テイクアウト&イートイン、パステルの強み

ロックタウン鈴鹿店のイートインとテイクアウトの比率は65%:35%。売上にすると1200万円:600万円だ。テイクアウトだけで月に600万円というのは、洋菓子店としても立派な数字といえる。テイクアウト商品はなめらかプリン(1ヶ315円)とケーキで、その比率は8:2。さすがブランドプリンだけあって、多い人は一度に20個も買う。正月の三日間は毎日2000個ずつ売れたという

イートインでは、セットメニューを頼むと「ピザのお代わり自由」というのがパステルの強みの一つ。ピザパスタランチは「パスタ+ピザ(お代わり自由)+ドリンク」で1029円と、たいへんお値打ちだ。

加えてドリンクも、ブレンドコーヒーまたはトロピカルアイスティーの場合、お代わり・お取り替え自由なのだ。これは、かつて常連のお客様用だったサービスを一般のお客様にまで広げたもの。しかもドリンクバーではなく、スタッフがリフィルに来てくれる。

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ダメ社員から実力店長へ

小柳津店長は入社1〜2年目頃の自分を振り返り、「ダメ社員でした」と語る。言葉遣いが悪く、言葉を選ばずにP/Aを叱りつけて泣かせたりし、人間関係がギクシャクして、辞めていく人もいたそうだ。人が辞めれば他のP/Aの仕事がハードになり、また辞めていく→社員の仕事もハードになって、休みも取れなくなる→全体にQSCレベルが落ちる→売上が低迷する…小柳津社員がこのような負のスパイラルを断ち切りたいと思ったのは、店長に就任したときだ。もちろん、自分自身が「楽」をしたいという思いも強かった。「楽」をするにはP/Aを育てるしかない。こうして教育とコミュニケーションに力を注ぐことになり、正のスパイラルへの転換が始まった。

鈴鹿店は郊外SCの独立店。都心の駅前店のようには人が集まらず、人材を選べるような状況になかったが、それでもオープン前に45人が集まった。採用の基準は「第一印象の良さ」で、表情が生き生きとして笑顔の素敵な人を選び、面接ではサービスマインドをチェック。サービスマインドが高い人をホールに、体力に自信のある人をキッチンに配した。

店長方針はもちろん「Cheers You Up!!」。「お客様を元気にするために、私たちはこの仕事をするんだよ」と、徹底指導した。「この店長には愛があるんだろうかと思われるほど鬼に徹して厳しく指導し、山を越えさせました」と語る小柳津店長。

40時間の新人教育内容は以下の通りだ。

1.オリエンテーション2時間。一対一で理念を徹底。
2.店内ツアー、サービス用語説明、事務所・ホールでのマナー。
3.基本動作(おじぎ、アイコンタクト、笑顔、トレンチの持ち方)。
4.ご案内、水出し、オーダー取り、ピザ提供、アフタータイミング、バッシング。
5.ホール巡回ウォッチング、ロールプレイング、伝票の流れ。
6.エントランスの役割、レジ係の役割、テイクアウト研修、クレーム処理。

オーダーはランチが1分、ディナーは3分で取る練習をするなど、各項目の基準は明確だ。このように、わかりやすくはっきりとした目標・基準を定めた上で、店長は時間管理を厳しくし、確実に作業を覚えさせていく必要がある。

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自由と規律のバランスが大事

小柳津店長は、規律・ハウスルール・躾にはとことん厳しい。「入店5つの約束」は次の通り。これを毎日全員に徹底させている。

1.5分前入店
2.アピアランスチェック
3.業務連絡
4.完全手洗い
5.サービスモットーの唱和

QSCオペレーションの素晴らしい店は、このような躾・ルールが徹底されている。小柳津店長は、これを一つでも守れないP/Aがいれば厳しく指導する。「オープン前には毎日うるさく厳しく言い、緊張感を持たせています。でもオープンしたら笑顔です!」と語る。「店には統一感が必要です。一人でもできない人がいてはいけないんです」
まさしくその通り。できないスタッフが一人でもいたら、お客様の評価は0点になってしまうのだ。100−1=0なのだ。

厳しい小柳津店長だが、P/Aに自由裁量も与えている。たとえばピークタイムのオペレーションはすべてP/Aに任せ、店長や社員が入らないこともあるという。ランチの場合、毎日11時30分〜2時まで30分〜1時間ものウェイティングという状態が当たり前だが、それでも「あなたたちのお店だから、みんなで考えて運営してください」と言って任せてしまうのだ。この取材当日のランチタイムも、店長はホールにいなかった。
任されている以上、P/Aは責任を持って自分で考え、判断し、実行することになる。この「自由さ」と「規律」との、絶妙なバランスが組織には必要だ。

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ほめる・叱るのバランスシート

小柳津店長に「ほめる」と「叱る」の比率を伺ったところ、「5:5」とのこと。これまた絶妙なバランスではないか。

オープン前は叱り飛ばして緊張感を与え、営業が始まれば笑顔でコミュニケーションに努める。全員に声をかけるし、プライベートな話もする。ぜひあなたもバランスを考えてほめたり叱ったりしてほしい。

ほめ方にもコツがある。相手の日頃の努力を十分に理解した上でほめていることが伝わるようにしたい。次のような言葉を添えれば、本気でほめていることが伝わるだろう。

●忙しいのにありがとう。
●いつも助かるよ。
●私は○○さんの能力を買っているんだよ。
●○○さんの明るい挨拶で、お店の雰囲気が明るくなったよ。
●○○さんはお店にとってかけがえのない存在だ。
●この半年でずいぶん成長したね。驚いたよ。

鈴鹿店のP/Aの出勤率はバツグンで、チームワークも最高だ。土日のシフトにも問題がなく、スムーズだ。12月・1月の繁忙期に、店長は8日間も休みが取れた。社員の残業もゼロだった。(今どきスゴイ!)

夢は友人と一緒にお店を持つことだという。キラキラ輝く小柳津店長の目を見ていて、10年後、20年後の彼の姿が本当に楽しみになってきた。とても印象に残る人柄だ。

パステルはまだまだ伸びる! そんなことを実感した取材となった。これからも頑張って、小柳津店長! 自由と規律の心をありがとう。