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過去最高売上記録、その3つの要因

 「店は我が家、スタッフは家族」、これが高橋店長の店長方針だ。ひなたのやきとんは“みそ味”が評判なことから、店長はスタッフに「み…みんな仲良く、そ…尊敬し合う(お客様もスタッフ同士も)」と日々語っている。
1.フレンドリーな接客
 この店に異動してまだ1年にも満たない高橋店長だが、すでに300人以上の常連客を認識している。ファーストドリンクとお客様の顔が一致するだけでなく、ご来店曜日も覚えているという。ホールではお客様から話しかけられやすいよう、いつも笑顔で客席を回っている。またべテランスタッフも、1人で100人以上のお客様と親しく会話できるという。店長はスタッフに、「まずは1人(1組)のお客様から会話をしよう」と指導。「名前で呼んでもらえたら100倍頑張ります」というPOPが店内に掲示されているほど、お客様とのふれあいに力を入れており、満席が続いて大賑わいの、とても活気のある店だ。
2.商品力(秘伝のみそだれやきとん)
 池袋東口店の看板メニューは、@やきとん串 レバー100円、A肉刺三点盛680円、B鮮魚 お刺身三点盛780円。特に秘伝のみそだれのやきとんは、こだわりの評判メニューだ。焼き師は店長と社員2人だけ。社長の許可がないと焼くことはできない。カウンターのお客様への出し方にもこだわりがある。たとえば6本の場合、みそ、タレ、塩を2本ずつ、お客様のペースに合わせて、できたてを提供していく。(いいですね)
3.“我が家”のチームワーク
 チームワーク抜群の理由は、コミュニケーション量の多さだ。月1回の全体ミーティングは金曜の深夜に全員参加で行う。司会はベテランスタッフが担当し、最近の問題点や改善点をディスカッションする。新人のOJT教育も実施。マネジメントチームのミーティングは週1回で、店長・社員・ベテランスタッフが参加し、仕組みの変更などを決定していく。ベテランはグループLINEで毎日連絡し合っている。
 飲みュニケーションは週1回、店長の休日に、スタッフを連れて視察勉強を兼ねつつおこなっている。ディズニーランドやユニバーサルスタジオまでスタッフと一緒に行く店長なのだ。(すばらしい家族だね!)
 ここまでやるからこそチームワーク抜群の店になり、店の空気も最高になる。この空気が売上を作るのである。

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スタッフが変わった瞬間

 高橋店長がとても嬉しいと思った出来事をお聞きした。高橋店長は上板橋店でアルバイトからスタート。やがて社員となり、異動が決まった。上板橋店最後の日、シフトに入っていなかったスタッフや常連のお客様が、花やプレゼントを持って集まってくれたのだ。店に入りきれないほどの人数となり、キッチンの中までお客様でいっぱいに。そしてこの日、この店の最高売上を記録したのである! 高橋店長は感動し、ただただ嬉しくて笑い続けていたそうだ。(社員の時からみんなに愛され続けているんだね)
 嬉しかった話をもう一つ。あるとき池袋東口店の学生アルバイトを連れて他店へ飲みに行き、店長がひなたのことをいかに好きか、やきとんがいかにすごいか(他の店では味わえない美味しさ)を、ひなたにおける自らの経験を織り交ぜながら何時間も語った。その翌日からこの学生たちの目の輝きが変わり、シフトにもたくさん入ってくれるようになったそうだ。店長がひなたをとことん愛し、人生を賭けて仕事をしているんだと感じ、自分たちも頑張らなければと思ったからだという。(店長の本気が伝わった瞬間である)
 高橋店長はスタッフの誕生日にバースデーケーキをプレゼントしているのだが、 スタッフからも店長の誕生日に素敵なプレゼントをもらった。店長の好きなブランドの靴で、かなり高価なものだったとのこと。「めちゃ嬉しかった!」と語ってくれた。(いい話ですね。すごく愛されてますね!)

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「2:6:2の法則」は、「6:3:1」

 高橋店長は、店長の仕事以外にひなた全店のシフトコントロールも担当している。全ての店舗のスタッフレベルを把握しており、スタッフが不足している店へ他の店から人を回すなど、ワークスケジュールのコントロールを行う。シフトのスーパーバイザー的な役割だ。また池袋東口店のFLコストは50%(フード28%、レーバー22%)で、前述したように数値管理能力の高さも社長のお墨付きである。
 この店には優秀なベテランアルバイトが3人いる。店長に代わって学生アルバイトを叱ったりもできる。「店長としてはとても助かっています」とのこと。
 高橋店長のほめると叱るのバランスは7:3。ほめるのは、少しでも変わったときや努力している姿勢を見つけたとき。叱るのは、細かいミスや小さなこと。小さなミスをなくすことで、大きなミスを防いでいくのだ。
 人々が集団を構成した場合、一般的に優秀な人と普通の人と劣っている人の比率が自然発生的に2:6:2になるという法則がある。私はこれまで店長セミナーにおいて数千人の店長に、自店におけるそのバランスを聞いてきた。ひなたの店長セミナーで高橋店長は「6:3:1」と答えたのだが、このように優秀な人がダントツに多い比率を答えた店長は1割にも満たない。池袋東口店には、やる気のある優れたスタッフが多いのだ。

 取材を終えてつくづく思ったのは、高橋店長には「部下を動かす3つの心得」ができているということ。3つとは、論理と感情と信頼である。論理的に説明でき、感情で心を動かし、信頼関係をしっかり構築しているので、スタッフ全員から圧倒的に支持されるのである。
 最後に高橋支店長の夢を伺うと、「ひなた(会社)がぐんぐん大きくなり、エリアマネジャーとなって活躍し、いずれは私が社長になります」と、笑いながら語ってくれた。「社内で私がひなたのことを一番好き」と胸を張る店長、そしてスタッフへの愛情いっぱいの店長だから、20年後には女性社長になっているんじゃないかな。がんばれ、高橋店長!