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最高売上更新、4つの要因

 ふたごの看板メニューは、はみ出るカルビ1500円(要予約)。何と黒毛和牛250gで、原価率は80%。メディアでも話題になる驚きのメニューだ。他に、おすすめふたご盛り1580円や包めるカルビ1480円など。
 さらに驚くのは、200mの至近距離にある中目黒本館(13坪、A立地)が月に1000万円を売っているにも関わらず、住宅街で2階というC立地の別館が月1300万円を売ることだ。
 この2店舗の客層は見事に分かれている。本館がサラリーマン男性中心であるのに対し、別館は女性が7割を占め、女子会やカップルが中心で、週末はファミリーが多い。
 最高売上を伸ばし続ける要因を、李店長にお聞きした。
@常連客70%
 常連客が7割という比率は、ふたご全店の中でもトップだ。ふたごでは10回以上来店したお客様にはネーム入りのゴールドトングがプレゼントされるが、この店にはそれが400本以上ある。昨年10月にゴールドトングの400人と名刺交換(詳細後述)の400人、計800人にDMを発送。回収率は17%で、その客数は359人、併売額は157万円に上り、12月の大幅売上アップに貢献した。
A名刺交換キャンペーン
 スタッフがお客様と名刺交換。李店長は特に団体(サラリーマンや女子会)のお客様に対して積極的に実施した。ご協力いただけたお客様にはワンドリンクをプレゼント。月に50枚集めたスタッフもいる。名刺交換したお客様を店の外(階段下)までお見送りしたことの効果も大きい。「これは田中先生のアドバイスです」とのこと(笑)。
 また近隣の事業所に対し、昼間に週1回30件の外商活動を継続して行い、営業終了後(深夜)には住宅街へのポスティングもおこなった。このような地道な努力も売上更新に繋がっている。
B小さなサプライズ
 ふたごには、スタッフが肉を焼いてくれる、トイレ後のおしぼり提供、携帯電話のビニールカバー、食事の最後にヨーグルトドリンクサービス、雨の日の傘サービスなど、多彩なサービスがある。だが李店長はそれら以外に、1テーブルごとに必ず小さなサービスをするよう、スタッフに徹底させている。
 入口付近に人感センサーを設置し→スタッフが常にドアを開けてお出迎え、携帯の充電器サービス、おしぼりは汚れたらすぐに交換、残った料理(特にキムチ)がお持ち帰りできるようにパック詰め、バースデーのデザートプレートや写真撮影、お帰りの際にはヨーグルトドリンク(1リットル)をおみやげにプレゼント等々、小さなサプライズを重ねてお客様の心を楽しませ、再来店へと繋げているのだ。
Cアンケート
 中目黒別館ではすべてのお客様にアンケートを実施して、スタッフのサービス力と意識の向上に役立てている。回収率は50%。アンケート内容には、スタッフが自己紹介したかどうか、気配りはどうだったか、店の雰囲気はどうか、スタッフへの一言、などの項目がある。お客様の満足度がダイレクトに分かるため、もっと喜んでいただこうという責任感がスタッフ一人ひとりに芽生え、強まっている。

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スタッフ主体の店づくり

 李店長の店長方針は「スタッフ主体の店づくり」だ。「スタッフが主体的に店づくりをして顧客満足度を向上させ、私はスタッフのモチベーションアップ(従業員満足度向上)に集中しています」と李店長。
 ピークタイムでも店長は動き回ることなく一人フロントに立ち、お客様に「今日はいかがでしたか」と尋ねながらお見送りすることに徹している。スタッフのほうは仕事を任されていることを自覚し、責任を持って動く。こうして自立型スタッフが育っていく。
 李店長はスタッフに対し、どんな些細なことでも店長に報告するよう指導している。例えば狭い席にお客様をご案内した場合や、冷麺の提供がわずかに遅れた場合でも、スタッフは報告にくる。だからこそ店長は、お客様がお帰りの際にレジで「狭い席で申し訳ございませんでした。次回はよい席をご用意いたしますので、ぜひお早めにご予約ください」と声を掛けることができ、お客様も店内の行き届いた連携に驚き、不満を持たずに帰ることができるのだ。

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ふたごの“ハピネス”な仕組み

 ふたごでは、全店でハピネスカード(ありがとうカード)を導入している。1日1枚、感謝の言葉を書いてスタッフ同志で渡し合う。その日いちばん頑張ったスタッフには、本日のMVPとして店長からこのカードが手渡される。
 また毎月の全体ミーティングでは、このハピネスカードをたくさん配った人をはじめ、全員の投票で選ばれた今月のMVP、そしてシフト貢献度の高かった人が表彰され、店長からクオカードがプレゼントされる。(すばらしい!)
 さらに「ハピネス・オブ・ザ・マンス Happiness of the month」という仕組みがある。3カ月に1度、各店長の推薦を受けたスタッフの中から最もお店とお客様のために頑張った1人が選ばれ、オリジナルバッジと賞品が授与されて、ホームページにも掲載されるのだ。
 「ハピネス」は、お客様の幸せ、仲間の幸せ、お店の幸せ、そして自らの幸せのために頑張った人に与えられる、すばらしい仕組みなのである。

 将来の夢を尋ねると「世界に焼肉文化を広げること。アフリカの奥地にまでふたごを出店させたい。世界の人々から期待され評価される企業へと成長する一翼を担いたいと思います」と、頼もしい答えが返ってきた。
 30年後、全世界に1000店舗、1000億円。必ず達成すると思うよ。ありがとう、李スーパーバイザー(4月から昇進)!