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売上好調3つの要因

1.QSCの徹底力
 小菅克之店長の店長方針は「地域密着」。地元のお客様に愛される店づくりを心がけており、ラーメン屋らしい活気とにぎわいにもこだわっている。
 MSR(覆面調査)の点数は毎月95〜100点。環境整備(クレンリネス)評価も社内ナンバー1だ。MSRのコメントでは、評価の高い社員・スタッフが名前を挙げて紹介されるが、これも小菅店長がナンバー1であり、社内表彰もされている。

2.卓越した商品力(焼きあご「トビウオ」のこだわり)
 看板メニューは、1.焼きあご塩らー麺820円 2.背脂醤油らー麺820円 3.塩つけ麺900円。一番人気である焼きあご塩らー麺1品の商品構成比は45%。この上位3品で70%のシェアを占める。繁盛店のポイントは看板メニュー1品で20%、上位4品で40%〜50%以上を占めることといわれており、セオリー以上の商品構成となっている。
 焼きあご(トビウオ)は上品で奥深い味わいの高級だし。最後の一滴まで「おいしく味わっていただくために用意した、新潟コシヒカリのあごだし茶漬けも大好評だ。香ばしい魚介系スープに加え、美しい盛りつけにもこだわっている。

3.チームワークと一体感
 スタッフのモチベーションがよくコントロールされていると、高橋社長や本部長からの評価が高い大船店。チームワークがよく、スタッフ全員が一体感を感じながら仕事できているためだ。コミュニケーション方法の一つとして活用しているのが、スラック(情報ツール)である。店長は全員に、毎日の情報や気付き、こんな場合はこうしようといった提案等を送り続けている。たとえば、「1時間に3人のお客様に小ライスを注文していただくと、1カ月にしたらこれだけの数字になる」という具合に、具体的な数字が実感できてポジティブに取り組めるような表現を駆使して指導している。(いいですね!)
 高校生スタッフもいるため、マンガや音楽、スマホゲームなど、若い人の情報を取り入れることも意識しているという。
 ヒカリッチ アソシエイツには、明確なランクアップ制度がある。新人・レギュラー(一般)・トレーナー・チーフ・店長代行・店長というランクである。アルバイトでも店長になることが可能なのだ。高橋社長には、アルバイト店長が店をマネジメントしていく体制を作りたいという想いがある。社員とアルバイトとの垣根がない企業なのだ。また、本社で行われるスタッフ教育も充実している。
 アルバイトスタッフに対する小菅店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは8:2。社員に対しては5:5とのこと。(なるほど、よく分かります)

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幸せになれるラーメン店(ちょっといい話)

 最近うれしいと思ったことを小菅店長に尋ねた。
 一つはスタッフのこと。今年1月に高校3年生の女子が店頭の募集告知を見て面接を受けに来た。初めてのアルバイトだというので、最初は少し心配だったが、経験がない割には度胸があった。成長のスピードも速い。教えたことをすべてこなし、今では麺上げまで行っている。期待の新人である。将来的にはチーフ以上の役割(時間帯責任者)を担ってもらいたいと思っている。スタッフの成長は、手放しでうれしいものだ。
 もう一つはお客様の話。大船店の常連客である40代のご夫婦は、焼きあご塩らー麺の大ファン。週に1回は必ず「いつもありがとうね」と言いながら来店し、ビールに始まり、ラーメンと丼のセットを注文する。召し上がった後、奥様はいつも「あ〜幸せ! 私はこれを食べるのが一番の幸せなの!」と満足げに語る。この言葉を聞くたび、小菅店長の心は充足感に満たされる。「経営理念の『最高の一杯と最高のサービス』を実感できる瞬間です」と笑顔で話す店長だ。(本当にウレシイですね!)
 「いつもおいしいラーメンをありがとうございます!」と帰り際に声をかけてくださるお客様が多いという。来る人も迎える人も、みんなが幸せになれる店なのだ。

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上手なコミュニケーションのコツ

 スタッフとのコミュニケーション、全員の一体感を大切にすることで、最高のサービスを極めようとしている小菅店長。それは決して簡単なことではなく、毎日の心がけと努力の積み重ねが重要だ。私もクライアント先の店長セミナーで、しばしばコミュニケーションのコツについて語っている。以下、そのポイントを簡単にまとめてみた。

@1日5〜10分、意識してスタッフとのコミュニケーションを図り、習慣化する。
Aほめることを習慣にする。(スタッフ一人ひとりに関心を持ち、言われたらうれしくなるような言葉を伝える)
B店長自身が、いつも素敵な笑顔でスタッフと接する。(良い関係性が広がる)
C「ありがとう」という感謝の言葉が自然に出るようにする。
Dさわやかに挨拶する。(さわやかな挨拶が飛び交う職場にする)
Eコミュニケーションの第一歩は雑談。(雑談力とチームワークは比例する)
F「他者中心」を意識する。(まず、スタッフの役に立つことを考える)

小菅店長は、これらのポイントを踏まえて行動できている。

 最後に、小菅店長の夢をお聞きした。「高橋社長の前向きな志向のもとで、2024年の上場、ニューヨークへの出店など、当面の目標を掲げて前進しています。いずれは海外での店長を務めたり、本部において幹部としての一角を担ったりと、活躍の場を広げていきたいと思います」と語ってくれた。
 未来にワクワクしながら仕事ができる環境が充実していて、幸せですね。頑張れ、小菅店長! いい話をありがとう!)