毎月25%のメニュー入れ替え

柿安の経営理念である「美味しいものをお値打ちに」の精神を核に、美味しくて飽きの来ないメニューに力を入れている日比谷店。この店で開発したデトックスメニュー(体内浄化・健康食菜)には特にこだわり、ビュッフェコーナーには食材の効能も記されている。体にやさしい料理、そして100品目の中から好きなものを選べるバラエティの豊富さが、女性客の心をつかんで離さない。

しかもメニューは毎月25%入れ替わる。これにフェアメニュー(夏まつりフェア、沖縄フェア等)などが加わって、3〜4ヶ月でほぼ100%が入れ替わるという。ただし、定番のベスト4品(筑前煮、肉じゃが、有機だいこんのうま煮、ハンバーグ)だけは不動だ。

日比谷店には、ゴージャスな雰囲気、美しく仕上げられた料理、季節感のある演出、充実したデザート、個室も多くゆったりと食事ができるなど、強みが多い。夏まつりフェアではひまわりが一面にディスプレイされ、朝顔や団扇、夏のフルーツなども涼やかにちりばめられている。お客様に「ワー・スゴイ・ウレシイ!」を連発させる仕掛けがいっぱいだ。これが繁盛店の秘訣。いつ訪れても驚きやワクワク感や感動があり、顧客アンケートの答えは常に「大変満足」。「ワー・スゴイ・ウレシイ!」とはそういうことだ。「やや満足」や「普通」では繁盛店にはなれない。



ポイントは「盛り返し」と「盛り直し」

視覚に訴えるのも料理の大切な要素だ。一つのブース内でのコーディネートにも気を配る。「明るい色の料理は遠くに置いても近くに見えます。お皿の色にも配慮して立体的なディスプレイを心がけ、選びやすさや選ぶ楽しさを演出します」と三原店長。特にこだわっているのは「盛り返し」と「盛り直し」だ。

盛り返しとは、料理が少なくなったら新しい大皿で新しい料理を出すこと。盛り直しは、一つの具材だけがなくなった場合、そのパーツを加えて良い状態に整えるお色直しのこと。ビュッフェ業態ではこの二つが重要で、これをしっかり行わないとロスが出る。店長と料理担当は常にビュッフェをチェックし、いつも美しい状態で料理が提供されるよう、オペレーション指示をする。

また、新メニューが続々と登場する三尺三寸箸だが、どんな料理なのか一目でわかることが大切だという。お客様は、よく分からない料理や食べ方が分からない料理には手を出さない。人は食に関して意外に保守的なのだ。これはメニューブックにも言えること。あなたのお店のメニューブックには「見て分かりやすい料理」が並んでいるだろうか。

今回たいへん驚いたのは原価率である。理論原価は実に31%、ロスを加えた実際原価でも32%台とのこと。もちろん品目による差はある。食べ放題メニューの場合、1人1kg食べることを基準に計算する。全体のバランスを考えて料理を組み立てることが重要だ。



パーティー&ツーリストへの営業

ビュッフェ業態は、ウェイティングがかかるほどにぎわうことで、ますます繁盛する。テーブル効率アップと満席キープが命。店長には店を満席にする義務があると言っても過言ではない。

日比谷店は地下2階にあり、立地としては決して良いといえない。このため予約の営業活動を積極的に行っている。30人・60人のパーティールームがあり、主に女性を対象に、ビジネスやお稽古事、PTAの集いなどに活用してもらおうと、幅広く営業をかけている。ツーリスト関係も重要なターゲット。はとバスやJR東京一泊観光コースのツアー、宝塚観劇ツアー(東京宝塚劇場が近い)などの折に利用していただく。特にツーリスト関係はスケジュールがタイトなので、時間効率が良い。

パーティールームを30人以上で予約の際には、部屋にビュッフェコーナーも設ける。12品目ぐらいだが、ビュッフェの雰囲気は堪能できる。(これはうれしい!)



ビュッフェ業態こそコミュニケーション!

日比谷店にはお客様としっかり会話のできるP/Aが何人もいる。ミュニケーションをとりながら、女性客を意識したスパークリングワインやオリジナルカクテルなどのセールスをするのだ。夏まつりではワゴンでホールを回って一口生ビールをおすすめしたりもする。会話を通して、お客様の要望や不満もキャッチ。「お味はいかがですか」と伺って「少し塩辛いわね」と言われたら、すぐキッチンに指示して新しい料理を出す。また、店内を回りながら料理の残りも確認する。三原店長は日頃から「残っていたら料理に問題があると思いなさい」と指導している。口に出されないクレームを読み取ることも必要だ。

ちなみに、この店ではお洒落でハイグレードな女性用トイレが4つも用意されている。こういう気配りが飲食店には重要なのだ。



P/Aに考えさせるコーチング技法

日比谷店は日比谷シャンテビルと同時刻にオープンする。ビル入口の一角には日比谷店へのお客様が待機する専用スペースがあり、毎日50〜60人の行列ができている。以前は並んでいる人を無視して駆け込んだ人もいて、クレームが出た。今はオープン時間になると従業員がお迎えに行き、さながら添乗員のように地下2階までこの行列を案内する。

このような行列の実態をどうするか。席効率と時間効率、収益性の面から考えて、予約をとるべきだろうか。三原店長はこれをP/Aに自分たちで考えて実行させることにした。「考え→実行」は柿安の社是でもある。そこでP/Aリーダーを集めて考えさせた結果、予約受付について次のような方針が出された。

1.11時からは、10人以上の団体予約を受ける(パーティールームの稼働)
2.13時30分以降は一般客の予約も受ける
3.飲み放題のお客様の予約は随時受ける(客単価が2倍のため)

みんなで真剣に考えて決め、実行に移しただけあって、成果は目に見えて上がっている。

三原店長は決定事項を命令するというやり方はしない。「どうすべきか?」と質問し、店長からは答えを与えず一人ひとりに考えさせ、全員で決めて実行する。これはコーチングの最も大切なスキルである。命令するよりもたいへんなことだと思うが、やる気を大いに引き出すことができるし、考える力も実践力も確実に身についていく。

三原店長は「50人以上のP/Aをまとめていくため、リーダー格のP/Aを通じてみんなの考えを受け止めることができるよう、いつも心を開いてP/Aたちと接しています」と語る。P/Aの小さな不満に早く気づき、すみやかに手を打っていく努力を怠らないという。

三原店長の考えるこれからの日比谷店のテーマは“P/A主導の店”だ。「どんな状況にあっても、常に80点以上取れる店にしたい。店長が変わってもビクともしない店、いつでも安定した運営ができる店をつくっていきます」と、笑顔で締めくくってくれた。

これからも多くの女性客のために、「ワー・スゴイ・ウレシイ!」の声が絶えない、驚きと感動に満ちたすばらしい店を創り続けてください、三原店長!