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売上前年比110%の3要因

弓場店長が赴任する前の売上は750万円前後だった。異動後5カ月目から800万、850万と伸長。100万円も売上をアップさせている。売上前年比は110%である。
 この誌面でしばしば書いてきたように、異動後3カ月目ぐらいから店の雰囲気が変わり、5〜6カ月目から売上が伸びはじめるというのは、多くの実力店長に共通することだ。
 龍屋に異動する前、弓場店長はオー・エム・フードサービスの肉食薫製バルで勤務。結婚式の二次会企画では、特定のお客様が突然歌い出すというフラッシュモブスタイルのイベントで新婦を感動させたり、宴会の写真をたくさん撮影しその日のうちにアルバムをプレゼントしたりして、お客様を喜ばせてきた。サービス精神・ホスピタリティ精神いっぱいの店長である。
 そんな弓場店長が売上を伸ばした要因は、次の3つ。
1.法人客の増加
 龍屋は20〜30代の若い客層が多い店だった。しかし売上向上のため客層を広げようと、近隣企業150社を対象に外商活動をおこなった。また法人客と積極的に名刺交換を実施。このため宴会予約が増加し、40〜50代の客層が増えたのだ。(行動すれば数値は必ず増える!)
2.スタッフの定着とチームワークの醸成
 以前は高校生のアルバイトもいたが、それを大学生中心のメンバー構成にしたことでスタッフの定着率が上がり、安定したオペレーションを実現できるようになった。またサンキューカードやありがとうLINEの活用により、店の空気やチームワークもどんどん良くなっている。(詳細は後述する)
3.季節メニューの充実
 グランドメニューを年4回変更。今月のおすすめや季節メニューの充実を図っている。「たとえば夏場なら鰻、ハモ、鮎料理を出します。それから出張客のために名古屋めしも取り扱っています」と語る弓場店長。また、お通しをサラダバー形式にしているのは女性に特に人気だ。

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店舗異動後の改善ポイント

 以下は、弓場店長が異動後に改善してきたポイントである。
1.朝礼シートと反省シートの徹底活用
 朝礼シートは売上や連絡事項を記入するノートのこと。店長の今月の目標とスタッフの個人目標も毎日記入する。たとえばスタッフは「お客様との会話を増やします」「ドアの外までお見送りします」「あと一品、あと一杯のおすすめで客単価を上げます」と記入するだけでなく、反省ノートにその達成率や常連客との会話内容を書く。
 重要なのはこの記録を次に活かすことだ。「お客様に料理やドリンクがおいしかったと言われたことが書かれていれば、次にご来店の際、私のほうからそれをお客様にサービスでお出しすることもあります」と弓場店長は言う。(いいですね!)
2.個人面談の実施
 コミュニケーションで大切なのは、その量である。弓場店長は月に1回、全員との面談を実施している。
 異動直後の個人面談は特に重要だ。困っていることはないか、店に対して改善してほしいと思うことはないかなど、スタッフの想いを真摯に聞く姿勢が大事。弓場店長はそれらをしっかりと聞き、よい提案があればすぐに実行してきた。またスタッフ全員の個人的な趣味や悩みを聞いて、一人ひとりをよく知ることも重要だ。(人は相手を知れば知るほど好意を持つものだ)

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<相手を知るための基本項目>
@家族構成、誕生日、出身地、学校名と専攻
A好きなこと(趣味、スポーツ、音楽、本など)
B嗜好(食べ物やお酒など)
Cよく視聴する番組(ニュース、ドラマや映画、バラエティ、ドキュメンタリー)
D性格(温厚、優しい、誠実、熱血、気が強い、など)
3.スタッフ教育の強化
 スタッフ教育も意識的に強化してきた。全員に持たせているノートはその代表的なもの。ホールは商品知識のノート、キッチンは料理ノートを持ち、それぞれ店長や料理長から学んだことや商品マニュアルを記入して勉強しているのだ。
 またクレンリネスの意識向上のため、5S教育や手が空いたら清掃する習慣も徹底。特に口を酸っぱくして言い続けたのは、ラウンドサービスに関する目配りや心配りである。おしぼりや取り皿の追加、灰皿交換、アルコールのペースからタバコの銘柄まで、小さな情報をたくさん集めてパーソナルなサービスを実践し、スタッフのサービスレベルを向上させていったのだ。(すばらしい!)
4.ありがとうLINEとサンキューカード
 弓場店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは8:2。とことんほめるタイプの店長だが、叱るときは本気だ。もちろん、叱った後はしっかりフォロー。「ほめて・叱って・励ます」を心がけている店長なのだ。
 オー・エム・フードサービスには、「ありがとうLINE」や「サンキューカード」といったほめる仕組みがある。
 ありがとうLINEはスタッフのグループLINE。「A君の気配りが素晴しかった」「Bさんの作業スピードが早くなった」と、店長から全員に送信する。サンキューカードはスタッフ同士や店長からの感謝の気持ちを記入するカードで、「参加する」「知識をつける」「心をこめて」の3種類がある。大きなことでも小さなことでも、自分がしてもらってうれしいと感じたこと、スゴイと思ったことを記入して、事務所に掲示する。
 この2つの仕組みは、チームワークの向上や店の雰囲気づくりに大いに役立っている。
 また会社全体の仕組みとして、全店の営業日報を社員用LINEで閲覧できるようにしている。最近売れているエリアの情報、業績の良い店の成功事例なども全社員で共有できるのだ。

 弓場店長の目標は、3年後に独立すること。オー・エム・フードサービスには独立支援制度がある。夢の実現を会社がバックアップしてくれる、安心の体制が整っているのだ。
 弓場店長の将来の大成功を確信しています。頑張って!