グランプリへの道

nish横浜ジョイナス店がグランプリを受賞したのは、スタッフの意識改革を図って業績改善を果たしたことが評価されたためだ。その経緯を八代支配人に伺った。
まずは、66店舗の中から一定の基準を満たした15店舗が選ばれる。次に、この15店舗が以下の項目で競い合う。

(1) 携帯電話でのお客様アンケート獲得比率
(2) 感動比率
(3) 売上前年比率
(4) 月替わりキャンペーンの成果
この結果により、最終的に上位4店舗がフォーラムへの参加資格を得る。

この仕組みが優れているのは、選ばれた4店以外に、業績改善の優秀な1店が敗者復活によって参加できる点である。このシステムのおかげで、すべての店が最後まで目標を持ってチャレンジ可能となる。nish横浜ジョイナス店は、なんとこの敗者復活で参加が認められたのだ。

横浜ジョイナス店は「6つのマネジメントサイクル」(目標設定→要因分析→対策立案→行動計画→進捗状況→結果検証)の徹底で、7〜9月の業績改善に大きな成果を上げた。売上前年比は7月が111.2%、8月106.8%、9月120.3%(約300万円アップ)と、着実に伸長している。

「感動比率」とは、気配り、味、提供時間の3項目に対する感動度をお客様に5段階で評価していただき、そのうち感動レベルが最も高い「大変満足」の割合を表したもの。横浜ジョイナス店ではこの感動比率がいずれの項目も約70%となり、平均40%を割っていた4月から大躍進した。(※これは会員7000人中2500人のご協力による、極めて公正な判定・評価である)



従業員不満足の撤廃からスタート

ワンダーテーブルではバッサー(前準備担当)とアドバイザー(接客担当)の連携でホールサービスを行っているが、nish横浜ジョイナス店では昨年3月にアルバイトの大きな入れ替わりがあり、バッサーと新人ばかりになってオペレーション力が低下してしまった。アルバイトのKさんはそんな状況を「何とかしたい」と八代支配人に相談。「みんなに直接話しづらいなら、メールで呼びかけてみては?」という支配人のアドバイスを受けて、Kさんは全従業員にこんなメールを送信した。
「大変なことが多いときだからこそ、もっともっと言い合い、助け合っていきませんか?どんなことでもいいから意見をください。みんなでニッシュを盛り上げていきましょう」意識改革はここから始まったのだ。

Kさんからのメールに対し、「自分のことで精一杯」「新人に教える時間がない」「自分でやったほうが早い」「サービスというよりも作業になっている」といった返事が多く返ってきた。そこで、みんなが共通に感じている問題点を2つに絞り、改善に取り組んだ。
1.コミュニケーション不足
2.新人教育の仕組みがない
以下、それぞれの改善策である。

1.コミュニケーション
 ●アドバイザー及びバッサー業務のリスト化と、報・連・相の徹底
 ●ミーティング強化と、ホール優先順位の勉強会実施
 ●時間帯ごとの業務の見直しと、引き継ぎノートの活用
2.新人教育
 ●担当者による教育プログラム作成
 ●バッサーチェックシートの作成・活用
 ●バッサー共有シートの作成・活用
これに基づき、新人一人ひとりに担当をつけ、30日シートを活用して実施したことやわからないことについて交換日記を行い、営業終了後には翌日の課題まで決定した。

また八代支配人の提案により、毎週ストアミーティングも始まった。5〜6名からのスタートだったが、営業時間中にも短時間の小ミーティングを行うことで、その熱意が他のアルバイトにも伝わり、毎週8割の人がストアミーティングに参加するまでになった。こうして「何でも言える風通しのよい職場」が形成され、コミュニケーションが高まり、チームワークも向上していった。

従業員不満足の解決と同時に、お客様不満足も減った。前述した感動度評価のうち「大変満足」と「満足」以外の数値が4月には25%あったのだが、6月には9.9%にまで低減したのだ。



7月「味な店」、8月「粋な店」キャンペーンでも1位に

敗者復活でフォーラムへのノミネートが決まり、お客様アンケートの獲得にも拍車がかかった。獲得ポイントは以下の3点。
1.接客機会を増やし、お客様と多く会話
2.コンパクトでわかりやすい説明
3.タイミングよく説明するワザの向上

「忘れられない日になりました」と、8月20日の日曜日のことを語る八代支配人。その日は開店時からいつもと違う雰囲気が漂っていた。獲得スピードが違っていたのだ。16時には60件を超え、「100件行こう」と誰かが言い始めた。100件を超えたのは20時ごろ。そしてついにこの日、過去最高の121件を獲得したのである。通算では目標の1000件を上回る1188件を達成。この勢いは止まらず、9月には1402件に至った。

そして7月の「味な店キャンペーン」では次の3つを心がけ、見事1位の座に輝く。
1.サジェスト・商品説明の強化
2.調理後、すぐ提供
3.食中・食後の感想お伺いを徹底
味感動改善率は136.9%となった。

さらに8月の「粋な店キャンペーン」でも1位に。感動比率は6月の39.9%から69.4%へ。改善率は173.9%となった。ポイントは以下の通り。
1.笑顔でファーストタッチ
2.笑顔で大きくアクション
3.自己紹介実施
4.接客機会を1卓3回以上に
  (挨拶、サジェスト、感想)
5.接客は堂々と落ち着いて
  (自信、安心感、信頼感)



超常連客からお祝いの言葉と花の贈り物

外商活動も積極的に展開した。企業(事業所)訪問である。販促物を作成し、訪問エリアを決定して、猛暑の中、ジャケットを着て複数で訪問活動に明け暮れた。「横浜西口のニッシュをご存知ですか?」と尋ねるが、予想に反してほとんど知らないという答え。3年も営業しているのに…。それでも頑張って訪問を続けた。相手にされない日々の連続でモチベーションが下がりかけたある日、一組のお客様がやってきてこう言った。「チラシをいただいたんですけど」
一瞬にして店内の雰囲気が変わった。営業中にもかかわらず、思わずスタッフ全員が歓声を上げた。苦労が身を結んだ瞬間だった。

それを機に新規の来店件数が増えはじめた。担当スタッフから「次はどこへ行こう」「チラシの在庫は何枚?」「チラシ、作っておきました」という声が自然に出るようになった。
拠点先のキーパーソンには頻繁に電話やメールで来店を促した。お客様からは「頑張ってるね。また明日も来るよ」「今度友人を連れてくるよ」「発表会に出られるといいね」という声が多く寄せられるようになった。
フォーラム参加が決定したとき、常連のお客様から励ましの言葉と花が届いた。いつしかお客様との連帯感も生まれていたのだ。サマーチャレンジ最終月、9月の売上は1741万円(前年比120.3%)、トータル外商・販促売上は300万円。みんなでひたむきに努力するうち、ふと気づけば、あたたかくて活気に満ちた最高の店になっていた。

八代支配人は「アルバイトのみんなが自発的に実施していくのを見守っていただけ」と語る。スタッフの自主性を引き出し、積極的に行動できる環境をつくり、時に適切なアドバイスを与え、時にあたたかく見守ってきた支配人の底力に感服する。

みんながまとまれば大きな力になることの大切さを、この取材を通してあらためて学ばせていただいた。読者諸君もぜひ参考にしていただきたい。
ありがとう、八代支配人、そしてnish横浜ジョイナス店のスタッフのみなさん!