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売上伸張、3つの要因

 坂本統括マネージャーの店長方針は「笑顔で元気よく最高のサービスを」。食券方式のファストフードだからこそ接客への心配りがとても大事であり、笑顔や元気がそのポイントなのだという。
1.美味しさと価値の高さ(商品力)
 カルビ丼のタレは秘伝である。私の自宅近くにも韓丼がオープンし、さっそくカルビ丼を注文。たしかに旨いとうならされた。カルビはおいしいだけでなく栄養価も高い。スン豆腐は豆腐、アサリ、牛スジ、ホルモン、豚肉などの具がたっぷり入ったヘルシーメニューで、女性に人気。スン豆腐ミニカルビ丼セットは、最強の健康志向コンビである。
 客層は、平日のランチはビジネスマン、夜はファミリーやカップルが多く、土日はファミリーが中心だ。
2.オープンキッチンのシズル感
 オープンキッチンでのカルビの網焼きは、見て楽しめるのはもちろん、香りや音も店内いっぱいに漂って五感をくすぐり、食欲をそそる。提供時間は5分とたいへんスピーディだ。また、オープンキッチンゆえにクレンリネスや安全管理への意識も高い。たとえば冷凍・冷蔵庫の温度チェックは3時間に1回行っている。(これができない店が多いですね)
3.元気、活気、笑顔(接客力)
 活気はファストフードに不可欠。活気に満ちているこの店には、常連客が多い。店長に会いにきてくれる人、あのスタッフがいるから来るという人がいっぱいだ。
 笑顔の練習もしている。2人1組で笑顔のキャッチボールをする。アルバイトスタッフの面接でも、採用ポイントのトップは「笑顔」だ。「ポジティブである」「自分の考え・目標を持っている」がそれに続く。

 上記の3点が韓丼の強みである。なんと販売促進は一切行っていない。8年前のオープン時にチラシを1回作っただけだ。割引クーポンのようなサービスもない。にもかかわらず売上が伸び続けている。(すばらしい!)

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コミュニケーションは質より量

 店内でのコミュニケーションについてお聞きした。「グループLINEでの情報交換と、全体ミーティングがメインです」と坂本統括マネージャーは言う。
 マネージャーはグループLINEに自分からの指示事項や連絡事項、スタッフのモチベーションを上げるための言葉などを書いて送っている。スタッフ同士は自主的に相互のやりとりをしているという。早番メンバーから遅番への連絡事項が入るといった日々のやりとりはもちろん、新人が入った時には全員から「よろしくお願いします!」のメッセージが届くなど、ひんぱんに連絡し合っているのだ。(いいですね)また定期的に食事会を行うなど、楽しい交流の機会も設けている。
 坂本統括マネージャーは、休憩室ではスタッフとプライベートな話もする。私はこれまでもこの誌面において、コミュニケーションは質も大事だが量はさらに重要だと何度も述べてきた。坂本統括マネージャーはそれを気負いなく実践している。いつでも気さくに話せる店長なのだ。その姿勢が店内の明るくフレンドリーな空気につながり、お客様にも伝わっている。

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スタッフ主体の全体ミーティング

 私が今回の取材で最も感心し、これがこの店の強みだと実感したのが、スタッフ主体の全体ミーティングである。月1回ミーティングの重要性も、やはり今まで何度もこの誌面で語ってきた。大手ミステリーショッパー(MS覆面ショッパー)調査企業によると、200点満点で180点以上を獲得する優良店舗の共通点の一つとして、「月1回のミーティングを実施している」が挙げられている。
 新堀川店ではこれをスタッフが主体的に実施している。スタッフが企画し、司会進行も担当し、みんなでディスカッションをするのだ。(すばらしい!)店長や社員はそれを見守る。方向性が定まらなくなったり、会社や店舗方針から外れそうになった時だけ、アドバイスして軌道修正する。
 ディスカッションの流れは以下の通り。
1 アルバイトスタッフが中心となって司会進行。
2 テーマを決め、それに沿って話し合う。たとえば「お客様に満足してもらうには?」など。
3 お客様に満足してもらうために現状ではできていないこと、不足していることは何か、その理由は何かを考える。
4 「スタッフの笑顔が少ないから」という理由が考えられる場合、みんなでその対策を練る。たとえば「笑顔リーダーを決め、リーダーは出勤時やピーク時に全員の笑顔チェックをして改善を図る」という対策が決定され、実施する。
5 成果を点数で明確化し、今月のテーマの達成率が80点以下の場合、翌月も同じテーマの改善を継続する。改善できたら次の課題に取り組む。
 スタッフの自主的な全体ミーティングによる改善の徹底が、この店のオペレーションを向上させる原動力となっているのだ。(読者の皆さんも参考にしていただきたい)

 ここで、全体ミーティングに関するポイントを挙げておこう。
A.店に対する店長の情熱や夢、目標を語る。
B.先月の問題点や今月の改善案・目標を発表する。
C.新しいキャンペーンや、新商品の紹介とその内容説明をする。
D.懇親会や誕生日会の打ち合わせをする。
D.今月の新人スタッフを紹介する。
E.今月のベストアルバイトを表彰する。
F.ディスカッションをする。(テーマ例:顧客感動・満足を実現するためには? など)


 一番重要なのはF。この店ではスタッフが中心となって毎月問題点の改善案を検討し、実行して、成果を上げているのだ。重要なポイントは、次の一手となる具体的な「方策」を決めて「実行」することである。

 最後に、坂本統括マネージャーの今後の夢を伺った。FC教育も担当している彼の答えは、「全国に韓丼を広めていきたい」だった。韓丼300店舗も十分可能だと思いますよ、頑張れ、坂本統括マネージャー!