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コロナ不況でも売上前年比200%、3つの要因

1.看板メニューのステーキライス、80%
 看板メニューのビーフステーキライスはS・M・Lサイズがあり、Mは1290円。ステーキライスカテゴリーで80%を占める圧倒的な看板商品である。選べるトッピングのベスト3は、マッシュポテト、生たまご、ちょいカレーだ。
 約4割のお客様が再来店する。LINE分析によると、52%のお客様が初回来店から2ヶ月以内にリピートしている。

2.Uber Eats(ウーバーイーツ)の売上が55%
 Uber Eatsは昨年6月から開始。その当時から横浜関内エリア内上位に入り、月を追うごとに売上が上昇していった。今年に入って月100万を超えるようになり、5月には何と260万円を売り上げた。Uber Eatsで50万円以上売り上げるだけでもかなりの上位クラスなので、この数字は驚異的だ。現在(5月度)店内飲食25%、テイクアウト20%、Uber Eats55%という比率である。
 この店ではUber Eatsの配達員に給水やトイレなどを自由に利用(開放)していただいている。「センタービーフ、やさしいね」と配達員から好評で、そこからも口コミで評判が広まっている。

3.店長・スタッフの ONE on ONE 接客力
 祖父も父もレストランという料理人一家で育ち、自らもシェラトンホテル出身の平山店長。料理が好きな平山店長にとって、直接お客様に料理を提供するスタイルのカウンターテーブルは自己表現のできる場であり、生き生きと活躍できるステージである。
 そんな店長のもとで働くスタッフたちの3割は実家が飲食店、9割以上が飲食店で働いた経験を持ち、6割が将来自分の店を持ちたいと考えているそうだ。モチベーションが高く、ONE to ONEの接客力にも優れたスタッフが揃っている。

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客層に合わせてカスタマイズ

 センタービーフは「ステーキがおいしい」「接客が丁寧」と、お客様からの評価が高い店である。ただおいしくて丁寧なのではない。客層に合わせたきめ細かいサービスをしているからだ。
 たとえば、高齢のご夫婦なら肉を薄く切る、やわらかい部位を使う、しっかり火を通す。20〜30代のお客様なら肉は厚めで歯ごたえのあるものを提供。女性同士のお客様ならのんびりおしゃべりを楽しんでいただくために提供時間はゆっくり目に。カップル客の女性のためにはサラダや肉を小さめにカットして美しく食べられるように…等々、それぞれのお客様にぴったりの配慮をしているのだ。(さすがですね!)女性がメガサイズを注文したら、何も言われなくてもライスも多めにする。平山店長はスタッフに「“大盛り”は感覚で察しなさい」と指導しているそうだ(笑)。
 カウンターサービスの店だからこそ、こういったカスタマイズを徹底できるのだ。(チェーン店にはできないサービスですね!)

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高1新人アルバイトの、ちょっといい話

 あるとき常連の女性客から、この店で高校1年生の息子さんに初めてのアルバイトを経験させてほしいという依頼が入った。店長を始めスタッフがいい人ばかりで、環境が整っていると思ったからだという。
 鹿野社長は最初から反対していた。おとなしくて口数も少なく、明るい雰囲気とは言いがたい。「コンセプトに合わない、やめさせろ!」と店長に迫った。だが店長はその新人を守り続けた。たしかにおとなしいけれど、料理が上手くなりそうだと感じたからだ。その予測通り徐々に料理に興味を持つようになり、店長への質問が増え始めた。自宅でも料理し、その画像を送ってくるようになった。意欲的で積極的な姿勢が出て来てイメージが明るくなり、接客レベルも上がった。鹿野社長はかなり喜んでいる(笑)。
 今は「料理人になる! 高校を卒業したら調理の専門学校へ進学する。その後スペインで修行して日本で独立したい(現在スペイン語勉強中)」と語っているそうだ。「息子に夢ができました」と、お母さんも嬉しそうだ。(夢ができて、彼の人生が変わりましたね、店長!)

その日のメンバーがマイベストメンバー

 平山店長は、スタッフとのコミュニケーションを大切にしている。最も心がけているのは「ほめる」ことだ。しかも自然に、心からほめ続けること。
 グループLINEではなく個人LINEで、趣味などのプライベートなことを毎日トークしている。「スタッフにマウントを取らせます」と、平山店長は言う。相手に高揚して話してもらい、主張してもらう。平山店長自身が好奇心旺盛で多趣味なので、何でも興味を持って聞き、徹底してほめる。
 「“その日そこにいるメンバーがマイベストメンバー”という言葉を大切にしています」と、平山店長は言う。その日その瞬間そこで向き合っている人を大事にするという想いがこめられているのだが、これは鹿野社長が私の店長セミナーで聞いた言葉らしい(笑)。
 「スタッフのモチベーションをどうこう言う前に、まずは自分が生き生きと活動すること。それが大事だと思っています」と、平山店長はさらに語る。「店長自ら態度で示せば、スタッフのみんなも自分の良いところを出し始めます。無理にほめたりおだてたりはしません。スタッフの取り組みに対しては、結末だけでなくその過程とか、心の内側にある熱意や勇気とか、誰かへの愛情や親切心とかを見逃さないように、いつも意識してキャッチした上で、本人にフィードバックしています。それをより徹底させるためにも、もっと自分自身の人間力を上げていく必要があります」とのこと。

 26歳でこれだけのことが言えるのは、トップクラスの人間力だと思いますよ! ありがとう、平山店長!