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過去最高売上更新、4つの要因

 目標は売上前年比108%〜110%で設定。17カ月連続で2ケタ成長しており、社内記録を更新中だ。その要因を伺った。
@抜群のチームワーク
 堀田店長が一番に挙げたのがこれ。スタッフの一体感があって雰囲気が最高にいいとのこと。だが店長が名張店に異動してきた2年前は、女性スタッフ同士の関係が芳しくなく、いい雰囲気とはとても言えなかった。
 そこで堀田店長は、スタッフ同士が直接ぶつかってトラブルにならないよう、批判や不満がある場合はすべて店長に言ってほしいとお願いし、問題を一つずつ解決していった。
 また朝一番の挨拶は大きな声で行うことを徹底させ、返事の状態によっては面談を実施。朝礼では店長が率先して元気いっぱいの姿勢を示した。休日を利用して出かけた飲食店の様々な事例を話したという。
 主力メンバーとのミーティングも頻繁に行った。やがて彼らから全スタッフへ、スムーズに指示が行き届くようになった。
A常連客の増加
 この店は常連客が8割を占める。オープン当初から20年働いているベテランスタッフは常連客を300人以上認識し、客席のお客様に手を振り続けている。もちろん堀田店長にも紹介してくれるので、この2年で店長も相当数の常連客を覚えた。
 最近では宴会や法事、誕生日会などの利用も増加。リピーターの証であるポイントカードを提示するお客様一人ひとりに対し、スタッフは皆、日々感謝の心を込めて頭を下げている。
B新規客への集中対応
 「新規客は最高のチャンス」と堀田店長は言う。新たな常連客をつかむことができれば売上は確実に上がるのだ。
 お客様にとって初来店の印象は大きい。このため、新規客には全員で集中して応対する。料理のレベルから盛り付けの美しさ、最高の笑顔での接客、おすすめメニューの説明、お客様を喜ばせる会話、店の外までの丁寧なお見送りまで、完璧を目指すという。(すばらしい!)
C丁寧な商品説明を徹底
 取材に同席された横井常務は、「この店の季節メニューの紹介は非常に丁寧です。食材や一品一品の調理方法までしっかり説明するんです。季節メニューのシェアはいつも20%越えで、これは社内トップです」と語った。
 店長は学生スタッフに対し、「商品説明がしっかりできたから、お客様が注文してくれたね。おめでとう!」と言ってほめる。こういう励ましが自信につながり、おすすめ上手になっていくのだ。看板メニューやおすすめメニューが売れると売上が上がるのは明白。ならば徹底してそれらを売り込もう!

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お客様のためなら「NO」も言う

 堀田店長は、キッチンから出てきた料理に厳しくダメ出しをすることがある。お客様に最高の料理を提供するためには、妥協を許さない。業者に対しても「マグロの色が悪い」「野菜の鮮度が悪い」と、自ら撮った写真を送信して問題点を指摘する。食材に厳しい店長であることが業者にも伝わり、真剣に対応してもらえるのだ。お客様のために、はっきり「NO」と言える店長なのである。

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お客様への心配りと声掛け

 堀田店長がサービスで最も大切にしているのは、心配りである。大げさなことでなく、履物を揃える、お客様が薬を取り出したらすぐ白湯をお出しする、赤ちゃんのための座布団やミルクの準備をする、雨の日にお客様の衣服が濡れていたらタオルで拭くなどの、ょっとした心配りのことだ。
 お客様が来店したら、レジで「いらっしゃいませ」ではなく、入口まですみやかに出向いてお迎えし、最高の笑顔でご挨拶する。新しいお客様を同伴された常連客がお帰りの際は「○○様、本日もありがとうございました」と、大切なお客様であることが同伴者にも分かるようきちんとお礼を述べ、できる限り外まで出てお見送りする。そんな一つひとつの心配りが重要なのだ。
 お客様への声がけも忘れない。特にお子様やお孫さん連れの方には「かわいい女の子!お父さん、将来は手放したくなくて大変でしょうね」「立派な男の子ですね。そのうちご一緒にお酒を飲めますね」というように、喜ばれるような声がけをするとのこと。(さすがです!)

全力投球で能力開発

 堀田店長はスタッフに対してマイナス言葉は使わない。「遅い」とは言わず「スピードアップできればあなたは完璧」と、プラス言葉で励まして教育する。ほめると叱るのバランスは5:5。時には厳しく叱って泣かせてしまうこともあるが、たいていスタッフのほうから「店長に言われて気づきました。自分がきちんとできていなかったことが恥ずかしい」とメールが来る。お客様のために厳しい態度をとるのも店長の仕事。スタッフが店長のことを認め、尊敬していれば、叱っても大丈夫なのだ。

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従業員・お客様・会社に感謝

 パートで歌行燈に勤め始めてから20年という堀田店長にとって、最も嬉しいのはどんなことと伺った。「長いお付き合いのお客様が多いことです。最初に来店したときは小学生だった子が結婚して子どもを連れ、伊賀上野から名張店まで来てくれるし、カップルだった人も子ども連れで来店してくれます。80歳になられる常連のおばあちゃんは、大勢のお客様を見ていつも、“従業員に感謝、お客さんに感謝やで!” と言ってくださるんです。そういうことがいちばん嬉しいですね」とのことだ。堀田店長は取材の間、感謝という言葉を何度も口にした。
 「会社の138年の歴史のおかげ。おいしいうどんのだしのおかげ。ベテランパートさんのおかげ。常連さんのおかげ。お客様とパートさんと上司に恵まれて、本当にありがたい。感謝の気持ちでいっぱいです」と語り続けた。(この姿勢が売上を向上させているんですね!)

 「毎日が必死、毎日が全力です」という堀田店長。「全力投球が能力を開発する!」という言葉を思い出した。ありがとう。すばらしい実力店長でした!