採用のポイントは、第一印象・やる気・健康

リニューアルオープンに向けて社員とP/Aの採用活動が行われたのだが、1回目の求人では10人面接して採用はゼロ。社員の紹介や本部幹部によるスカウトを含めて、2回、3回と面接が行われた。採用率は3割程度と厳しい。紹介・スカウト組はレベルが高く、素質のある人が多いと貝瀬店長は言う。

採用のポイントは以下の3つ。
1.第一印象:その人の持っている雰囲気。
これが最も重要。
2.やる気:飲食業が大好きであること。
3.健康:心身を常にベストな状態に保てること。

「この業界が大好きです。最後の転職先はKIHACHIさんだと思っています」という社員希望者もいた。独立志向があり、最後の仕上げにKIHACHIで勉強したいと考える若者も多い。向上心が高くて優秀な人材が集まるのは、KIHACHIというブランドの力だろう。

現代マーケティングの第一人者として知られるコトラーは、「優れたブランドは、平均以上の収益を継続的に確保するための唯一の手段である」と述べている(「コトラーのマーケティング・コンセプト」より)。ブランディング(ブランド構築)というのは、優れた人材を惹き付ける上でも、繁盛をキープする上でも、非常に重要なのだ。



「キレのあるサービス」を教育

銀座本店はKIHACHIの基幹店舗であり、教育店舗としての使命がある。今後、スタッフはこの店で教育を受け、(株)キハチアンドエスが多彩に展開するレストラン各店(無国籍からイタリアン、カフェ、パティスリー、ソフトクリームまで57店舗)へ配属していく責務がある。

新人(社員、P/A)教育の流れは次の通り。本部のHRを主軸にする各事業部のCS/ESチームがまず教育をし、店舗の実務へと移る。

1.マナー研修
本社にて1日かけて実施。KIHACHIの理念からミッション、挨拶や礼儀作法、電話応対まで、基本を教え込む。
2.マンツーマンのOJT
1Fと2Fのホール責任者が、1週間に渡ってマンツーマンでオーダーエントリーや商品知識などを徹底指導。
3.店長によるカウンセリング
現在の仕事状況を確認しながら、精神面や体調面でのケアを行う。
4.サービス研修
2Fのクローズタイムに随時トレーニングできるよう、環境が整えられている。
5.半年に一度の店長面談
店長は半年に一度、必ず全スタッフ(正社員16人、P/A 14人)と面談。現在の課題の確認や評価を行う。

貝瀬店長が目指しているのは「キレのあるサービス」で、新人教育でもこれを重視している。そのポイントは、1.スピーディー 2.常に笑顔 3.気遣い(ニーズの先読み)4.お客様への愛情(心を込めて行動)の4つ。この4つを高いレベルで維持してこそ、KIHACHIのサービスといえるのだ。

また毎日の朝礼では、企業理念、改善提案、お客様からの評価などが発表される。ユニークなのは早口言葉の練習。脳が刺激され、滑舌がよくなり、万全の体制で1日のスタートを切ってお客様を迎えられるからだという。読者の皆さんも参考にしていただきたい。



伸びる新人はここが違う!

貝瀬店長は、大きく成長する人には次のような共通点があると言う。

1.プラス志向
人に言われなくても自分から学び、先輩に質問し、積極的に仕事を見つけていく人は、クレームにも動揺しない。
2.豊かな感受性
相手の気持ちを自分のことのように感じることができ、ドラマや小説にも素直に感動する。
3.飲食業が大好き
好きだから一流店の見学にも行くし(食べ手としての経験も必要)、本や雑誌でも研究して、常に刺激を受けている。これが天職だと思って仕事を楽しんでいる人は、伸びるのが早い。

このような人材を見極めて採用するだけでなく、新人たちからこういう部分を引き出し、伸ばしていくのも店長の大切な役割だ。



300人以上のロイヤルカスタマーを覚えている店長

貝瀬店長は銀座本店を任されて4年目だが、ロイヤルカスタマーは実に多い。レストランウエディングをされたお客様の多くは常連となる。貝瀬店長は300人以上の常連客を覚えていて各フロア担当スタッフと共有している。これはお客様にとってとても嬉しいことであり、次のお客様への紹介につながり、こうして常連客が増え続けている。

記念日に来店するお客様も多い。最近の話だが、スタッフの一人がお客様の会話から結婚30周年の記念日であることを知り、デザートの大プレートにチョコで「ハッピーアニバーサリー」とディスプレーし、フルーツとケーキを添えて、写真とともにプレゼントした。
それ以来、このお客様はKIHACHIの大ファンになった。お客様の雰囲気から、特別の日であることをスタッフがすぐに察知し、機転をきかせてサプライズの演出をすることが大切なのだ。この店ではいつも誰かが特別の時間を過ごし、花やワイン、シャンパン、フルーツなど、その場にぴったりのプレゼントに喜びの声を上げている。

貝瀬店長が現在最も配慮しているのは、1F・2F・3Fのコンセプトの違いをお客様にいかに的確に伝え、目的に応じて活用していただけるようにするかということ。また、1Fのスタッフが2Fの予約のお客様について掌握し、常に「お待ちしておりました」とお迎えできるようにすることも重要だ。

最近一番嬉しかったことは何かと尋ねると、貝瀬店長は「リニューアル工事のため2ヶ月半も休んだのに、10人のP/Aが一人も辞めず、また働いてくれたことです」と答えた。みんな本当にKIHACHIが大好きなんですね。

店長の夢は、新しいKIHACHIの人材をこの店で育て、グループ内の他店へと輩出していくこと。貝瀬店長、優秀なスタッフを育てて、日本の飲食業をKIHACHIブランドの手でリードしていってください!