「あなたを探してこの店に来たの」 |
店長がほろっとした、ちょっといい話を二つ紹介しよう。 新店をオープンさせて間もないある日、神田店長はお客様の席に呼ばれた。驚いたことに、前の店の常連客で異動前にご挨拶ができなかった50代のご夫婦がそこにいた。「あなたがいなくなったので、社員の方に聞いてこのお店を探したのよ」とのこと。店長に会うために遠路はるばる来店してくださったのだ。このご夫婦は、前の店の近くにナショナルチェーンの回転寿司店ができた折、一時はそちらになびいたが、「やっぱりあなたのお店がいいわ」と言って戻ってきたお客様だ。お客様というのは店長に会いに来るのである。 もう一つは5歳の男の子の話。ある日この子が店の自動ドアにはさまり、足の爪がはがれそうになるケガをして、お母さんまでパニック状態になってしまった。神田店長は何度も「ごめんね」と謝り、応急処置を施した。病院にもお見舞いに行き、その後何回も電話で経過を伺った。そんなある日「子どもがあなたのお店が好きなので、これからも行きますよ」とお母さんに電話で言われた。そして「子どもと代わります」という言葉の後、男の子の声が聞こえてきた。「おねえちゃん、いろいろ迷惑をかけてごめんね」…思わず涙がこぼれそうになったという。 飲食店にはいつもドラマがある。愛情とまごころいっぱいの店長がいる店には、日々、たくさんの感動がある。そういう店こそが繁盛するのだ。 |
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ほめて、頼って、人を動かす |
お客様からの信頼の厚い、たのもしい神田店長だが、さすがにグランドオープン直前はプレッシャーを感じたそうだ。 立ち上げ時の部下社員は1名。P/Aは50名。店舗の引渡しからオープンまでは1週間しかない。P/A教育からワークスケジュールの組み立て、取引先との打ち合わせまで、すべてが27歳の女性店長一人にかかっていた。しかも売上は予測がつかない。緊張感とプレッシャーで押しつぶれそうになりながらも、近隣店舗からの応援を得たり、P/Aも成長したりして、無事オープンすることができた。グランドオープンを経験することで、店長自身も大きく成長できるのだ。 神田店長は、男性社員や自分よりも年上の主婦パートを含む50人もの部下をどうやって動かしているのか?…ポイントは部下に「頼る」ことだという。主婦パートには「このステンレス、どうしたらきれいになりますか?」というように、ベテラン主婦ならではのワザに頼る。これは新入社員の頃、言い争いになった失敗経験から学んだことだ。また男子大学生アルバイトには「酔って絡んでくるお客様がいたら私は逃げるけん、後は頼むよ」と任せる。すると彼は「ハイ!」と言って頑張ってくれるのだ。 仕事への意識を向上させるための「叱る」と「ほめる」の割合は、男性の場合は7:3、女性は3:7のケースが多いという。女性はほめて自信を持たせることによって人を動かしているのだ。素晴らしい! |
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気になることを先延ばしにしない |
神田店長が店舗運営上で最も大事にしているのは「コミュニケーション」だ。「何か気になることがあったら、先送りをしないですぐに手を打ちます」と語る。スゴイ! いつもP/Aの表情を見ているので、異変には敏感だ。何となく元気がない。声のトーンが弱い。笑顔が出ていない。キッチンスタッフの場合、いつものセンスとスピードがない等々、何かを感じたらその場ですぐに「いつもと違うよ、どうしたの?」と声をかける。具合がはっきりしない場合は「今日は帰りなさい」と言うこともある。店長にそう言われて、急に前向きになって「いいえ、頑張ります」と答えるP/Aもいる。 気になることを先延ばしにせず速やかに手を打つのは、ベテラン店長にだってなかなかできないことだ。問題点について対話をするには勇気が要る。そのことをきっかけにして、他の摩擦や不満が噴出するかもしれないからだ。できれば今は避けたいと多くの店長が思う。そうして問題の芽を抱えたままずるずると時間が過ぎ、やがて問題が大きくなって退職につながったり、店全体の雰囲気が悪くなったりするのだ。 いかがだろう、店長諸君! あなたは気になることを先延ばしせず、その場ですぐに対処しているだろうか? |
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ホールの女性は女優になれ |
Q「クオリティ」のポイントは盛り付けの美しさ 寿司は50分で自動廃棄される。100円の価値以上の満足感を感じさせる商品が大切なのだ。魚虎では6時間で12℃、その後3℃に下がる特殊な解凍電磁波付冷蔵庫を使用し、ネタの品質を安定させている。しかもこの冷蔵庫の利用によって、ネタの甘みが増すという。 魚虎では原価率50%、人件費20%、経常利益10%がP/Lの基準だ。ちなみに特上一貫にぎりの上マグロの原価率は70%以上である。 S「サービス」は常に笑顔で! サービスの3ステップは次の通り。まずはWatching(観察しろ)でお客様の表情や仕草を見る。次にThinking(考えろ)でお客様の気持ちになって考える。そしてAsking(尋ねろ)でお客様から要望を伺う。答えを出すのはお客様だからだ。 C「クレンリネス」は“拭き取り”の徹底 魚虎廿日市店では、従業員同士のコミュニケーションは良好だ。神田店長は最後にもう一度「人の支えがあって自分があるといつも感じています。人は心の中で思うだけじゃダメなんですね。話さないと何も始まりません」と語った。気になることはその場で話す。その大切さを教えてくれた実力店長だった。 |