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売上好調、3つの要因(月商2000万円)

 上野LIVEは九州熱中屋売上ナンバー1店舗であり、平均月商は2000万円。売上前年比も105%と伸ばし続けている(5%アップ=100万円アップ)。12月には3100万円を記録した。客単価は3800円。40〜50代のサラリーマンが客層の6割を占める。
 井口店長は、大学時代に居酒屋チェーンでアルバイトして飲食業界のすばらしさを知り、当時の店長の影響を受けて3年前に入社したという。25歳にしてナンバー1店舗を任されている若きエースに、売上好調の要因をお聞きした。

1.九州のおいしい料理を再現(サバ・餃子検定)
 まずはメニューに驚く。新聞スタイルなのだ。タブロイド紙風の8面構成である。1面にはど〜んと「日本中に旨いサバを届けたい!!」のタイトル。そそられる看板メニューが並び、「サバを愛しすぎて自社で育てちゃいました!」などという記事もあったりして、かなりインパクトがある。
 熱中屋では、最高の食材と技術と熱い想いで感動の料理を提供している。その取組みの一つとして、サバ検定と餃子検定を実施。たとえば五島豚を使った餃子は一個一個手づくりで、スタッフは技を高めるため日々精進し、年に4回行われる餃子検定でその技とタイムを競う。21段階の段位があり、最強の称号を目ざして熱い戦いが繰り広げられる。
 そんな餃子を筆頭に原材料の生産者とつながった料理が多く、それらを手間ひまかけて手づくりしたこだわりのメニューが、お客様に支持されている。「キッチンとホールのスタッフ全員で、生産者の想いをお客様に届けようと頑張っています」と井口店長は語る。

2.「食で笑う」理念を貫くサービス
 「美味しいものを食べてる時が一番幸せ」と感じられる、温かい空気に包まれたお店にしたい。このお店にいる時は笑って過ごせる…そんなお店づくりがしたい。「食で笑う」という理念には、そういう想いが込められている。
 お客様の来店時には「お客様来んしゃったばい。(全員で)いらっしゃいませ!」お帰りの時もやはり全員で「また来んしゃいー!」九州弁のコールがほのぼのあったかい。
 井口店長はサーバーコンテストでも優勝した、サービスのプロ。コンテストでは@シチュエーションによって接客対応を考える、Aお客様のアクションサインを見逃さない、Bお題に沿った最高のスピーチをする、などの課題をトップでクリアした店長だけに、スタッフのサービス意識と技術の向上には特に気を配っている。

3.抜群のチームづくりとコミュニケーション
 活気ある店づくりのため、朝礼では全員で発声練習に集中。またスタッフとのコミュニケーションを充実させるため、オープン前の食事や休憩中のまかない(料理長の愛いっぱい!)を一緒にとるよう努めているという井口店長。「まだ勉強中です」と言いつつ語ったチームづくりのポイントは、次の通りだ。@目標(チーム目標の徹底、売上、オペレーション、活気) A役割分担(目標を達成するためのフォーメーション、ポジション) B自律(スタッフ全員に責任感を持たせる) C情報共有(グループLINE)で目標・教育・チームづくりの共有) D実行力(上記4つを行動に移す) 基本を踏まえつつ店長のマネジメントがしっかりと整理された内容だ。(すばらしい!)

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「何を教えるか」より「誰が教えるか」

 お客様やスタッフとの関わりで井口店長が嬉しいと思うのは次のような、日々のちょっとした出来事である。
 たとえば、30代のサラリーマンが「熱中屋さんの料理は本当においしいから」と、お母さんを連れて来店したこと。井口店長が上野LIVEに移動したばかりの時のことで、親孝行な息子さんに思わず心がほっこりしたそうだ。
 またこんなこともあった。学生スタッフの一人が日体大の集団行動に参加していて、家族やお世話になっている人を発表会に招待するよう指導者に言われ、そのスタッフは店長を招いたのだ。「店長のために全力で頑張ります!」と言われて感激。そして当日は、彼らの一糸乱れず動く姿に心を打たれたそうだ。(すばらしいスタッフがいますね)
 井口店長には、店に対するシンプルな目標がある。@自分がお客であったら行きたい店、A従業員であったら働きたい店。@とAはたいてい連動しているものだ。それゆえに彼は、スタッフへの対応と教育に気を配っている。
 スタッフの提案に対しては早いレスポンスを心がける。たとえばドリンク担当がジョッキを増やしてほしいと言えばすぐに追加発注するし、作業効率を上げるためにホールのステーションを増やしてほしいという意見が出ればすみやかに増設する。LINEでの質問にもスピーディに答える。また常にスタッフ一人ひとりをよく見ていて、髪型や服装の変化にもすぐ気付き、こまめに声をかける。そんな井口店長のほめると叱るのバランスは9:1。ほめて育てる店長なのだ。
 「何を教えるかよりも、誰が教えるかが重要だと思います。その『誰』にふさわしい人になれるよう努力しています」と彼は言う。(25歳の若さでそう言えるのは立派です)「この店でアルバイトすることで、一生懸命さ、素直な心、人に対するやさしさや感謝の気持ちなどを育んでほしい。そんな想いで日々仕事をしています」と語ってくれた。

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 大学時代に奨学金制度を利用していた井口店長の夢は、会社(飲食チェーン)による奨学金の援助だ。店でアルバイトをすることで奨学金が無利子になる、あるいは入社することで返済免除になるといった仕組みを作り、学生たちが安心して学び働けるようにするとともに、飲食店の社会的地位向上も図りたいとのこと。すばらしい社会貢献だね。ゴールデンマジックで実現できると思うよ。ありがとう、若きエース、井口店長!