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10年連続売上伸長、3つの要因

1.看板メニュー(桜えび系麺類 商品シェア26%)
 桜えび系麺類が26%。桜えび系丼が7%、単品が3%なので、桜えびシリーズで36%を超える。駿河湾産の桜えびかき揚げの大きさは10センチ×3センチで、インパクトがある。ナンバー2の静岡おでんのシェアは12%。津藤方店は本部のおでんコンテストでもナンバー1を獲得している。カレーうどんも人気上昇中だ。津の国道23号線沿いという郊外立地で、松坂や四日市から車で来店するお客様も多く、商圏は広い。
2.家族のようなチームワーク(あいさつの徹底)
 店長方針は「笑顔でみんな楽しく! スタッフもお客様も業者様も!」。そのおかげだろう、この店のP/Aの定着率は100%。学生の卒業以外で辞めるスタッフはいない。なんと、オープン当時から10年勤めているスタッフが3人、8年が1人。この店と大室店長が大好きだからだ。親子で働いている人も。お姉ちゃんのアルバイトから始まって、妹、お母さんと続き、高校生の弟まで働いているというからすごい! 本物の家族もいるほどのアットホームな店で、チームワークは抜群だ。
 この店ではあいさつが徹底されている。「おはようございます。今日も1日お願いします」に続いて、全員で「お願いします」。「今日も1日お疲れ様でした」に続いて、全員で「お疲れ様でした」と笑顔で一礼。これが100%行われている。「ハイ」の返事が気持ちよく、私にもしっかりとあいさつしてくれる。本当にすごいと思う。たかがあいさつと思ってはいけない。多くの会社をサポートしてきたが、これが徹底できているのはほんの一握りの会社なのだ。
 スタッフに対する店長のコミュニケーション量は多い。スタッフ一人ひとりの性格、得意・不得意、家族構成、趣味などをよく分かっている。いつも会話しているからだ。
3.常連客の多さ
 広告・販売促進は1度もやったことがない。だが口コミで評判が広がり、タウン誌などで「読者が選んだおいしい店」として紹介される。
 店長もホールスタッフも、たくさんの常連客を覚えている。10年勤めるスタッフは、300人以上の常連客を認識しているという。ずっと通い続けてくれるお客様からは、「最初の頃はお腹の中にいた子どもが、今では10歳。この店の桜えびそばで大きくなりました」「うちのおばあちゃん、先日亡くなりました。この店のまぐろ丼が大好きでした」などと言われたりする。
 店長の人柄やスタッフの明るさ・礼儀正しさに感動した業者さんが、友人・知人に宣伝してくれることもある。とにかく口コミが多く、その力は絶大だ。先日も、津駅からタクシーで往復4000円もかけて桜えびそばを食べに来たお客様がいる。(まさにお客様がサポーターなんですね!)

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今日ご来店のお客様は、また来てくださるだろうか?

 鐘庵本部の常盤取締役(FC統括)は、津藤方店の強みと売上伸長の要因を次のようにまとめている。
@シフト入店時のあいさつの徹底。店は「神聖な場所」であり、今からここで働かせていただくという、感謝を込めた姿勢が貫かれている。
Aクレンリネスの徹底。手が空いたら清掃。とことん清掃。ガラスまでピカピカだ。
Bドアにお客様の手が触れたら、全員体をお客様に向けてしっかりとあいさつ。
C女性中心の運営で、店内は柔らかく優しい空気に包まれている。徹底した気配り・気働き。全員笑顔100%。
D余分な私語は一切なし。スムーズな接客用語とオーダー用語のみ。(一流のフランス料理店のよう)
Eお客様からすると、1人の担当スタッフに接客されているというより、ごく自然な感じで全スタッフからおもてなしを受けている印象。
Fウェイティングボードの名前は消すのではなく「ありがとうございます」のゴム印を使用。
G会計終了後は出口まで付き添い、感謝の一礼。
H店長・オーナーからの直筆コメントを多数掲示。
I従業員全員が店長の大ファン。「楽しくてしかたない」と全員が口を揃える。
 (…お忘れかもしれませんが、ここは客単価840円のそば・うどん専門店ですよ。すばらしいですね!)常盤取締役は直営店の店長を連れてこの店の視察に来るという。学ぶべきことが非常に多い店だからだ。
 だが大室店長は「まだまだです。1日を振り返ると、あれもできなかった、これも不十分だったと反省ばかり。今日ご来店のお客様がまた来てくださるかどうか不安で…。だから目の前のお客様に心から感謝して大切にしなくては。日々真剣勝負です」と語る。
 この謙虚な姿勢で、10年連続売上を伸長しているのだ。心配性の人は成功するといわれる。「永遠に未完成」とはディズニーランドのコンセプトだが、この姿勢こそが大事なのだ。

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毎日感謝の「ありがとうノート」

 この店には、嬉しかったことや幸せに感じたことを全員が書き綴る「ありがとうノート」がある。「店の入り口の花が咲いた。ありがとう」「今日の天気はすばらしい。ありがとう」「手作りのお菓子をありがとう」「フォローに入ってくれてありがとう」「お客様の名前を教えてくれてありがとう」等々。ありがとうがあふれる店なのだ。
 店の空気が売上をつくるといわれる。この店の空気は感謝の気持ちに満ちている。だからいつだってお客様に「気持ちがいいね」と言っていただくことができ、それが売上に反映されている。

 最後に大室店長は、「不安なことばかりで気が抜けない毎日ですが、お客様に声をかけられたり、お礼の言葉をいただいたり、スタッフさんたちからありがとうノートで「ありがとう」と言われると、本当に幸せを感じます。これからの10年もさらに伸ばし続けられるよう頑張ります」と、締めくくってくれた。
 大室店長のお客様愛・お店愛・スタッフ愛で、これから10年でも20年でも伸び続けると思います。頑張れ、大室店長!