くなりました。ただ、大学ではつづけていません」。
大学は日大ですか?
「内部進学で商学部に進みます。ただ、進みたい学部だったわけじゃなかったし、バスケットもしなかったから、だんだん学校に行かなくなってしまいます」。
学校に行かず何をしていたんですか?
「じつは、アルバイトにハマりまくるんです」。
「時給は800円ですが、なんだかんだで、月30万円になっていました」。
時給800円で30万円?
「当時、私がハマったのは、清掃のアルバイトです。ショッピングモールや大学などの床を綺麗にする仕事です」。
給料が高くなったのは、深夜が多かったから?
「そうです。だれも知らないうちにピカピカにする。あれはあれで、全国のコンテストもあるんですよ」。
清掃員というより、プレイヤー。バスケット選手のように館内を自在に走り回る。ピカピカに光った轍が床に描かれる。たしかに、面白そうだ。
4年間つづけ、就職先も清掃関連の設備会社に決まっていた。「そう、決まっていたんですが、飲食のバイトも楽しくて、バイトばっかりしていたもんですから、卒業できなくて笑」。
飲食ですか?
「そう、私の飲食人生の始まりです」。
「お台場にある、今のクリエイト・レストランツの前身である徳寿という会社のお店です。店長が現、グルメブランズカンパニーの社長、石井克二さんでした」。
かけもちで飲食のバイトを始めたのは、20歳の時。清掃の時同様、ドハマリした。もちろん、その当時、会社がこれだけ巨大になるとは思っていなかった。
「1年間、留年しちゃったので、内定も取り消しになりましたし、クリエイトレストランツの創業店で仕事をつづけます」。
それでクリエイトレストランツに就職したんですか?
「いえ。飲食で、とは思ったんですが、就職したのはグローバルダイニングです。むちゃくちゃ恰好いいし、サービスも最高だったんです」。
3年間のバイト経験はだてではない。だから、ぜったいいけると思っていた。「私は、たまプラーザのモンスーンカフェで勤務を開始します。むちゃくちゃ忙しかったです。それは、それでよかったんですが、正直いうと、私のサービスレベルでは、まったく通用しなかったです」。
「当時の店長から、『逃げ癖がつくぞ』とも指導いただいたんですが、逃げるように退職します」。早速、やってきた飲食人生初の挫折。
それでどうしたんですか?
「銀座の酒屋さんで仕事を始めます。体もガリガリになってしまっていたので、体も造れるだろうと思って笑」。
飲食は向いていない、飲食業界から離れようと思ったという。ただ、高校時代、バスケットボール部のコーチからもらった色紙に書かれた言葉がふいに蘇ったそうだ。
「耐えがたきに堪えたるは、ああ、愉快なり」
それで、飲食人生の再開ですか?
「そうです。やっぱり飲食だと思って、際コーポレーションに1年ちょっとお世話になります」。
副店長になったが調理師とぶつかって退職。「調理のことはわからないだろって言ってくるんですね。もちろん、わかりません。だから、『わかった』といって、退職して、向かいにあったお店に入って1年間、キッチンの仕事をします。きっかけは、ともかく、いい勉強になりました。段取りやしくみが理解できたことは、私にとって大きな財産の一つです。そういう意味では、喧嘩をふっかけてきた、調理師には感謝しなければいけないですね笑」。
このあと26歳でクリエイト・レストランツに入社されるんですよね?
「キッチンで働いていた店舗の経営元がかわることになって、それでいったんそちらを辞め、フロムエーというバイト雑誌をペラペラめくっていると、クリエイト・レストランツが掲載されていて。それで、興味本位で面接に行くと、すぐに電話があって、『君、石井って知っているよね? 石井が呼んでいるよ』って。そう、バイト時代の店長の石井さんのことです。それで、即採用いただき、『ポルトフィーノ』で勤務を開始します」。
いよいよ飲食の戦士、中澤が姿を現し、始める。
26歳で入社し、27歳、最年少でスーパーバイザーになり、35歳で、株式会社LG&EWの前身でもある株式会社イートウォークに役員として出向している。
代表はグローバルダイニングで総料理長などを務めた、カリスマシェフの渡邉明氏。「株式会社イートウォークをクリエイト・レストランツがM&Aをした時ですね。私はナンバー2として送りこまれるわけですが、渡邉明さんと出会ったことも、私にとって大きな財産の一つです。あれだけピュアに料理に立ち向かっている人は知りません」。
数字は、中澤氏がチェックし、コントロールしていた。
「私が渡邉明さんをリスペクトしていたのはもちろんですが、渡邉明さんも、私をリスペクトしてくださっていました。だから、うまくやっていけたんだと思います」。
現在、渡邉明氏は相談役だとのこと。
「2020年9月に、グループ再編によりイートウォークとルモンデグルメが合併し、LG&EWが生まれます。現クリエイト・レストランツの社長である飯沼辰朗さんが、いったん社長に就任され、私は今年の3月に社長に就任しました」。
「社長業は思っていたよりハードだ」と中澤氏は笑うが、それがナンバー2とナンバー1の違いは大きいということだろう。ただし、ナンバー1になる準備は整えていた。
「2020年4月に東洋大学の大学院に入学し、MBAの資格と中小企業診断士の資格を取得します」。
飲食の仕事をしながらですか?
「そうです。平日の夜と土日で勉強しました。会社から取れって言われたわけではないです」。
大学で授業に行かなかった人が、自ら進んでですか?
「もうこの頃には、クリエイト・レストランツは、ご存じのように巨大な会社になっていたわけです。人も、いままでとは違います。岡本元社長も東大出身ですが、そういうレベルの人がたくさん入社されるようになるんですね」。
だから?
「そう。少なくとも話についていけるようにって。ただ、それだけじゃないんです。やっぱり渡邉明さんですね。明さんは、なにをしていても恰好がいいんです。絶対的な料理人でしょ。特別なんです。その明さんと酒をかっくらっていると、ぎゃくに冷めてくるんですね。この人と比較して、オレは何者なんだろうと」。
それで、MBAと中小企業診断士ですか?
「そうです。飲食においても、経営者になれば大事になりますし、今後はもっと視野を広くすべきだと思っています」。
大学院を卒業したのがこの3月。そして、社長に就任したことになる。コロナ禍の下での経営は難しい。だが、それはすべての飲食の経営者とって同じこと。差がつくのは、アフターコロナになったその時。
その意味では、もうすぐ、中澤氏の本領が試される。
LG&EWは、アパレル大手のワールド社の飲食事業であったルモンデグルメと前述した渡邉明氏が創業したイートウォークという企業文化が対極にあるような2社を合併した会社である。組織作りに苦労はしたが一体感は醸成されてきた。今後は、それぞれの強みは残しながら「食を通じた美と健康」の分野で最も輝く会社にするべく、農家さんから届く新鮮やお野菜をつかったVegan Cafeの開業、精進料理の提供、外部専門家との連携などに取り組んでいく。サスティナブルな取り組みや1次産業との繋がりなどを通じて、一緒に働く仲間たちが、飲食店で働くこと、わが社で働くことに誇りを持ち、わくわくしてほしいと思っている。
ところで、最後に中澤氏から、募集のお願いをされている。2015年から、飲食企業の有志でバスケットボールチームを結成したそうだ。
そのチームへのお誘い。
「普段ライバル同士だった人が、いっしょになって汗を流すんです。それをみていたらウルってなってしまいます」。
中澤氏はそういう人。
どうだろう。リフレッシュがてら。
中澤という人と、いっしょに汗を流すことで、なかにがかわるかもしれないし、新たな発見があるかもしれない。
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