居酒屋業界の空白マーケットに進出!
僕は大学卒業後、1年間海外留学し、その後約1年半、大手百貨店で働きました。そして25歳で独立。たまたま親がビルのオーナーだったこともあり、そのビルでカラオケ店をはじめたのがきっかけでした。
カラオケ事業は儲かったけれど、時流のおかげでもあったから、“カラオケで一生メシは食っていけない”ということはわかっていました。それで熟考の末、新しく始めたのが飲食事業の「手作り料理とお酒 えん」でした。
当時、居酒屋業界は「天狗」「和民」「つぼ八」などの居酒屋チェーン店の全盛期。でも行列のできる店や繁盛店などを研究していくうちに、居酒屋市場に空白のマーケットがあることに気づきました。それをかたちにしたのが「えん」だったのです。
だから僕の30代は、「えん」の誕生とともに店舗を展開していきながら、手ごたえをビシビシ感じていた時期です。主にやっていたことは不動産めぐり。出店場所の選定は、店成功を分ける重要なポイント。こればかりはすべて社長の責任だから、常に緊迫感ある生活を送っていました。まぁ、今だにそうですけれどね。笑。
飲食の中でも居酒屋業界は“新陳代謝”が激しいマーケットでしょ? 10年でプレイヤーが全部入れ替わるような流行り廃りの激しい業界。だから平均客単価4000円弱の「手作り料理とお酒 えん」の後は、アッパークラスの「和食 えん」(客単価6000円)を出店し、惣菜店や、お茶漬け専門店の「えん」も展開させました。
さらに「京のおばんざいと炙り焼き 菜な」(客単価4200円)や、「おだしうどん 嘉禾屋」(客単価850円)、最近オープンした新丸ビルには当社初の物販店「日本のご馳走えん」…と、事業の多角化にも着手してきました。常にあれこれ可能性を探し求めているのが、やはり経営者ですね。
30代の転職はきっと最後のチャンス
僕から見て、最近の若者は精神的に軟弱だと感じることが多いです。上司やお客様に何か言われたらすぐ辞めてしまう人もいます。壁にぶち当たった時に乗り越えられないで、すぐ違う道を選んでしまうのです。
僕たちの世代より仕事の選択肢が多いというのもあるのかも知れないけれど、きっと彼らは生真面目なんだと思います。いろいろ考えすぎて、自分の頭の中だけでいっぱいになったりして…。今の若い世代は、もう少しルーズというか、気持ちの余裕を持った方がいいんじゃないかな。
あと自分の仕事を“労働職”とは思わないこと。飲食業は小売業よりよっぽどクリエイティブな仕事だと僕は思っています。お客様の動向を観察したり、予測したり…。日々発見のある仕事なのです。労働職ではないのだからつまらなくもないし、経験を重ねてこそ少しずつ見えてくるものもあります。だから、すぐ辞めてしまうのはもったいないと思います。
たいていの人は、30代で学んだことがその後の人生の基盤になります。30代で人生が決まると言っても過言ではありません。20代だったら転職を重ねても、いろんな業界を見ることに意義があるかもしれません。一方、40代で新しいことをスタートするのはキツイもの。だからできれば30代中盤までに自分の進む道を決めた方がいいでしょう。
もし30代で転職するなら、きっとそれが最後のチャンス。あなたの人生が決まる大切な転職になると思います。