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売上・利益好調の3つの要因

1.女性スタッフ中心の明るく元気な接客力
 市川店長の店舗目標は「常にお客様目線での接客を心がける」。この店に異動してきたときは男性スタッフが多かったそうだが、店長が女性だからなのか、大学生の女性スタッフが増えた。笑顔あふれる元気なスタッフも多くなった。お客様からも「店の雰囲気が明るくなったね」と言われる。また、「接客がよかったから、ここで働かせてください」と応募してくる大学生も増えている。
 ホールスタッフだけでなく、キッチンのスタッフも明るい声であいさつをしてお客様を迎え、サンプルショーケースを見ているお客様にも積極的に声がけしている。

2.商品力アップ(ていねいできれいな盛り付け)
 キッチンの女性スタッフが増えたことの影響か、商品の盛り付けが細やかで美しくなった。それだけで商品力はアップする。食器類の手入れもていねいさを増したし、提供時間10分以内へのこだわりも強くなっている。
 日高屋の平均原価率は28%だが、この店は25%。理論原価は日高屋の平均が27%なのに対し、この店はそれを下回るのである。(なんてすばらしい!) 店長のコスト意識が高いのだ。人件費も、日高屋平均の30%前後に対して25%。FL(フードレーバー)コストは51.3%だ。
 これだけの数字を出しているのだから、600万円の利益向上もさもありなんだ。

3.チームワーク抜群
 スタッフが明るく元気で、しかも定着率も高い。当然チームワークは抜群で、それがこの店の大きな強みとなっている。
 スタッフとの普段のコミュニケーション方法を市川店長に尋ねた。「オープン前でもクローズ後でも、少しでも時間があったら、休憩室でもいっぱい声をかけています」とのこと。スタッフの悩み相談にものっている。スタッフの誕生日には「いつもありがとう」のメッセージを添えて、スモールプレゼントを手渡ししているそうだ。また、連絡ノートには毎日お客様のご意見やほめられたことなどを記入して情報を共有し、全員が読んだ後にサインをしている。
 このようなコミュニケーションの多さが、店の雰囲気やチームワークの向上につながっているのだ。時間がないときでも、1分間コミュニケーションやスタンドミーティングで日々こまめに対話できるのである。

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2つの“ちょっといい話”

 日高屋に入社以来、特に市川店長の心に残ったことや感動したことについて伺った。
 一つは、都内の店舗社員の頃の話。真夏の暑い日、店の前を通りかかった小柄なおばあちゃんが突然倒れてしまった。近くにある高齢者施設へ行く途中だったようだ。それを見て驚いた市川社員が駆け寄ると、おばあちゃんは意識がない。すぐに救急車を呼び、スタッフと一緒に日陰におばあちゃんを移して水やおしぼりで身体を冷やしたという。どうかご無事でと救急車を見送ったのだが、その1週間後、元気になったおばあちゃんが手土産を携え、息子さんたちを伴ってご家族三世代で来店した。それ以降、家族ぐるみで常連となり、市川店長に会いに来てくれるようになったそうだ。(いい話ですね!)
 もう一つは、つい先月の話。市川店長は風邪で高熱を出し、フラフラの状態で這うようにして出勤した。その様子を見たスタッフが、自主的に当日シフト外のスタッフ2人に連絡して出勤させ、「店長、店は私たちに任せて、帰って休んでください」と言い、店長を帰らせたのだ。チームワークを駆使し、助け合って店を運営してくれたことが本当に嬉しかったとのこと。この話をする間、市川店長はずっと笑顔だった。(店長がすばらしいから、いい子たちが育っているんですね!)

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フレンド社員感謝の集いと新人教育

 日高屋の従業員満足度の高さは、飲食業界では有名だ。少し紹介しよう。
 パート・アルバイトへの感謝の気持ちをこめて、年4回、「フレンド社員感謝の集い」を実施している。本部の会長・社長・経営幹部からの表彰や抽選会などを楽しむ立食パーティだ。私もテレビ番組(カンブリア宮殿)で拝見したのだが、神田会長が全スタッフに「ありがとうね」とお礼を述べている姿に感動を覚えた。
 また日高屋は、P/Aに賞与を支給している数少ない企業の一つでもある。毎年100人単位で社員旅行(温泉など)も実施している。
 新人スタッフの教育はどのように行われているのかお聞きした。新人は、各エリアにある開店サポート室にて3日間のベーシック教育を受けてから、各店舗に配属されるという。内容は@理念教育、Aレジ・ハンディ取扱い・商品知識、B接客ロールプレイング。この3日間で基本的なことを学ぶので、各店舗での教育もスムーズになる。
 ランクアップ制度は、大まかに言うと準フレンド → フレンド → サブリーダー → リーダーの順に昇格していく仕組みとなっており、詳細に言うと、フレンドとサブリーダーとの間には10段階のステップがある。

自らの「スキルとマインド」を高め続ける!

 「常にQSCのレベルアップが必要ですが、そのためには店長(私)自身のスキルを上げなければならないと思っています」と、市川店長は言う。日々、自らのスキルアップに努め続けているのだ。
 ほめると叱るのバランスは6:4。叱るのはお客様にご不便をかけた時が多い。ベテランスタッフがお客様にお詫びをしているのに何も言わずにいるスタッフに対しては、「先輩が謝っているのに、素直に『ごめんなさい』や『ありがとう』が言えないの?」と、厳しく叱ることもあるそうだ。あいさつや躾に対する厳しい姿勢は必要である。

 最後に夢を伺った。「私自身の人間性を高め続けて、都心の大型店の店長を目指します!」と目を輝かせながら答えてくれた。
 そうですね。店長に必要なのは高いスキルとマインド。それを高め続けることが大事ですよね! 熱い想いあふれるお話をありがとう、市川店長!