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売上好調の3つの要因

1.スピード感ある“名古屋接客”
 江上統括店長(以降「統括」と表記)が考える「名古屋接客」とは、スピーディーな提供を求める名古屋人のニーズに応えるための「活気:スピード・親切心」のこと。(すみません、私もせっかちな名古屋人です…)
 遅れて請求されることのないよう、お好み焼きは10分で(キッチンで8割作成)、もんじゃ焼きはすぐに提供する。(もんじゃ焼きはスタッフがテーブルで作る)「お好み焼き10分は、日本トップクラスだと思います」と、江上統括は言う。(すばらしい)土日ピーク時の客席回転率は5〜6回にも上る。
 また、お客様が食事を終えたテーブル・鉄板を掃除し、次のお客様を案内して着席していただくまで「1分以内」を意識しているという。「少しでも早く、一人でも多くのお客様に、RIKYUのおいしいお好み焼きやもんじゃ焼きを召し上がっていただきたいからです」とのことだ。

2.料理技術の向上
 先代の社長は「お好み3年、焼きそば10年」を説く職人気質の人で、調理技術にはこだわりを持っている。キッチンはおいしいメニューを作る神聖な場所だとされており、このためキッチンで調理を行う人のほとんどが、調理技術を身につけた社員である。アルバイトスタッフも、キッチン作業に携われるようになるには1年以上かかるという。また、秘伝のおいしいオリジナルソースもRIKYUの強みだ。
 もんじゃ焼きはテーブルでスタッフが作るのだが、鉄板の火加減が難しいため、ベテランが対応している。
 さすが、名古屋ナンバー1のもんじゃ焼き・お好み焼き専門店である。

3.アットホームな社風とスタッフの自主性
 江上統括と中村社長は幼なじみである。社長と統括との距離が近いせいか、RIKYU全体にアットホームな空気が流れている。統括とアルバイトスタッフとの心の距離も近く、定着率が高い。スタッフの紹介で次のスタッフが集まるので、求人費もほぼゼロだ。新人スタッフに対し、先輩スタッフが「RIKYUで頑張れば人を気遣う心や強い精神力が身に付くから、社会人になった時の、同期の人との差は大きいよ」と話しているそうだ。(すごいですね)
 大学4年生のアルバイトリーダーが卒業する時には、次のリーダー候補がシフト管理や発注担当をやらせてくださいと、自分から申し出てくるような店なのだ。この自主性が伝統になっている。こうして次の世代へと、自然な形で責任感が受け継がれていく。

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クレームから超常連客へ

 江上統括は入社後、グランドオープンする尾張旭店の新人店長となった。お盆の時期のグランドオープンとあって、まさに混雑の大ピーク。提供時間が1時間も遅れ、「この店どうなってるの? いつまでたっても何も出てこないじゃない!」と、50代ぐらいの女性(10人グループのお一人)から強くお叱りを受けてしまった。江上新人店長は「本当に申し訳ございません」とひたすら謝罪。レジでも「本日は大変お待たせして申し訳ありませんでした。次のチャンスをいただけるとありがたく思います」と、平身低頭で謝り続けたという。
 その姿勢に江上店長の誠意を感じ取っていただけたのだろう、その女性は何日か後に大勢の友人を連れて再び来店され、それからは超常連客になっていただけたそうだ。大変なクレームではあったけれど、うれしい思い出でもある。
 それ以来、万が一クレームが出てしまった場合、そのお客様に対し誠心誠意を込めて謝罪し、100%再来店いただけるよう努力しているそうだ。

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エリアマネジャーとしての指導ポイント

 全店のエリアマネジャーを務める江上統括は、各店を指導して回っている。店舗巡回時の指導ポイントを伺った。

1.お客様目線で店内やスタッフをチェック
 スタッフが明るくイキイキと元気よく働いているかどうかに注意しながら、店内の雰囲気や空気感、サービスレベルをチェック。

2.レジでお客様の表情をチェック
 お帰り前のお客様の表情を見て、満足度を確認。次回も来ていただけそうかどうかをチェック。

3.テーブル全体と鉄板のクレンリネスチェック
 もんじゃ焼きやお好み焼きの専門店にとって、鉄板の綺麗さは非常に重要。油汚れやテーブル全体の汚れを徹底チェック。

4.キャベツ(主要食材)の品質チェック
 キャベツの鮮度をしっかりチェック。キャベツのみずみずしさは商品の生命線。

5.メンバーズカード利用率をチェック
 9店舗で7万人のメンバーズカードを発行。十分に利用されているかどうか、リピート率を確認。

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 スタッフに対する江上統括の「ほめる」と「叱る」のバランスは5:5。10年前は9:1で、叱るほうがダントツに多い厳しい店長だったとのこと。今ならパワハラとも言われかねない、昔ながらの職人的な指導だったという。現在はずいぶん変わった。
 叱るのは、気を抜いたような態度でお客様に接した時や、お客様に集中していない時。ほめるのは、お客様からお褒めの言葉をいただいたり、お客様がスタッフに会いに来てくれたことが分かった時、積極的にアイデアや改善提案を出してくれた時などだ。

 江上統括の今後の夢を伺った。「会社のナンバー2として社長をしっかりと補佐し、RIKYUの大いなる発展に貢献すること。そして、1人でも多くの人にRIKYUのおいしい料理を味わっていただくことです」と、熱く語ってくれた。
 ありがとう、江上エリアマネジャー!