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紅とん+麺屋はなびの二毛作
二毛作成功の3つの要因

1.台湾まぜそばの商品力
 麺屋はなびの看板メニューである台湾まぜそば(890円)は、はなびにおいて商品シェア50%以上を誇る圧倒的な一番商品である。
 ランチタイムに麺屋はなびを導入する各店舗の店長は、下北沢店にて明和マネジャーから2ヶ月間の研修を受ける。明和マネジャーは麺屋はなびの大将(新山社長)の想いを引き継ぎ、味が絶対ぶれないよう店長たちを指導している。
 はなびの運営方針は、こだわりの品質とサービスを日々同じ状態に安定させること。麺は生き物なので、季節や湿度などによって毎日状態が違う。その変化を考え、タイマーの微調整を行い、1玉1玉の味を見極めつつ提供しているのだ。
2.ファサード変更で二毛作を切り替え
ランチタイムにはバナー(垂れ幕)やのぼりで麺屋はなびのイメージを前面に打ち出す(写真参照)。昼に来店した人は「夜は紅とん」なのだと気付き、夜に来店した人は「昼は麺屋はなび」であることが分かって、相乗効果を生んでいる。
 客層は6(男性):4(女性)と、昼どきのラーメン屋にしては女性客が多く、女性層によってSNSで盛んに情報発信されている。新山大将のYouTube(新山チャンネル)も人気がある。こうして着実に、名古屋めし台湾まぜそばの認知度が上がっている。
3.お客様の満足は接客が7割
 麺屋はなびでは、新山大将が「いかにおいしいまぜそばを提供されても、お客様の満足度は3割しか満たされない。あとの7割は接客だよ!」と常日頃から従業員たちに接客の大切さを言い聞かせている。明和マネジャーもこれを受け、店長研修でしっかりと接客教育をおこなった。お客様一人ひとりに対して、きちんと顔を合わせて挨拶することの重要性も説いた。
 そのためかGoogle評価は高く、下北沢店では星4.2で口コミは50件もあり、「ラーメン屋さんできちんと接客された」「入口でスタッフが明るく迎えてくれた」「まぜそばは初めてだったが、食べ方の説明をしっかりしてくれた」といった、接客をほめるコメントが数多く寄せられている。

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店長の「心の鮮度」がアップ

 明和マネジャーは、従業員満足度と顧客満足度はイコールであり、スタッフに麺屋はなびの大ファンになってもらうことが第一だと考えている。そのためグランドオープン前の新規スタッフ研修(5日間)では、はなびの創業の想いや台湾まぜそばのこだわり、店内のBGMがサザンオールスターズ一色である理由等々、理念や心意気の面からも徹底的に指導した。
 名古屋で愛されている店だけに、愛知県出身で東京在住のお客様からしばしば「名古屋の味と変わらないね」と、嬉しい言葉をいただく。声をかけられ、ほめられることで、スタッフはお客様と喜びを共有しているのだ。
 2ヶ月間の店長教育を終えた店長たちは、新規スタッフ研修では教育する側に回る。明和マネジャーは、「こういった研修によって、これまで新店をグランドオープンさせた経験の少ない店長でも初心に返り、飲食店の原点について一から考え直すことができます」と語る。「はなびに関しては、紅とんで20年活躍するベテラン店長でも『1年生』です。2ヶ月間の研修では、トレーニーからのスタートとなります。フレッシュな気持ちで再出発できるのです。心の鮮度が上がります!」

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スタッフとの関係も向上

 二毛作へのチャレンジにより、店長とスタッフとの関係性も良くなったと明和マネジャーは言う。従来の会社のやり方で「紅とん」「ぼちぼち」「扇屋」の運営をこなしてきた店長たちが、全く別の組織である「麺屋はなび」のオペレーションを一からスタッフに教育することで、これまで以上にスタッフとのコミュニケーションを図ることになり、新たな絆が生まれたという。「昼だけでなく夜のほうも、充実した店づくりができるようになった」と言ってくれる店長が多いそうだ。その新たな良い関係性がお客様にも伝わり、店はますます繁盛していくのである。

 明和マネジャーの今後の夢は、ヴィアホールダイニングにおいて麺屋はなびの導入店舗を100店舗にまで増やすことだという。初心に返る(物事を始めた頃の純粋な気持ちに戻る)ことの大切さを教えてくれた取材となった。
 ありがとう、明和マネジャー。100店舗達成、頑張れ!