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売上前年比110%、好調の3つの要因

1.テイクアウト比率20%
 コロナ禍の苦境が続き、第3波の影響による緊急事態宣言も発令・延長される状況において、テイクアウトは10%、15%、20%と伸び続けている。近隣に物流倉庫が多い商圏で、ビジネスマンやカインズの客層が主である。

2.テイクアウト伸び率200%
 新型コロナによる影響を受ける前は、営業時間は11時〜15時、17時〜20時30分(平日)だったが、少しでも売上を向上させるため午前8時オープンとし、モーニングカレーを導入。8時〜20時30分の通し営業に変更した。モーニングカレーは500円の限定メニューだ。

3.スタッフ主体の店づくり
 越川店長の店長方針は「笑顔とスピード」。カレーの提供時間は1分?3分にこだわっている(揚げ物が入ると5分)。笑顔は、マスクをしていても分かる「目の笑顔」を指導。 越川店長はスタッフが主体的に活動する店づくりを目指し、店長自身はスタッフのサポートをするマネジメントに徹している。このためお客様と積極的に会話をする主婦スタッフが多く、地域密着型につながっている。
 船井幸雄氏が提唱した「1:1.6:1.6の2乗の法則」という法則がある。
「1」 上司から指示・命令されて行ったときの効率
「1.6」 上司からの命令でも納得して行ったときの効率
「1.6の2乗」 スタッフが自ら考え、自主的に取り組んだときの効率
 スタッフをサポートする店づくりに徹することで、自ら考えて実行するスタッフが増え、新しいアイデアや改善提案がどんどん出るようになって、店が活性化するのである。

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店長のちょっといい話

 100時間カレーには「KID’Sフェア」というイベントがある。大人の注文1名(1品)でお子様プレート(390円)が半額、2名(2品)で無料になる(ドリンク付、8歳以下)。お父さんお母さんには嬉しいサービスだ。  越川店長がららぽーと東京ベイ店(船橋)で勤務していたとき、お客様が手を滑らせてトレイからカレープレートを床に落とすトラブルが時々あった。お子様やお客様にとってはかなりショックである。そんなとき店長はすぐに対応し、新しいカレーを提供した。みんな本当に喜んでくださったという。(嬉しいですね!)
 またスタッフの誕生日には、日頃の感謝を込めてバースデーケーキをプレゼントしている。全員、とても喜んでくれるそうだ。

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QSCで常に気をつけていること

 越川店長が店舗運営上で常に気をつけていること(QSC)は、次の通り。
Q 熱々のカレールーにこだわっている。90度で保温しているため、いつも80度以上で提供できる。盛り付けの美しさや色合いにも留意している。
S カウンターで注文を受けるが、カレーは席までお持ちするので、「お口に合いますか?」「カレーの辛さは大丈夫ですか?」「お近くにお勤めですか?」など、積極的に会話をするよう心がけている。(カレーは甘口、中甘、辛口の3種類)
C クレンリネスはデイリー、ウィークリー、マンスリーに分け、習慣付けて実施している。特にウィークリーには普段できないところを清掃しており、しっかりやるようにしている。もちろんコロナ禍における衛生管理は徹底している。

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女性スタッフのやる気をアップ

 越川店長の、スタッフに対するコミニュケーション量はかなり多い。仕事の話以上にプライベートな話もしている。主婦のスタッフが多く、地域や学校行事の情報、物流倉庫で働く人たちのランチ情報など、仕事として貴重な情報も多く出てくるので、しっかりと話を聞いて情報収集している。プライベートな話としては、家族や趣味、マイブームなどが話題に上る。
 パートスタッフに対する「ほめる」と「叱る」のバランスは8:2。社員は20代なので、6:4ぐらいの比率で叱って育てることが多い。
 ほめ方は「お客様への対応、よかったよ」「盛り付けがきれいだよ」「プラスワントーク成功、いいですね!(トッピング、ドリンク、サラダ等のサジェスト)」などだ。
 また女性スタッフの場合、「1人にさせないこと」を意識しているという。キッチン3人で洗い場1人の場合、洗い場が1人になる。そういうとき店長はできる限り声掛けをしている。(孤独感で不安になることがあります。大事なことですね)

 私の店長セミナーにおいても、しばしば女性スタッフのやる気の高め方を解説している。少し紹介しよう。
1 個人名で呼ぶ
 個人名で呼ぶのは、その女性個人を認め、尊敬し、責任を持って仕事に取り組んでもらうためだ。
2 積極的に会話する
 少しでも時間を作って笑顔で会話を交わすと、親密度が増す。女性は会話や触れ合いを大切にすることが多い。
3 ベテラン主婦パートを高く評価する
 経験豊富な主婦パートスタッフのことを常に高く評価し、頼りにしていることをはっきりと示す。それによって店全体のパワーアップにつながる。
4 ほめてパワーを引き出す
 徹底的にほめること。これは男女を問わずスタッフの力を引き出すコツだが、反応の早い女性は多い。尊敬を集めている店長からほめられれば、効果は倍増する。
5 公平に扱う
 公平さを重視する女性が多い。特定の人に目を向けているような店長は信頼されない。

 越川店長の夢は、100時間カレーのブランドイメージを高めること。「100店舗達成に向けて、貢献していきたい!」と、力強く語ってくれた。これからますます伸び続けると思うよ。
 ありがとう、越川店長!