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コロナ禍でも平均月商1200万円、3つの要因

1.コストパフォーマンスが高い
 お手頃に飲み放題できるレモンサワーサーバーが全卓完備。単価の安い塩ホルモンやボリュームたっぷりの肉塊レモン牛タンなど、満足感のあるメニューで客単価3000円は、かなりコストパフォーマンスが高い。
 コロナの影響でランチ営業を行っており、私がランチで入店した時、8割のお客様で埋まっていた上、若い女性客が多いことに驚いた。塩ホルモンを注文すると、スタッフが「今日はいいホルモンが入っていますよ」と言いながら提供してくれた。この一言で、より美味しく感じられた
SNSマーケティングで新規とリピート客増加
 この店は、ツイッターやインスタグラムでの口コミ集客が多い。口コミを増やすために、映えメニュー・映え企画に力を入れている。牛タンの上にレモンがいっぱいの「レモン牛タンカーペット」は、インパクトの強いインスタ映えメニューの一つだ。  いつでも冷凍レモン無料、3回来店で黄金タンブラープレゼントなど、うれしいアプリ企画もある。5月からは、500円以上のメニュー6品を500円で提供するキャンペーンに入った。お客様を喜ばせる企画が目白押しである。 チームワーク抜群
 前田店長の店舗目標は「従業員の笑顔があふれる店」。スタッフとのコミュニケーションの量が多く、チームワーク抜群の店づくりをしている。コミュニケーションは量が大切なのだ。前田店長は「ふれあいが多すぎて面倒くさい店長と言われても、熱いコミュニケーションを続けます」と語る。(いいですね 笑)
 成長したスタッフには「ナイスプレー」「スゴいじゃん」「やったぜ!」「優勝100点」という言葉をかけてほめる。注意するときは、一対一できちんと教育している。

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スタッフの採用から教育まで

 渋谷店は昨年7月にオープン。その際の応募者は77人。採用したのは59人で、現在25人が在籍している。「厳しく指導して、残ったスタッフは強い」と前田店長。
 新人教育の基本は次の通り。
@衛生管理(正しい手洗い、身だしなみ、クレンリネス徹底)
A挨拶の励行(従業員同士、お客様、業者の方)
B声出し(毎日の朝礼で接客用語の声出し、発声の練習)
この3つが飲食店の仕事の原点でもある。
 朝礼では、一人ひとりの今日の目標を発表させ、全員に対してアドバイスをしている。また、いろいろなスタッフがそれぞれ強みとしている「笑顔」や「ご案内」や「スピード感」などを動画に撮って、新人に見せながら教育する。
 「お客様ファースト」の指導もしっかり行う。通路では止まって道を譲る、商品や焼き方の説明、生肉に温かいお皿を使わない、冷麺は冷たい器で提供するなどだ。お客様ファーストができないときはその場ですぐ指導する。店長は常にお客様の立場に立ち、繰り返し指導し続けなければならないのだ。店長自身、サービスの質で満足することはないそうだ。まだまだ40点だという。
 また、ベテランスタッフが新人を教育する様子をしっかり観察し、教え方をきちんとアドバイスすることも忘れない。

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店長のちょっといい話(うれしいエピソード)

 前田店長に、最近うれしいと思ったことを尋ねた。
@飲食業に商品提供する食肉業者が来店。その方から「この品質でこの価格はすごいね」と言われた。ますます自信を持って提供できるようになった。
A初めて来店した中高年のお客様が一旦お帰りになった後、「接客が良かったから」と言って、わざわざ差し入れのプレゼントを持ってきてくれた。
Bディズニーランドで調理人をしているお客様が、毎月のように千葉の柏市から渋谷店まで店長に会うため来店してくださる。
C多くのスタッフが、休日になるとときわ亭の他店へ見学に行き、よかった点や気になった点を報告してくれる。
Dサクレレモン(サワーレモンに入れてもそのまま食べても美味しいデザート、198円)のサジェストセールスの際、頑張って60個も販売してくれるスタッフがいる。彼女のことを「サクレガール」と呼んでいる。

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スタッフの自己重要感を満たすには

 渋谷店の強みを尋ねたところ、前田店長は「すばらしい社員、スタッフに恵まれています。みんな渋谷店が大好きなんです」と答えた。店長自身がスタッフ一人ひとりの力を認めていることを全員が知っており、自信を持って仕事に臨んでいるからだろう。スタッフの自己重要感が満たされているから、みんなすばらしい働きができるのだ。
 スタッフの自己重要感を満たす店長には、次のような共通点がある。
@明るくて爽やかな挨拶と笑顔
A1日5分から10分のグッドコミニュケーション(スタッフ全員に対して)
Bスタッフを名前で呼ぶ
Cほめることを習慣にしている
D「ありがとう」を自然に言う
Eプライベートな雑談から気軽にコミュニケーション
店長がこれらのことをしっかりできれば、店に対するスタッフの愛着心は高まる。

 前田店長の今後の目標は、ときわ亭の研修店舗として渋谷店が手本となる運営をし、店舗運営システムを作り上げて、ときわ亭を誰もが知っているブランドにすることだという。
 ありがとう前田店長! 100店舗達成の日も遠くない。