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売上好調の3つのポイント(売上前年比110%)

1.抜群のチームワークと大学生アルバイト店長誕生
 瀧店長の店長方針は「地域一番店を目指す」(自由が丘の飲食店でナンバーワンの店になる)ことである。自由が丘店の最大の強みは、店長とスタッフのチームワークが抜群であること。店長は45人のスタッフ(9割が大学生アルバイト)に常に声をかけている。特に用事がなくても声がけするのだ。いつも「1+1= 3にも4にもなる」といった励ましの言葉を語ったり、日報をLINEにアップして(1日の反省や改善情報など)共有化を図ったりしている。
 私が今回の取材で一番驚いたのは、今月から大学3年生の男子アルバイトが店長になったことだ。2年前のオープンから活躍する、スキルもリーダーシップもある学生だという。瀧店長がアシスタントスーパーバイザーに昇進したためで、今年度から授業が週1回になったこの学生に白羽の矢が立ったのだ。ファストフードとしての運営システムやマニュアルが整備されているカールスジュニアだからこそ、可能な人事と言える。

2.評価が高い接客力(お客様アンケート)
 カールスジュニアの挨拶は、「High welcome Carl’s」「Have a good time」。英会話ができるスタッフも多い。
 カールスジュニアには、レシートアンケートという仕組みがある。レシートにアンケートを記入してもらうと、次回ドリンクが無料となる。アンケート結果は米国本社にも送られる。自由が丘店には次のようなコメントが多く寄せられている。
●また友人と来店したい。
●メニューの説明が丁寧だった。
●いつも素敵な笑顔をありがとう。
●ドリンクバーだけどおかわりのコーヒーお持ちしましょうかと言ってくれた。
●スターバックスと同じ感覚で利用しています。

3.積極的な販促
 地域一番店を目指している自由が丘店では、販促活動も積極的におこなっている。今話題のウーバーイーツ(Uber Eats=スマホアプリを使ったフードデリバリーサービス)は、月に100万円以上の売上があり、イーパーク(EPARK=順番待ち&予約受付システム)も毎月増え続けている。
 近所のマンションやオフィスへのポスティングも毎月3000枚以上行い、ハンドアウト(手配りチラシ)も自由が丘駅前で毎日実施している。このように日々コツコツと活動することで、売上向上に貢献しているのだ。

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ランクアップ制度と自立型スタッフ

 カールスジュニアではスタッフのことをスターと呼んでいる。ランクアップ制度は、シングルスター、ダブルスター、スーパースター、オールスター、シフトリーダー(時間帯責任者)まで5段階で、時給は1000円〜1200円に設定されている。
 前述したアルバイト店長も、このランクアップ制度で育成されたのである。瀧店長は、シフトリーダーにほとんどの業務や改善を任せているという。彼らは店のためになることを自ら考え、率先して行う。例えば最近シフトリーダーが実践したのは、在庫を減らすために思い切って倉庫の棚を外したことだ。おかげで6店中在庫金額が最も少なくなった。適正な発注量や在庫量、解凍量もシフトリーダーが決めて、キッチンに掲示してあるのだ。(すばらしい!)
 ちなみにこれまでシフトリーダーが4人いたが、2人は次の出店のための教育スタッフとして異動させたという。シフトリーダーミーティングは毎週実施。そこではお客様の声や改善活動などについて話し合うほか、スタッフの時給まで決定している。店長がシフトリーダーを信じて任せるから、店長の気持ちに応えようとして、彼らはさらに伸びていくのである。

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常にスタッフのことを考えている店長

 瀧店長に自由が丘店の強みを伺うと「スタッフのロイヤリティーが高く、人で困ったことはありません。いつも優秀な人がいてくれるのが一番の強み。ありがたいです」と語ってくれた。カールスジュニアは、どの店のグランドオープンでも100人以上の大学生の応募があるそうだ。(この人手不足の時代に、さすがですね!)
 瀧店長が面接を行う際のポイントは以下の通り。
@自然な笑顔と、きちんとした身だしなみ。
Aコミュニケーション能力と、素頭の良さ。
B人が好き、ハンバーガーが好き。(なるほど、ハンバーガーが好きは大事な要素だ)
 取材前に、客としてハンバーガーコンボセットをいただきながら店内の様子を観察した。最も印象的だったのは、スタッフ全員の笑顔がすばらしかったことだ。「ドリンクのお替わりをお持ちいたしましょうか?」と、笑顔で積極的に声をかけられた。笑顔のすばらしさは何ものにも代え難い。スタッフ全員の笑顔率は「80%です」とのこと。
 瀧店長にいつも気にかけていることを尋ねると、ズバリ「スタッフのことしか考えていません」との答え。(いい言葉です!)もちろん営業中はお客様に集中しているわけだが、スタッフのことはいつも頭から離れない。困っているスタッフや孤立しているスタッフはいないか、常に気を配っているそうだ。またコミュニケーションは公平・平等であるよう気をつかっているという。
 瀧店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは8対2。ほめるときはみんなの前でほめる。例えばインカムでマイクをオープンに(全員聞けるように)して、「みんな笑顔いいよ。ピークこそスマイル!」「キッチンの提供時間、いつもより早いね」「〇〇さん、お客様のサポートいいね」とほめたりする。また叱るときは、諭すように指導している。
 カールスジュニアには、全員の投票で最も優れたスタッフを選出し、「カールスジュニアナンバーワン」を決める仕組みがある。各店から選ばれた代表者の中から、さらに優秀な人が選ばれるのだ。自由が丘店には優れたスタッフが多いので、代表者を決めるだけでも接戦となる。うれしい悩みとも言える。(なるほど!)
 瀧店長、あらため瀧アシスタントスーパーバイザーの夢は、カールスジュニアの店が日本でさらに増えることだ。高級バーガーは時流に乗ってますから、ますます増え続けると思いますよ。ありがとう、瀧スーパーバイザー!