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売上好調、3つの要因

1.全員参加の店舗ミーティング
 田上店長の店長方針は「一人ひとりが主役、チームワークを大切に!」だ。アルバイトスタッフと共に名駅南店を作り上げ、成長させていくため、全員参加の店舗ミーティングを定期的に実施することを今期の目標としている。
 今月のテーマは「原点復帰」(決められた基準点に帰ること)。以下の5項目がどれぐらい徹底できているかを話し合った。@笑顔で元気よくお出迎え、A提供後の一礼、Bお客様の来店時に太鼓を叩く、Cキッチンとホールの相互の声がけ、D従業員同士の挨拶。
 ミーティングでは、店のオペレーションに対する改善点や自由な意見を出し合い、全員でディスカッションする。店長は発言を控えている。みんなで考えて実行することで、自立型スタッフを育てていきたいからだ。(いいですね!)
 なお全体ミーティングについては、どんなことをすべきかという質問がセミナー等で多く寄せられる。以下、内容と流れの例を挙げるので参考にしていただきたい。
@本日の議題と進行の説明(店長)
A先月の問題点と今月の目標提示(店長)
B新しいキャンペーンの紹介(副店長)
C新商品の紹介(副店長)
Dディスカッション(アルバイトリーダー)
E今月のベストアルバイト表彰(店長)

2.決めたことの徹底
 顧客満足度を上げるにはQSCオペレーションの質を下げないことが大切だと、田上店長はスタッフに言い続けている。最も重要なのは「基本の徹底」だ。それは入店時の声出しから始まる。「おはようございます」(全員で「ヨ!」) 「声の出し方」(ヨ!) 「タイミング」(ヨ!) 「意識します」(ヨ!) 「串カツあらたへ」(ヨ!) 「今日も1日お願いします」(お願いします!) 入店時にはいつもこれを、お客様がいる時でも大きな声で行う。
 またキッチンとホールの声がけもお客様の前ではっきりと言う。たとえば提供が少しでも遅れた場合、ホールスタッフは大きな声でキッチンスタッフに確認し、その後お客様に「もうすぐお出しできます」と伝えて安心していただくのだ。こんな小さなことの徹底が大切なのである。決めたことが徹底されているか。他店よりもすみやかに確実に行われているか。これが競争の本質である。

3.チームワークと一体感
 「名駅南店の強みはチームワークです。高校生のスタッフも多いけれど、みんな協力し合ってよく頑張ってくれています」と田上店長は言う。私自身も友人と来店した折り、高校生アルバイトの丁寧な仕事ぶりに感動した。帰り際に串カツあらたのオリジナル手袋をプレゼントされ(後述する)、真冬にも関わらず店の外で90度のお辞儀をされ、温かい笑顔で見送られたのだ。
 田上店長は、チームワークや店内の一体感を高めるためにスタッフとのコミュニケーションをひんぱんに行っている。休憩時やバックヤードにおいては、趣味やマイブームなどの雑談をいっぱいするよう心がけている。またグループLINEでは、連絡事項を始め誕生日メッセージなども発信。スタッフが考えた改善提案などは、店長がチェックをした上で、本人から全員に向けて発信される。

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串カツあらたの「乾杯コール」

 田上店長が店舗運営で特に気をつけているのは、「空間づくり」と「お客様に元気になっていただくこと」だ。
 あでやかな金屏風に心が浮き立つ和風の空間を背景に、お祭りのように活気あふれるおもてなしでお客様を魅了する。スタッフははちまき姿で元気いっぱいにお出迎え。お客様が来店するや、スタッフは駆け足で入口へ。「2名様ご来店です。いらっしゃいませ〜」というかけ声に続いて、ドンドンドンドンと太鼓が鳴り響く。「ご新規2名様、ようこそ串カツ(ドンドン)あらたへ〜」とにぎやかにお迎えする。
 ファーストドリンクを提供したら、「グラスをもっていただけますか?」とお客様を促し「さあ行きますお客様、カンパーイ! 今日も1日お疲れさまでした」と乾杯の音頭を取るのだ。(元気になります!)
 お見送りは店の外まで出て、90度のお辞儀を7秒間。お客様の背中に感謝のビームを送る。これでリピーターが増えていくのである。

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ちょっといい話

 名駅南店での、最近のちょっといいエピソードを2つ。1つは中国人旅行者の話。8人で来店し、とても気に入っていただけたようで、「明日も来るね」と言って帰られた。とはいえ旅行者なので、再来店は無理だろうと田上店長は思っていたのだが、翌日再び来てくれたのだ。しかも今度は15人で訪れ、誕生日会までやってくれた。わずか3日間の旅程中2日もこの店で食事をしてもらえたことに、スタッフ全員感激した。
 もう1つはオーストラリアからの男性客の話。1人で来店し、和のインテリア、太鼓、活気、おいしい串カツと、すべてに満足していただいた。店長は片言の英語とさわやかな笑顔で接客。なんとこのお客様は1週間後に再び来店し、自分で作った3分間のあらたムービーを披露してくれたのだ。店内の雰囲気、スタッフの笑顔、串カツの食べ方など、このお客様イチオシのあらたの魅力がぎゅっと詰まったムービーだった。これをブログやフェイスブックで友人・知人に発信してくれたという。涙が出るほどうれしかったと田上店長は語る。

ユニークな販売促進グッズ

 串カツあらたには、ポイントカードを活用した来店ごとのメニュープレゼントがあるのだが、さらにもう1つ、会計が5000円以上のお客様を対象とするユニークなプレゼントもある。冬なら手袋、夏ならビーチボールやうちわといった季節グッズのほか、ヨーヨーやトートバッグ、あらたソースや酒の枡(ます)などいろいろで、いずれも串カツあらたのロゴマーク入り。ちょっとうれしいお土産グッズなのだ。

 スタッフに対する田上店長のほめると叱るのバランスは8:2。常に良いところを見つけてほめるようにしている。だが比率は小さくても叱ることは大事だと考えていて、「厳しさも必要です」ときっぱり。「高校生が多い店なのでスキルはまだまだですが、マインド(やる気)は全員高いですよ」と誇らしげだ。

 田上店長の目標は、まずこの店の売上を1000万円にすること。夢は、串カツあらたが100店舗以上になった時、西日本地区の本部長になること(九州出身のため)だと、目を輝かせながら語ってくれた。
 明確な目標は実現します。田上店長、頑張れ!