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コロナ禍でも売上好調、3つの要因

 本田店長の店舗方針は、「ディズニーランドを超えるおせっかい焼き集団」。さらに、「競合店の強みを全て超えて、圧倒的な地域一番店を目指すこと」だという。
1.「差し出すおせっかい」の徹底
 物語コーポレーションでは、サービスのことを「ホスピタリティー」や「おもてなし」ではなく、「おせっかい」という言葉で表現する。おせっかいには「引き出すおせっかい」と「差し出すおせっかい」の2つがある。
 「引き出すおせっかい」は、お客様に“お困りのことはありませんか?”などと尋ねて要望を引き出すこと。これに対し「差し出すおせっかい」は、お客様が求めていることを察して率先して提供すること。一歩踏み込んだおせっかいである。「お客様とのふれあいが多いからできることです。それが新潟駅南店の強みで、売上好調の第1要因です」と本田店長は語る。
2.常連客、各店1,000人を認識
 私が今回の取材で最も驚いたのは、「3回ご来店されたお客様のことは、以前利用されたテーブルの位置まで覚えています。これまでの5店舗で各店1,000人の常連客を認識しています」という本田店長の言葉だ。 (すごいですね!)
 「新潟駅南店は着任6カ月目なので、客席の5割ぐらいのお客様しか認識できていません。でも長岡店は1年間在籍していたため、土日のピーク時でも7〜8割のお客様を認識できていました」と本田店長。つまり常連客が7〜8割もいて、満席状態が続いていたということだ。(常連客の脅威的な多さと、圧倒的なサービス力!)
3.リーダーミーティングで改善の連続
 この店では、毎週月曜日に社員とアルバイトリーダー8人でリーダーミーティングを実施している。その内容は以下の2点。
@コロナ禍における衛生管理やハウスルールなど、決められたことが徹底できているかどうかを検証。
Aみんなで意見を出し合い、改善したいところを一つひとつ改善。
 NPSという調査がある。顧客アンケートで「商品やサービスを知人や同僚にどれぐらい勧めたいか?」と質問し、顧客ロイヤリティを数値化する。現時点の評価を表す顧客満足度調査に対し、「他者に勧める」という未来の行動を数値化するもので、数値の低い箇所を課題として改善していく指標となる。このNPSのレベルも、新潟駅南店はFC店舗トップクラスだ。
 この店では、こうやって毎週店舗の運営状態を改善している。客数が増えるのは、改善の連続によるものなのだ。

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スタッフ採用率は10%以下

 新潟駅前店は、改装オープンのため新規スタッフを20人募集した。応募者は200200人以上。採用率は10%以下である。かなり狭き門だが、スタッフの厳選採用はとても重要である。
 本田店長の採用の基準は5つ。
@夢や目標を持ち、熱い思いを語れる人
 その目標の理由を語れる人は採用する。
A姿勢が良い人。
 面接を待っている時の姿勢や、立ち上がってきちんと挨拶ができるかどうか。
B字がきれいな人
 相手に読んでもらいやすいよう、丁寧に書かれているかどうか。
C相手の目をしっかり見て話ができるか(アイコンタクト)
D相手に伝わる声ではっきりと話ができるか(お客様との会話)
 迷ったら採用しない。採用を決めたら即決し、「君と一緒に働きたいからよろしく」と握手する。これは私が実施しているセミナーで学んでくれたことだという。(ありがとう!)

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全員が焼肉ポリス

 新人はまず店長のオリエンテーションで、焼肉きんぐのコンセプト、QSCA、衛生管理、ハウスルールを学ぶ。このほかに店長は、お客様から常に見られていることを意識して行動することや、先輩スタッフから学べること(笑顔、差し出すおせっかい、スピード感など、各先輩の圧倒的な強み)などを指導している。新人(トレーニー)がシフトを上がった時は、店長・トレーナーと共にショートミーティングを行い、毎日の評価と明日への課題を決定する。  新人は肉の焼き方も教わる。この店では腕章をつけた焼肉ポリス(全スタッフ)がお客様に焼き方を指導している。おいしい焼き方のコツをプロとしてお客様にアドバイスしながら、会話もできる仕組みだ。「全員が焼肉ポリス」これもこの店の大きな強みである。

スタッフの変化に気付く

 本田店長がコミュニケーション上で最も気にかけているのは、スタッフの変化に気付くことだ。ちょっとした変化に気付いたら、すれ違いざまに「いいね!」や「OK」のサインを出す。
 本田店長の「ほめる」と「叱る」のバランスは9:1。叱るのはお客様のことを考えていない時や、お客様に想いが届いていない時。
 ほめる時は、他のメンバーに聞こえるようにほめる。店長が重視している点を、全員が分かるようにするためだ。「Aさんの声、素敵だったよね。指導してくれたBさんのおかげだね」と、先輩スタッフも巻き込んでほめる。(ダブルぼめですね!) スタッフの「素敵」なところをいっぱい見つけてはほめる店長なのだ。

 今後の夢は、焼肉きんぐを10店舗に拡大し、メガFCのエリアマネジャーとして店長たちのサポートをすること。「家族が増えたので、公私ともに充実している姿を部下に見せたい」とも語ってくれた。
 ありがとう、本田店長。がんばって公私ともに充実させてください。