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売上前年比110%の3要因

 新宿ミロード店は7月・8月ともに月商1500万円を超えた繁盛店。田村店長の店舗目標は「パステルでナンバー1、地域でナンバー1の店づくり」で、売上前年比も110%と好調だ。その要因をお聞きした。
1.リニューアル効果
 今年2月に改装を実施し、ドリンクマルシェ(ドリンクバー)の導入やキッズメニューの充実を図った。ドリンクマルシェには、最新のアイスグリルドコーヒーサーバーも設置。女子会やママ友などの利用増加につながった。
2.2時間制の導入
 ドリンクバーの導入は本部でも迷ったという。回転率の低下を懸念したためだ。実際に改装オープン後1週間は回転率が低下し、売上も前年を下回った。そこで、満席でウェイティング状態のとき限定で2時間制を導入。ご案内時だけでなく2時間経過後にも丁寧に説明を行っている。
 この制度の導入により、土日の売上が10万円向上した。「これはターニングポイントでした」と田村店長は振り返る。カジュアルレストラン業態での時間制導入例は決して多くない。勇気ある決断だ。
3.ナンバー1の誇りとコミュニケーション
 田村店長は、スタッフ採用面接時やオリエンテーション、ミーティング時にいつも「新宿ミロード店はパステルイタリアーナでナンバー1の店です。ここで働くことに自信と誇りを持ってほしい」と語っている。「この自信と誇りが日々の営業につながるからです」とのこと。
 常に明るく元気いっぱいの田村店長。スタッフとのコミュニケーション量はとても多い。その際には2つの顔をバランスよく使っている。仕事の顔とプライベートの顔だ。そのタイミングと量の多さで、心の距離感が縮まっていくのだ。
 スタッフの夢や目標を聞き、それを目指すにはこの店で何を学べばよいかアドバイスもする。彼らが将来自分の子どもに、この店での仕事が「大変だったけど本当に楽しかった」と語れるようになってほしい、そんなふうに自慢できる店をつくりたいと、田村店長は言う。
 スタッフの定着率は90%。卒業までの4年間、みんなしっかり働いてくれるという。

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田村店長の、ちょっといい話

●うれしいメール
 田村店長がまだ店長ではなかった頃の話。田村社員の元気な挨拶やお見送りに対し、居酒屋っぽいとの声はあったものの、ほとんどのお客様からは好感を持っていただいた。
 あるとき、そんな田村店長の姿を見た女性客からの長文メールが本社に届いた。その女性は一緒に来店した彼と、別れ話でケンカになったという。険悪な空気に包まれた二人。だがやがて、元気いっぱいに「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」を繰り返す田村社員の大きな声とさわやかな笑顔が、二人の目と耳に飛び込んできた。ケンカの真っ最中だったのに、二人して思わず笑ってしまったそうだ。
 「なんて明るくていい笑顔だろう。お客様のために一生懸命やっているんだ」と思った瞬間、ハッと我に返って「私たち、これでいいの?」と自問した。つまらないことで争っていることが、急にバカバカしく思えてきたという。
 「あなたの姿を見て元気をもらい、仲直りしました。そしてこのたび結婚することになりました。本当にありがとうございました」と、メールは締めくくられていた。
 飲食店は何と素晴らしい空間なのだろう。元気な声や明るい笑顔一つで、人を幸せにできる場所なのだ。
●涙の卒業式
 3月になると、複数名のアルバイトが卒業を迎える。田村店長は彼らのために毎年卒業式(卒業証書授与式)を行う。卒業証書の文面には、店のために4年間頑張ってくれたことに対する店長からの感謝の言葉と、忘れられない思い出がいっぱい詰まっている。
 また卒業生も、店長にほめられたことや言い争ったこと、お客様に喜ばれたことやバイト仲間との楽しい思い出など、4年間の出来事を振り返りつつ、一人ひとり自分の言葉で全身全霊を込めて語る。最後までやり遂げた達成感、店長への感謝の気持ち、仲間やチームワークの大切さを教わったと語りながら号泣する卒業生たちの姿を見ると、我慢できずに店長も号泣してしまう。
 「店長は、スタッフが直面するさまざまなシーンをはじめ、人生の節目や門出にも立ち会います。良い影響を与えたいですね」と、田村店長。私たちは、若者を育てるという大切な役割をも担っているのだ。

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女性スタッフのやる気の高め方

 田村店長は、少しの時間を見つけてはスタッフと話す(スタンドミーティング)。良いこと・悪いことははっきり伝え、真正面から向き合う。グループLINEでも想いを伝える。みんなのおかげでこの店は成り立っているんだとメールを送る。
 思いやりのある温かいおもてなしも徹底させている。たとえば、常連客の中には視覚障がいのあるお客様が何人かいらっしゃるのだが、その方たちのためにメニューを読み上げたり、トイレのご案内をしたり、新宿駅南口の改札まで誘導・お見送りするといったサービスも行う。(すばらしい! だから常連客になっていただけるんですね)
 新宿ミロード店は女性スタッフが多い。田村店長はその力を引き出して店の雰囲気を高めている。女性スタッフのやる気の高め方は次の通り。
@一人ひとりをほめて、それぞれのパワーを引き出す。
A個人名で呼び、親しく声をかける。
B元気がない時は、すぐに個人面談。
C女性は公平さを重視することを常に意識し、全員とフェアに接する。

 田村店長の望みは、外食産業の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらうこと。そして、新卒の入社希望者が引きも切らない人気業界として注目され、社会的地位をより高めることが夢だという。
 こんな愛情いっぱいの実力店長が増えれば、ますますこの業界は発展しますね。ありがとう、パステルイタリアーナ ナンバー1店長!