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驚きの看板メニュー |
「俺の魚」の人気メニューは多彩だが、特に次の3品でお客様の心をガッチリつかんでいる。
@俺の玉手箱(1人前780円で、注文は2人前から)…高級魚のお造り7種盛り。とびっきり新鮮でおいしい伊勢海老・黒アワビ・紫ウニ等などの中からお客様がいずれか1品を選び、他に料理長が厳選した本日のおすすめ6種をプラス。原価率はなんと120%。玉手箱から立ち昇るドライアイスが驚きと感動を与える、お店のイチオシ商品だ。
A炙り〆サバ(あぶりしめさば、980円)…お客様のテーブルで〆鯖を炙る。食欲をそそる香りが広がる、ライブ感たっぷりのメニュー。
B雪崩れ寿司(1480円)…スタッフがテーブルで、山盛りのネギトロ巻にイクラとカニを雪崩のようにかける贅沢な一品。
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売上前年比120%の要因 |
今月お話を伺ったのは、注目業態の「俺の魚」神田本店を率いる、木村慎佑統括店長。神田本店は30坪で平均月商は1000万円。地下1階という決して良いとはいえない立地ながら、売上前年比120%と絶好調である。まずはその理由を木村店長にお聞きした。
1.玉手箱の注文率100%
これを注文しなければ来店した意味がないとばかりに、必ずアピールしている主力商品である。だから注文率は100%。もちろん極ウマだからこの数字がキープできる。刺身のうまさは居酒屋の生命線。「俺の魚」の刺身がおいしい理由は、魚のしめ方にある。「瞬間即殺鮮魚」という方法で旨味を出しているのだ。
2.価値を高める商品説明
神田本店のスタッフは、メニューをお客様に見せながら、看板の3品をはじめ旬の魚や産地をふまえたその日のおすすめ、人気の新商品等々、5〜6分かけてしっかりと、かつフレンドリーに商品説明を行う。
説明されれば食材のことがよくわかり、よりおいしくより満足して味わうことができる。これはお客様に5000円の客単価を安いと感じさせる、付加価値の高さなのだ。
3.常連客が増加中
この店の常連客は7割。「売上の75%を占めるのは、上位30%の常連客」といわれるように、売上を作るのは常連客である。
木村総括店長は最近、常連客にまつわるうれしい出来事に遭遇した。一つは、超ヘビーユーザー(ロイヤルカスタマー)が月に15回も来店したこと。経営者のお客様で、玉手箱を部下に食べさせたくて何度も来てくださったのだ。
もう一つは、スタッフが常連客の名前を覚えるせいか、お客様もスタッフの名前を覚えてくれること。お客様のほうから店長に「○○君と先日話したよ。あの子はよく頑張っているね!」などと、スタッフをほめてくれたりする。うれしい話だ。
スタッフにお客様の名前を覚えさせるため、店長はディシャップで料理などを「□□様のテーブルにお持ちして」と、名前を口に出しながら作業指示している。(すばらしい!)
4.チームワークと店の空気感、抜群
「空気で人を動かす」という言葉がある。神田本店の空気感はすばらしい。チームワークの賜物だろう。
「楽しく元気な従業員」というのが木村店長の方針。スタッフのやる気や店の雰囲気づくりに力を入れていて、スタッフと共に繁盛店見学に出かけたりする。一緒に飲みに行くことも多い。
もちろん、日頃から一人ひとりへの声がけもひんぱんだ。仕事の話だけでなく、サークルや趣味の話など、それぞれに合った内容でいつも声をかけている。コミュニケーションは質だけでなく、量も大事なのだ。
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月商500万円から1000万円へ |
創業時の苦労話を伺った。1号店の赤坂見附店(当初の店名は「くいもんや壱(ひとつ)」がスタートした頃のことだ。15坪の小さな店で、月商は100万円程度。ノーゲストの日さえあったという。
社長はもともと料理人(職人)ではない。お客様を喜ばせたい一心から、料理人なら敬遠するような、利益度外視ともいえる原価の高い商品企画を打ち出した。刺身15点盛りをテーブルで盛ったこともある。難しいメニューに若い社長と木村店長をはじめとする若いスタッフが挑み、みんなで作り上げていった。そうしてでき上がったのが、看板メニューの玉手箱である。やがて100万円の月商は450万円になった。
神田本店も2012年のオープン当時は月商500万円だった。しかしツイッターやフェイスブックなどを通じてお客様が増え続け、今では1回転目はすべて予約で満席になるほどの繁盛店に。そして現在では、月商も当初の2倍となる1000万円にまで伸びたのである。
「俺の魚を食ってみろ!!」は、『味とコストパフォーマンスが最大の強み』と食べログで評価されている。1号店オープンから3年。圧倒的なパワーで驚きと感動を広めつつある。
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店長はピークタイムにどこを見るか? |
木村店長は、ピークタイムにどこを見てどんな動きをしているのだろうか。伺ってみた。
@お客様の表情、満足度(看板メニュー提供時の笑顔など)
Aテーブルウォッチング
B料理のオーダー状況と提供時間
Cスタッフの動き・表情・言葉遣い
Dお見送り(最後にもう一度、お客様の満足度をチェック)※お客様が階段を上りながら店の感想をつぶやくのを聞く。
スタッフに対する木村店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは9:1。ほめることで、スタッフの心のスイッチをONにしていく店長なのだ。
木村店長の夢は、「俺の魚を食ってみろ!!」の店舗拡大に貢献すること。夢はこれからますます広がっていくことだろう。頑張ってください!
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