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過去最高売上更新中の要因

 平均月商1750万円、来客は毎月2万人という繁盛の要因を、近本店長に伺った。
1.スピード提供で回転率向上
 お待たせしないスピード提供がモットー。基準は8分だが、この店では4〜6分以内に提供し、回転率を向上させている。特にピークタイムは麺場の担当を1名から2名に増やし、土日には10回転させて、時間帯客数アップに挑戦し続けている。
 時間帯客数では213人という過去最高記録を作っているが、これはスピードアップトレーニング強化の賜物だ。回転率向上の基本は、適正人員の確保と配置、そしてトレーニングである。
2.店内コンテストで接客レベル向上
 あいさつ・声がけ・笑顔を徹底。「どんな作業にも笑顔がある」と、スタッフを指導している。(いい言葉ですね!)
 二条大路店ではさまざまな店内コンテストを行っている。
@あなたのここが素晴らしいコンテスト
A活気ナンバー1コンテスト
B笑顔の良い人コンテスト
C美しい料理コンテスト
いずれも全員の投票でナンバーワンを決定し、店長が表彰する。テーマを随時変えるので、接客の幅もレベルも向上するのだ。
 私が特にすばらしいと思ったのは、日曜のランチタイムという最大のピーク時に「今から1時間、笑顔の良い人コンテストをする」と宣言し、実践してしまうこと。どんなに忙しくても笑顔を忘れてはいけないと、近本店長は強く思っているのだ。(おもしろい! いいですね)
3.床の美しさはおもてなしの心構え
 近本店長は床の美しさにこだわりがある。二条大路店はオープンして13年経つが、床は驚くほどきれいだ。実によく手入れされている。飲食店にとってこれは非常にポイントが高い。
 この店では毎朝40分間、スタッフ2名でモップがけを行い、その後必ずから拭きをする。月2回は業者にも清掃を依頼するが、スタッフは「業者さんの今日の清掃は、この部分がまだ汚れていて納得できない」などと指摘するそうだ。(店を愛するこの気持ち、すばらしいですね)
 「床の美しさはおもてなしの心構え。お客様がいないときもお客様のことを想う。その気持ちが床の美しさに表れる」と、近本店長は考えている。

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クレームから常連客へ

 月に2万人もの来客があれば、クレームが発生することもある。あるとき50代のご夫婦からレジでクレームが入った。餃子を注文したのに提供されなかったのだ。レジの様子を見て店長はすぐ謝りに行ったのだが、お客様の不満はおさまらない。駐車場まで行き、ひたすら頭を下げた。「本当に申し訳ございません。ラーメン店として失格です。すべて私の教育不足によるところであり、万事私の責任です」と、1時間も謝り続けたそうだ。この店にかける思いを切々と語り、「もう一度チャンスをください」とお客様にお願いしたのである。近本店長の誠実でひたむきな姿勢にお客様の気持ちも徐々にほぐれ、こわばっていた表情がやがて笑顔に変わった。
 店に戻った店長はスタッフに、「今のお客様の顔をしっかり覚えておいてください。ご来店の際はすぐに私を呼んでほしい」と指示した。そして1カ月後、そのお客様はご家族で再び来店。店長はすぐお客様のもとに馳せ、「先日は誠に失礼をいたしました。本日ご来店いただき、ありがとうございます。本当にありがとうございます!」と、深々と頭を下げてお詫びとお礼を述べ、さらにお帰りの際もレジで謝意を繰り返し伝えた。以来、このお客様は常連客として店を支えてくださっている。
 お客様が納得し、笑顔になるまで1時間も謝り続ける店長の姿勢はすばらしい。一人ひとりのお客様に対するこのような真摯な姿勢こそが、繁盛店を作っているのだ。

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ホスピタリティコンテストで日本一へ

 近本店長にとって最近のうれしい出来事は、本部主催の全国ホスピタリティコンテスト・ホール部門で、二条大路店のスタッフがベストホスピタリティ賞を受賞したこと。
 日本一の栄誉に輝いたこの女性スタッフは、高校3年生の時からアルバイトを始め、短大生、そして現在に至るまで、中心メンバーとして活躍している。笑顔のすばらしさ、作業のスピード感、お客様に対する気くばり・心くばり、意識の高さには抜群のものがある。
 しかし初めてコンテストに挑戦した3年前は、仕事はできるし信念も持っているけれど、熱心すぎてややもすると厳しくなりがちな態度が、他のスタッフに理解されにくかったという。彼女がこの態度を和らげて他のスタッフにうまく対応できるようにするため、近本店長は何度も面談・指導をしたのだが(当時、私にもこの件でご相談がありました)あまり進展がなく、一時はあきらめかけたという。
 だが「人は認めてほめて感謝することで成長する」ことを繰り返し伝えていくうち、彼女の態度が少しずつ変わり始めた。それを他のスタッフが感じ取るようになり、本来のすばらしい素質を含めてみんなが彼女の力を認めるようになっていったのだ。この力を発揮すれば、ホスピタリティコンテスト優勝も夢ではない、ぜひとも日本一にさせたいと店長は思った。みんなが応援した。こうしてついに、最高の賞を受賞したのである。(何事も絶対にあきらめない店長なんですね!)

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人の成長が店の成長

 二条大路店は、40人ものスタッフがいてこれだけの売上を誇る店でありながら、求人費は何とゼロ。すべてスタッフからの紹介だという。定着率も100%に近い。人と人とがつながって、成長している店なのだ。
 「自分の成長が部下(スタッフ)の成長。スタッフの成長がお店の成長、そして売上の伸長へとつながります。昨日の自分を今日1ミリでも超えることが大切。これを続けていきたいですね」と、近本店長は語る。
 夢は「丸源に関わったことで、誰かの人生を変えること。教育担当のような仕事をして、目立たない社員やスタッフにスポットライトを浴びさせたい!」とのこと。
 ありがとう、将来の教育担当部長!