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店長の十戒

 一番軒グループには「店長十戒」という、気合いの入った指針がある。ご紹介しよう。
1.常に最高を目指せ
2.お客様の期待を超えろ
3.自らの可能性を信じ、部下の可能性を信じろ
4.高い目標を持ち、挑戦し続けろ
5.サービス精神を発揮しろ
6.徹底的に人を育てろ
7.鬼になり仏になれ
8.チームを作れ
9.マニュアルを完全にマスターし、マニュアルを超えろ
10.会社に使われるな、会社を動かせ
 今月は、総本家を任されてこの十戒を実践している、佐藤智成店長にお話を伺った。

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売上好調の3要因(土日は20回転)

 かつて焼肉チェーンの総料理長をしていたという佐藤店長。独立願望があり、名古屋ラーメン業界のカリスマといわれる三木社長のもとで修業したいと思い、入社したという。
 わずか30席の店ながら、月商1000万円、平日10回転以上、土日は20回転するという驚きの好調要因を、その立役者である佐藤店長にお聞きした。
@活気・元気・挨拶の徹底
 「ラーメンを食べる前からの感動」がモットーだと言う佐藤店長。お客様が店に入った瞬間、全員で声をそろえて活気あふれる挨拶をし、お迎えする。これが一番軒の基本姿勢だ。
 すべてのお客様に対する一礼も徹底。私も訪れるたびにこの店の「気」の入ったサービスに感心させられている。
 他店と比べて卓越した何かを打ち出すことを「差別化」という。差別化は、一つのことを徹底的に実践することによって成し得る。一番軒グループの徹底力は半端ではない。
Aスピード提供
 混んでいなければラーメンの提供時間は1〜2分。ピークタイムでも5分以内だ。お待たせしないサービスが徹底できなければ、土日の20回転は不可能。
 佐藤店長は「なぜスピード提供が大事なのか、大きな声や一礼が大切なのか。答えは『すべてのゴールはお客様のため』です。常にこの信念に基づいて、スタッフに説明しています」と語る。(すばらしいですね!)
B「最高の一杯」の完成度の高さ
 濃厚でありながら最後の一滴まで飲み干したくなるスープ。「こってりなのにすっきり」という最高の一杯を目指し、名古屋最高峰の味を伝承したいと、佐藤店長。スープづくりに携われるのは社員のみ。完成度の高い味を追求し続けることで、多くの人を笑顔にしているのだ。

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鬼軍曹の厳しさとやさしさ

 佐藤店長は、社内では社長の次に厳しい指導者だと自負している。気づいたことはその時その場で言う。どんどん厳しく叱るという。佐藤店長にとって叱るとは、しっかりと強く教えること。決して怒ることではない。怒るのは自分本位の行為であり、感情的・場当たり的なものだ。佐藤店長が叱るのは、スタッフの声が小さい時や気を抜いた時、キビキビと動いていない時、感謝の一礼がない時などで、それらに対し「しっかりしろ!」と喝を入れるのである。
 その根底には、相手の成長を願い、刺激を与え、可能性を引き出す意図がある。これはコミュニケーションの一つなのだ。もちろん、自分自身に対して常に厳しくなければ、人を厳しく指導することはできない。
 佐藤店長の叱るとほめるのバランスは8:2。たしかに鬼軍曹のごとく厳しい。だが決して叱りっぱなしにはしない。叱った後は本人の様子を観察して、「明日は頼むぞ」「期待しているぞ」「お前ならできる!」と、必ずフォローの言葉をかける。(鬼軍曹に「頼んだぞ」などと言われたら心にグッと来て、よし頑張ろうと奮起しますよね)

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スタッフへのありがとうカード

 鬼軍曹のように厳しいが人間味のある佐藤店長は、毎日スタッフ全員に「ありがとうカード」を手渡している。文字通り、感謝の気持ちを伝えるカードだ。
 たとえば店長がレジに入れなかった時には「よく気づいて入ってくれたね、ありがとう」、終日声のトーンが落ちなかったら「一日中ハイテンションですばらしかった、ありがとう」という具合に、ありがとうのメッセージを書いているのだ。スタッフは、店長が自分たちのことをよく見ていて、きちんと評価してくれていると実感できる。
 こういった日々の積み重ねから信頼関係が生まれる。「やって当たり前」で片付けてしまうのでなく、感謝の意を込めた言葉できちんと示すことが大切なのだ。「ありがとうの気持ちは当社のキーワードです」と店長。(すばらしいことです)

何事にも本気で取り組め!

 一番軒グループの店員行動指針は、次の通り。
1.仕事に誇りを持つ
2.規律と礼儀を正しく
3.泣きごとは言わない、聞かない
4.すぐやる、まずやる
5.人生に目標を持て!願いは必ず叶う
6.元気よく「ハイ」と返事をする
7.「陽気」に振る舞え、「さわやかさ」を売れ
8.社員もアルバイトも会社の一員であり、同志である
これらを一言で表すと、「本気であれ」となる。
 佐藤店長はスタッフに「一番軒総本家は名古屋の名店。ラーメン通でこの店を知らない人はいない。誇りをもって本気で働いてほしい」と常々語っている。
 LINEで業務改善などを指示すると、全スタッフからすぐに「かしこまりました」と返事や報告が入る。店長の指示を全員に伝える役割のスタッフもいる。スタッフが自分で考えた改善事項を(店長の許可を得た上で)全員に発信することもある。そういう本気の姿勢(自主性)を、店長は応援している。

 佐藤店長の新たな担当は、大名古屋ビルヂング店(名古屋駅前)のグランドオープンだ。今後の出店にも影響力を持つ、社運のかかった店舗である。これを大成功させた暁には、佐藤店長は、一番軒のFC店で独立すると同時にグループの運営にも協力していく予定とのこと。
 最も優秀な管理職とは、最も  厳しく、かつやさしい人のことを言う。厳しいけれど温かい佐藤店長の、一日も早い夢の実現と成功を祈ります。