「心地よい高級感を、1つの作品と1つの個性で表現する」のが、井上店長の店舗目標である。「粋な文化が根づく神田という地で、常に気のきいた計らいを心がけ、お客様がいついらっしゃっても楽しめるような、感動や驚きに満ちた店づくりをしたい」と語る。
売上好調のポイントを尋ねた。
1.常連客の多さ
常連客が多いこの店では、9割が予約のお客様だ。店長は200人以上の常連客を認識している。もちろん初めてご予約の時から丁寧かつフレンドリーにお迎えする。お客様の予約状況はデータ化され、好きなメニュー、苦手な食材、いつものワインや日本酒などが入力されており、個別の対応ができるようになっている。
常連客は、限定メニュー(例えば魚のコース料理)をリクエストすることも可能。美容室でのきめ細やかな顧客対応に感心した店長が、それを参考にお客様の情報をデータ化したのだという。
2.商品力(特撰コースは全16品)
契約牧場から届く極上の「黒毛和牛」、兵庫県浜坂漁港のホタルイカ・松葉ガニ・アワビなどの新鮮な「魚介」、朝とれたばかりの「野菜」など、全16品料理が楽しめる「あばぐら特撰コース(5000円)」は、非常にコストパフォーマンスが高い。旬の食材を用いているため、月ごとに順次お品書きが変わっていく。こだわりの料理に合うよう赤ワインや日本酒とのペアリングを行い、常連客に支持されている。
3.スタッフとのコミュニケーション
とにかく店の空気(雰囲気)が良い。この店では毎日営業終了時に、店長とスタッフ全員でまかないを食べながらコミュニケーションを図っている。「とても大切な時間です」と井上店長は言う。学びもたくさんあるし、プライベートな話もいっぱいする。勉強会も実施している。ソムリエの資格を持つ店長が、新しいワインや日本酒のテイスティングについてレクチャーする。料理の勉強会では、イラストを見せながら丁寧に教育する。
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