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5年連続売上伸長、その3つの要因

 大野店長の店舗目標は「ワクワクするお店づくり」。非日常の空間でエンターテインメントを楽しんでいただきたいという。お客様がワクワクするには、まずスタッフがワクワクしなければならないと考えている。

1.グランドメニューの変更
 グランドオープン時のメニューコンセプトが明確でなかったため、洋食キッチンスタッフが練り直し、ステーキやグリル料理、女性客に大人気の石焼チーズリゾットなど、ワインに合うメニューに変更。またコースメニューも充実させた。ハーブが香るチキングリルコース3500円、厚切り牛リブロースステーキコース4000円、20日間熟成肉のリブロースコース5000円など。

2.常連客の増加(リピート率50%以上)
 オープン当初のリピート率は20%台だったが、ここ数年は50%台で推移し、売上も2ケタ成長が続いている。常連客を増やす上で店長がスタッフに特に意識させているのは、ワインの説明とおすすめメニューのサジェストだ。「ワインを選ぶ楽しさをお客様に知ってもらいたいんです」と、ソムリエ資格を持つ大野店長は言う。
 営業時間は18時から翌朝5時まで。深夜は仕事を終えたサービス業のお客様でにぎわう。バースデーなどのアニバーサリーのお客様も多い。1日3〜4件は入り、月間売上は300万円以上になる。店内を暗くして音楽を流し、お客様全員とスタッフでお祝いする。常連のお客様が多いおかげで、店内は一体感で盛り上がる。

3.チームワークと飲みニケーション
 大野店長は社員やスタッフと共に、しばしば視察や勉強を兼ねて繁盛店の見学に行く。ちょっとした飲みニケーションなら週2回ぐらい、全員との飲み会も月1回はするという。「コミュニケーションに必要なプライベートの顔も、飲み会ではいっぱい見せます」と大野店長。また社員がスタッフを厳しく指導することが多いので、店長がスタッフをフォローすることもあるそうだ。(いやいや、店長もけっこう厳しそうですが…)

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プロポーズの演出から結婚式の二次会まで

 ある男性客から、お付き合いしている女性の誕生祝いの後でプロポーズしたいという、一連の演出依頼が入った。お任せくださいと店長は快諾した。
 定番の素敵なバースデー祝いが終わった後、ガラスのキャンドルスタンドを両手に持ったスタッフ5人が、真っ暗な店内を厳かに歩き、そっとそれをお客様のテーブルに置いた。キャンドル30本のゆらめきが幻想的な雰囲気を醸し出す。他のお客様も、何が起こるのかしらと固唾をのんで見守っている。そして男性は彼女に指輪を差し出し、「結婚してください」とプロポーズしたのだ。彼女の目から涙があふれてぽろぽろとこぼれ落ちた。そこに立ち会った全ての人が幸せを感じた一瞬だった。
 このカップルはこのときの演出に感動し、結婚式の二次会もこの店で開催。100人のゲストの前で新郎は「スタッフの皆さんによるすばらしい演出でプロポーズでき、結婚に至りました」とお礼の言葉を述べてくださった。店長として最高にうれしい瞬間だった。
 この店ではアニバーサリーのお客様(本人)に、スタッフや他のお客様からもわかる目印として、光るブレスレットを着けていただいている。いろいろな人から「おめでとうございます」と祝福されるのだ。また、お帰りの際に階段を上る途中でも、さらに1階に着いてからも、スタッフが「ハッピーバースデー!」などと言いながらたくさんのクラッカーを鳴らす。そしてみんなで笑顔で手を振ってお見送りする。最後の最後まで続くサプライズいっぱいのお見送りは、まさに感動モノ。この店は、ダイヤモンドダイニングの中でもいちばんクラッカーを鳴らす店なのだ。

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「スタッフ全員ワイン大好き」が店の強み

 大野店長は料理の品質には特にこだわっていて、気になることがあれば料理長に対しても「ステーキ、ちょっと焼き過ぎでは?」「作り直したら何分かかりますか?」とダメ出しをする。すると料理長はすぐに作り直しをする。(いいですね)
 店の強みを問うと、大野店長は「スタッフ全員が大のワイン好きであること」だと即答。もたついていた新人(社員)がワインエキスパートの資格を取るまでになったり、ソムリエの勉強をするアルバイトスタッフが増えたり、「ワインセラー買いました」とアルバイトが報告してきたり…。全員が本当にワイン好きで、お客様にもおいしく飲んでいただきたいと思っている。その気持ちがお客様にも伝わっているのだ。
 スタッフはみんな、お客様の名前よりも先に好みのワインを覚えてしまうという。顔とワインが一致するのである。(すばらしい!)

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「店で気になっていること」は?

 スタッフとの面談回数は多いという大野店長。面談の際に聞く主な内容は、@体調、A店で気になっていること、Bプライベートなこと、である。Aは特に重要だと考えていて、気になっていることをスタッフが自ら解決するよう導いていく。それは彼らの将来に必ず役立つ姿勢でもある。店長が言ったことをそのままやるのでなく、自分で考えて実行することでスタッフは成長する。「成長したときはめちゃめちゃほめます」とのこと。

 日本人のワインを飲む人口(現在5%)を、ビール人口(60%)よりも増やすのが大野店長の夢。「これを叶えるために毎日啓蒙活動してます!」と語ってくれた。ワインに賭けるこの情熱が、5年連続売上伸張をもたらしているんですね。神ってます、大野店長!