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売上前年比120%の要因

1.鳥貴族初のランチ営業
 鳥貴族モラージュ柏店は郊外の商業施設内にあり、主な客層は多くの居酒屋のようにビジネスマンではなく、ファミリー中心である。「ファミリーレストラン感覚でご利用いただいています」と斎藤店長は言う。コロナ対策で夜は22時まで(通常は24時まで)と、営業時間を2時間短縮するようになり、居酒屋の営業条件としてはますます厳しくなった。
 そこで店長とSVの提案により、鳥貴族では初となる週末ランチ(土日祝)がスタートした。その結果、売上前年比は6月113%、7月117%、8月127%と右肩上がりに。伸び率ナンバー1の店舗となったのだ!
 看板メニューは、1.もも貴族焼 2.とり釜飯 3.キャベツ盛。ランチは298円の商品3〜4品と白ごはん(味噌汁付き)で、ランチタイムの客単価は1200円だ。ランチの売上は日商7〜8万円。月に90〜100万円の売上アップとなった。また、テイクアウトも7月から導入し、月に20万円の売上向上に貢献している。
 このランチの成功例で、鳥貴族ではランチ導入を始める店舗が増えつつある。

2.笑顔100%のお出迎えと教育の徹底
(1年前)のモラージュ柏店は、人材不足のせいもあって、笑顔どころかQSCオペレーションも安定しているとは言いがたかった。このためスタッフ教育を徹底して行った。新人教育としては、OFF−JTで理念やハウスルール、QSCの基本、商品知識、ご案内などを指導。その他にも座学や接客訓練などを実施した。
 鳥貴族には、教育の理解度をチェックするための仕組み(60問の筆記テスト)がある。しっかり学べていないと、それがテスト結果に表れてしまう。徹底的に訓練してチェックし、オペレーションの安定・向上を図ったのである。
 また、ランクアップ制度は4段階。トレーニー、フォロワー、トレーナー、シフトリーダーと上がっていく。新人教育を担当するのはトレーナーだ。ランクアップ制度は一人ひとりのやる気を促すだけでなく、互いに切磋琢磨して成長できるシステムでもある。

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お客様からのお褒めのメール

 斎藤店長は、学生時代に鳥貴族でアルバイトをしていた。親しくなったお客様から飲みに誘われることもあった。「斎藤君に会いに来たよ」「今日は斎藤君いないの? 残念!」というお客様が増えていき、飲食店っていいな、鳥貴族ってすばらしいなと日々実感するようになったという。
 卒業後、一旦は営業職に就いたのだが、「焼鳥で世の中を明るくするという企業理念への共感も強く、3年前に鳥貴族に戻って来た。正社員になったのである。
 この店に移動して半年が経過した頃、一人の女性のお客様から本部に次のようなメールが届いた。「今日、初めて伺いました。店員さんが親切で、丁寧に対応してくださったので、気持ちよく過ごすことができました。食事ができて禁煙のお店を主人が探していたのですが、このお店はそれにぴったり。主人と私のお気に入りの店になりました。このすばらしいお店のまま頑張ってください。ありがとうございました」(おほめの言葉がいっぱいの、嬉しいメールですね!)
 お客様から愛される斎藤店長は、スタッフからも慕われている。「辞めたいと思っていましたが、斎藤店長の下で働くうち、もう一度この店で頑張りたいと思うようになりました」と言ってくれるスタッフも少なくない。

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「感じがいい」と言われる店になるには

 新人スタッフが多いにも関わらず、モラージュ柏店のMSR(覆面調査)は、200点満点中180〜190点と高い。QSCオペレーションの高さがこの結果をもたらしているのだ。
 QSC面で特に気を付けていることを斎藤店長に尋ねると、「焼き鳥の品質へのこだわり、そして笑顔とスピード感のあるサービスです。アルコールは1〜2分以内、スピードメニュー3分以内、焼鳥15分以内の提供を心がけています」とのこと。
 お客様のほうから「すみません」と呼ばれないために、いつも客席全体を見渡してお客様の変化に気付くようにもしている。冷房が効きすぎて寒そうにしている人や、トイレを探している人などはいないか、お客様のセットに不備はないか、ウェイティングのお客様はいないか等々、常にお客様に対して気遣いをしているそうだ。

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 私はクライアント先での店長セミナーで、しばしば「感じがいい」と言われる店になるためのアドバイスをしている。そのポイントは次の通り。
1.客席全体を常に見渡す。(ピーク時こそ重要)
2.ファーストレスポンスは素早く。(ファーストドリンク1分以内)
3.お客様の質問にはすぐに答える。(商品知識)
4.笑顔はそれだけでお客様の支持を集める.(笑顔率100%)
5.お客様の変化に気付く。(表情、態度、しぐさ)
6.小さなゴミを見逃さない。(クレンリネスの徹底で信頼度アップ)
7.感謝の言葉は5回伝える。(入店時、テーブル案内時、注文時、レジ、お見送り時)
8.店内に「やまびこ」を響かせる。(少し高めの元気な声)
9.お客様の背中に「ありがとう」のビームを送る。(背中を5秒間見守る)
10.ささやかな一言を添える。(「雨の中をお越しいただき、ありがとうございました」等)
このような「当たり前のこと」の徹底が、繁盛店を作っていくのである。

 最後に、斎藤店長の夢をお聞きした。「鳥貴族の海外出店の際、その店長として指名されるよう頑張りたい」という。売上前年比ナンバー1の実績だから、海外出店の折りにも活躍できると思いますよ。頑張れ、斎藤店長!