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売上伸張ナンバー1、3つの要因

 「社員とアルバイトが、おもてなしへの高い意識をもって営業に取り組む」、これが明田店長の営業方針だ。売上伸張ナンバー1の要因は、次の3つである。
1.様々な形で利用できる和モダン空間
 入口はホテルのロビー風。ウェイティングスペースも落ち着いた雰囲気。お洒落でゆったりとした和モダンの店内。いろいろなシチュエーションに合わせた席を用意でき、仕切りによって様々な人数用の個室づくりもできる。100人の宴会にも対応可能で、大手企業の予約も多い。
2.見て楽しい、食べて美味しい!
 前述した4大看板メニューの中で一番人気は、浜松大橋をかたどったてんくう大橋出し巻き玉子だ。21センチの特大サイズで、インパクトがある。鶏の唐揚フル振るシェイクは、ジューシーな若鶏の唐揚げと好みのソース(4種)を壷に入れてスタッフがシェイクする楽しいメニュー。振って振って和じあんフライドポテトもシェイクメニュー。大葉と塩昆布のおいしさが絡み合う一品だ。またアンケート用紙に記入していただいたお客様は、食後のデザートが無料になる。(いいですね)
3.当たり前のことを徹底
 「当たり前のこと」とは、お出迎えやお見送りに集中、丁寧な商品説明、笑顔と活気など、サービスの基本のこと。明田店長はこれらをスタッフに徹底させている。「私は料理の面でもサービスの面でも、スタッフのサポートに集中しています」と明田店長は言う。ピーク時でも店長自身はフォローに徹し、全体を見ながら余裕のある運営をしているのだ。店長はスタッフを自立成長させるためのサポーターである。指示・命令するのではなく、サポートして育てていくことが大切。これを“当たり前のように”実践している明田店長の言葉に、頼もしい強みを感じた。

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店長はピークタイムにどこを見るか?

 余裕のあるオペレーションをしている明田店長だが、ピークタイムには特にどんな点を気を付けて見ているのだろう。
@フロントの対応(入口周辺の様子、お迎えとお見送り)
Aお客様の表情、しぐさ
Bスタッフの態度、言葉遣い、表情、しぐさ
Cテーブルの状況(テーブルウォッチング)
D料理と提供時間
E落ち着いた雰囲気づくり
上記の6つのポイントに留意し、スタッフをサポートしているという。特にEの落ち着いた雰囲気づくりには気を遣っているとのこと。

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ほめて育てる店長

 明田店長がうれしいと思うのは、「お客様の方から私の名前を呼んでいただけた時」だ。店長目当てで来店する常連客が増えてきたという。またスタッフとの関わりで特にうれしかったのは、前任の店長がさじを投げるほど成長の遅かったスタッフが、明田店長が良いところを認めながらほめて育て上げた結果、今やアルバイトリーダーになるまで大きく伸びたことだ。まさに、ほめて育てる店長である。
 明田店長は、採用時にももちろんじっくり人を見ている。採用基準は、@第一印象が良い(素直さ、笑顔) A協調性がある B質問にはっきりと答える Cシフトへの柔軟な姿勢 である。特に@では面接時のあいさつに注目している。あいさつがきちんとできない人は、そのまま帰ってもらうこともあるそうだ。

チームワークを高める方法

 明田店長がとても大切にしているのは、スタッフのチームワークである。チームワークを向上させるポイントを伺った。
1.ほめると叱るのバランスは9:1
 「店の空気が売上をつくる」といわれる。空気感を高める大きな要素の一つがスタッフの雰囲気だ。一人ひとりが気持ちよく働ければ、雰囲気はどんどん良くなる。だから明田店長はスタッフを大いにほめて、やる気を引き出す。ほめると叱るの割合は9:1。「よく気付いたね」「やるじゃん」「さすが○○さん、スゴイな〜」と声をかける。店長が気付かなかったことをお客様にサービスできたスタッフのことは特にほめている。
 ほめるのはおだてることとは違う。ほめる目的は、スタッフに身に付けさせたい行動を強化することにある。そのためには、その行動に焦点を当てて、それをしっかりと認めた上でほめる必要がある。そうすることで一人ひとりのモチベーションが上がり、それがチームワークの向上にも繋がっていくのだ。
2.指示・命令よりも、お願いする
 チームワークを高める要はコミュニケーションの量である。明田店長は声掛けやスタンドミーティングの量が多い。その場合、「お願いしてもいい?」や「これ、今できるかな?」というように、指示・命令ではなくお願いするスタイルをとっている。そうすることで、自立型スタッフを育てている。
3.マルチに動けるスタッフを育成
 掛川駅前店にはマルチに動けるスタッフが多い。キッチンもホールもできるスタッフは、自ら判断して弱いポジションをフォローする。このため生産性もチームワークも上がっていく。また店長自身がプライベートなことも進んで開示しているので、スタッフもそうしてくれる。何でも相談できる兄貴のような存在だ。そんな店長を見て、スタッフは心の距離感を縮める力も身に付けているのだ。

明田店長の夢は、将来レストランで独立すること。この実力店長シリーズで紹介した店長には独立を果たした人も多く、すべて成功していますよ。頑張れ、明田店長!