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売上前年比130%の3要因

1.ランチメニューの変更(改善)と、ディナーフェアのおすすめ強化
 さば料理の専門店として成功しただけに、さばを使ったメニューは38種類もある。4年前に東京の直営3店舗(GEMS大門店、代官山店、銀座店)がオープンしたのだが、知名度が低く低迷した時期もある。それが現在では3店舗とも売上前年比120〜130%で推移するほどの好調ぶりだ。
 特に大門店が好調をキープする主要因の一つはランチにある。丼スタイルでオール1000円(税込)。プラス200円でハーフ&ハーフ(2種選べる)に変更OK。また、1度で2度おいしい出汁茶漬けにもできる。
 ディナーはコースメニューの充実を図った。「プレミアムとろさば」や「冬のあったかさば鍋フェア」を開催し、おすすめを強化。Webも変更・改善した。お客様の中にはさばアレルギーの方もいたようだが,食べられるようになって嬉しいという声も。さば好きのお客様が増え続けている。
2.スタッフ定着率90%以上、社員続々入社
 大門店のスタッフ定着率は非常に高い。宗元統括はもちろん、社員も店長もスタッフとのコミュニケーション量が多い。いつも全スタッフに声掛けしている。飲みニケーションも定期的に実施。近隣店舗への異動によって社員・アルバイトに新たなチャレンジもさせており、やりがいは大きい。
 宗元統括の店長時代には、アルバイトから5人が社員になった。うち4人は現在店長として活躍している。その一人だった男子学生は大手自動車メーカーへの就職が決まっていたのだが、「SABARを辞める自分が想像できない」と言って入社したという。(スゴイですね)SABARが大好き、宗元統括が大好き、そして企業体質もすばらしい。だからアルバイトが入社するのだ。
3.店の空気感抜群
 前述したように、東京の3店舗はオープン当初低迷していたため、店の空気はあまりよくなかった。店長や社員によって運営のしかたが異なり、店の雰囲気も変わってしまうのだが、当時の店長が命令型だったせいか士気が上がらず、定着率も悪かったそうだ。
 そこで宗元統括は、チームワークをよくして店の空気を変えるべく、どんなに小さなことであっても問題が生じるたびに一人ひとりと面談して解決していった。面談時に意見や改善のアイデアが出ればすぐに採用し、実行した。朝礼では今日の目標を全員に発表させ、LINEでも情報を共有した。こうしてみんなのやる気を高め、店の空気を変えていったのだ。

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カウンセリング(面談)の手順

 宗元統括が面談をコツコツと実践して店の問題を解決していったように、カウンセリング(面談)は非常に重要である。私も店長セミナーでこれについてよく話をする。ここで少しカウンセリングに関するアドバイスをしよう。
目 的@スタッフとの信頼関係を深める
   A目標を設定し、スキルアップできるようにする
進め方@スタッフへの日頃の感謝と課題を明確にする(「その人への期待」を伝える)
   Aスタッフの話をよく聴く(「聞く」ではなく「聴く」姿勢が大事)
   Bスタッフとともに来月の目標を設定する
   C店で気になることを尋ね、店長への質問に答える
面談後@スタッフの変化を確認し、達成できたことを賞賛する
   Aスタッフからの改善提案や要望について、進捗を報告する
   B目標設定やスキルアップのための面談を継続していく(定期的に実施)

 最も重要なのは、面談後のスタッフの変化に気付くこと、そしてそれを認めてほめることだ。宗元統括も常にそれを心がけている。気付くためにはスタッフとの心の距離を縮めなければならない。時にはプライベートな話も必要だ。

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ほめると叱るのバランスは9:1

 宗元統括がSABARで気を付けているのは、まず店の回転率を上げること。2時間制のため1時間半の時点でお知らせをし、もう1品サジェストなどで客単価アップを図っている。また、お客様を飽きさせないことにも気を配っている。さば料理が38種類もあるとはいえ、よりワクワクしていただくために新メニューの開発には余念がない。さらにホールサービスにおいては、テーブル状況の確認と先読み、そしてお客様との会話を心がけているそうだ。
 宗元統括の、スタッフに対するほめると叱るのバランスは9:1。小さなことをとにかくたくさんほめる。「料理がきれい」「とろさば、おいしそう」「掃除をコツコツやってるね」「今日も笑顔がめちゃいいね」等々。特に、苦手なことを進んでやるようになったスタッフをすごくほめるそうだ。(いいですね!)
 あまり叱らないけれど、叱る時は本気だという。たとえば料理の盛り付けが雑な時や、仕込みの準備や段取りが遅れている時など、お客様に迷惑がかかりそうな場合はとことん叱る。(大事なことです)もちろん厳しく叱った時は、その理由をしっかりと理解させるようにしている。

店舗巡回指導のポイント

 SABAR全店の統括マネジャーに昇格した宗元統括に、店舗巡回指導のポイントをお聞きした。毎回以下の事柄をチェックして回っているとのこと。
1.入店した時の雰囲気
スタッフの挨拶、声出しなどをチェックし、店の空気感を感じとる。
2.QSCオペレーションと全体の流れ
スピード感があってスムーズに営業できているかどうかを確認する。
3.スタッフの表情
明るい表情で楽しそうに働いているかどうか、スタッフ一人ひとりの状態・態度を見る。

 少しでも問題があると感じたら、すぐに面談を行う宗元統括である。「店の空気が売上を作る」といわれるように、空気こそが一番大切なのだ。

 宗元統括の今後の夢を伺った。「『さば伝道師』という役目に磨きをかけて、社員のSABARでの独立やFCさんのサポートをしっかり行い、会社を大きくしていきたい」とのこと。
 SABARはますます拡大すると思います。頑張れ、宗元統括!