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売上好調、3つの要因

1.商品力
 味噌らーめんに特化した専門店として、他のラーメン店とは一線を画している。味噌は北海道味噌、信州味噌、九州味噌、伊勢味噌、江戸前味噌といった全国各地の味噌の中から各店舗に合った3種類が選択できる。辛口、甘口、濃口など、バラエティーあふれる味噌の味を楽しめるのが好評で、平日はビジネスマン、土日はファミリーやカップルなど、幅広い世代に支持されている。
 栄養価が高く健康食として注目される味噌を、手間ひまをかけて仕込んだスープで味わい深く仕上げ、さらに味噌漬けのチャーシューや玉子などの具でおいしさアップ。味噌にこだわり味噌に徹した体想いの独自の商品力により、リピーターを増やし続けている。
2.サービス力
 小池店長の店長方針は「来て良かったと思っていただける店づくり」。笑顔・活気・元気を基本に、取り皿や紙エプロン、お子様へのおもちゃサービス、レジにて次回来店時のおすすすめメニューを紹介など、お客様に対してきめ細かいサービスを行っている。週末はランチ・ディナーともに1時間待ちの盛況となるが、「提供時間10分以内」にこだわってすみやかに提供している。また店内はゆったりとしていて通路の幅も広く、車椅子も楽に通れるため、高齢者や障がいのある方の利用も多い。
3.チームワーク
 小池店長は会社の懇親会や行事で司会を務めるほどのムードメーカーで、社内の人気者だ。店内でもスタッフとのコミュニケーションを欠かさない。仕事中のスタンドミーティング、連絡ノートへの記載(その内容を朝礼で詳しく説明したりもする)、営業終了後のミーティング(近くのファミレスで大学生スタッフと食事)など、ふれあう量も多く質も高い。このためスタッフ間の空気も自然にソフトになり、チームワークも高まっている。
 小池店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは7:3。「ほめるというより、感謝したり励ましたりすることが多いですね」とのこと。(いいですね!)そんな人柄のせいか、大学生のアルバイトは卒業して社会に出てからも、小池店長のもとへいろいろな相談にやってくるという。

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スタッフ教育用「オペレーションクイズ」

 相模原店では、小池店長がオリジナル作成した「新人ホール業務確認表」に基づいて新人教育が行われている。@サービスの基本と商品提供 Aハンディの使い方とレジ Bご案内 に分かれており、それぞれチェックリスト式になっている。
 私が良いと思ったのは、同じく店長が作成した「オペレーションクイズ」だ。私もクライアント先での「実力店長養成講座」で「大人のビジネスドリル」を使って一般常識やビジネススキルアップのサポートをしており、このようなツール活用の効果を実感しているが、このオペレーションクイズはなかなかユニークな教育ツールだと感心した。その一部を紹介しよう。
一.商品提供とお客様の呼びベルが同時に重なりました。あなたならどうしますか?
ニ.土日限定のお子様用おもちゃをウェイティングのお子様が欲しいと泣いています。
  どうしますか?
三.あなたがホールに立った際、お客様に対し一番意識していることは何ですか?
四.老夫婦が来店され、注文で戸惑っています。あなたのできる気遣いは何ですか?
五.土日のランチピーク中で混雑し、大変忙しいのですが、ふと手が空きました。
  あなたは何ができますか? 最低3つは答えましょう。
六.お会計の際レジに行くと、何度となくお見かけしているお客様でした。
  あなたはどんな言葉をおかけしてお見送りしますか?
七.2人のお客様がウェイティングしています。カウンターが1席空いています。
  後からご来店の方が「そこが空いているなら座りたい」とおっしゃいました。
  あなたはどのように答えて対処しますか?
八.カップルでご来店です。男性はスーツ、女性は白のアンサンブル。
  この季節の状態も踏まえて、あなたができる気遣いは何ですか?
 それぞれ、いい質問である。具体的に場面が設定されており、クイズ形式での質問に対し能動的に考えることで、スタッフのサービススキルが向上していく。
 読者のみなさんも、ぜひこれを参考にして自店のオペレーションクイズを作成し、教育ツールとして活用していただきたい。

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ちょっとうれしいできごと

 最近うれしいと思ったことを小池店長にお尋ねした。「地域密着を目指しているおかげでしょうか。小学生の社会見学の場としてこの店が選ばれ、訪れた子どもたちがたくさん質問をしてくれました。その後、親御さんと一緒に来店してくれたお子さんもいて、常連客になってくださったご家族もあります。先生にもご来店いただいたんですよ」とのことだ。地域にとけこんでいる店ならではの、心がほっとする話である。

神は細部に宿る!(小さなことの大切さ)

 小池店長が店鋪運営上で常に気をつけているのは、細部にこだわることだ。「神は細部に宿る」という言葉がある。とことんこだわった細部(小さなこと)にこそ物事の真実や真理があり、その本質が見える。小池店長がこだわる細部とは、以下のような点だ。
★ご案内したとき、テーブル上に前のお客様の形跡がないようにする。(水1滴も!)
★トレイは徹底してクリーンにする。
★お客様がうれしくなるような挨拶を心がける。
★床の小さなゴミをすぐに拾う。
★1日に何度も身だしなみを整える。
★「ハイ」と明るく返事をする。
★1日に何度もきれいに手洗いをする。
★お客様の気に障るような音を出さない。
★「ありがとうございました」に必ずもう一言を添える。
★お客様を常に観察し、今何が必要かを察する。
このような小さいことにいつも気を配り、実践することが大切なのだ。

 FCの店長・社員教育も担当している小池店長。彼らが料理長から厳しく指導された時は、なぜ注意されたのかを自分で考えて解決していけるよう、フォローしたりもする。そんなきめ細やかさも、小池店長がスタッフに慕われる理由の一つである。
 夢は田所商店のFC教育担当者として活躍すること。ラーメン業界における成長チェーンなので、ますます店鋪数は増えるだろう。ガンバレ、小池店長。