強みは「まぐろ料理」と「いけす」と「一心太助」

看板メニューは「まぐろ三種盛り」1480円、「カマ塩焼き」980円、「中落ち」880円、「ほほ肉ステーキ」650円。頭から尾までまぐろを食べ尽くすイメージの、まぐろ居酒屋ならではのコンセプトだ。日替わりメニューは産地からの直接仕入れによって毎日3〜6品目が入れ替わり、特に刺身の評判がいい。居酒屋の売りは、何といっても「本日のおすすめ」だ。お客様は新鮮な美味しさを毎日楽しみにしている。

また、いけす(水槽)では活きの良いアジやヒラアジ、タイ、ヒラメが泳ぎ、ロブスターやタカアシガニなども勢ぞろいして、お客様の目を楽しませてくれる。子どもたちにはアジのすくい取り(390円)が大好評で、多い日には20組も挑戦する。さらに、まぐろぶつ切り1分間取り放題(大皿に盛ったまぐろをスプーンで取る)も大好評だ。このような楽しいイベントが、お店には必要なのだ。

海浜幕張駅前には最近相次いで飲食ビルが建ち、競合店が一挙に30店も増えたが、さかなや道場は月商2000万円のペースをキープ。まぐろづくしの看板メニュー、いけすのインパクト、本日のおすすめ料理、毎日の楽しいイベント、元気いっぱいの一心太助店長、これらすべてのアイテムが店を勢いよく活気づけているのだ。「幕張地区No.1の店舗にしたい!」と、高延店長は熱く語る。

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5つの約束と母店制度

チムニーでは今年を教育元年として位置付け、次の5つの約束を全店で実施している。

1.朝礼の実施と連絡ノートの毎日活用
2.アイコンタクトでお出迎えし、外までお見送りしよう。
3.ファーストドリンクは3分以内、ファーストフードは5分以内。
4.笑顔で中間サービスをしよう。
5.客数昨対(前年比)100%を実施しよう。

あたり前のことなのになかなか徹底できない基本的なことを、全店で確実に実施する。それが飲食店ではとても重要なのだ。ちなみに3の達成率を高延店長に聞くと「ファーストドリンク3分以内は現在80%(大宴会を除けば95%!)、ファーストフード5分以内は95%です」とのこと。全430店でこの達成率を上げていくのは容易ではない。それを徹底させていくのが店長の務めだ。

チムニーでは母店制度という教育システムも稼働している。母店とは、教育店舗であり、問題解決のモデル店舗であり、サテライト店とのコミュニケーション強化を図る店舗でもある。母店は7〜8店に1店程度の割合で設けられる。母店となるための絶対条件は繁盛店であること。海浜幕張北口店も母店で、エリア7店のリーダーシップを担っている。

月1回の勉強会やP/Aの新人教育、新人店長の悩み相談なども、母店で行われる。母店からの良い影響や刺激を受けて、サテライト店のグランドオープンを迎えるケースも多い。

エリアマネジャーの指導を縦糸とするなら、母店制度は横糸。両方の糸でオペレーションの強化を図る。いずれも社長直轄で、トップの意思もダイレクトに伝えていくのだ。

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ちょっとホロリ、店長やっててよかった!

初代一心太助の高延店長には、超常連客がついている。中でも、ある中小企業の社長は常に一心太助に負けないぐらい明るく元気いっぱいで、店長が異動するたびに「オープンおめでとう!」と、お祝いの酒を持って来てくれるほどの常連ぶりだ。ところがある時、何だか様子が違っていた。元気がないのだ。聞けばお母さんを亡くされたとのこと。「いつも冗談ばかり言ってるけど、本当は君に元気をもらいに来てたんだ」という。こんな時でも来店してくださるお客様がいる!…そう思うと、店長の胸も熱くなった。さかなや道場の店長をしていて本当に良かったと思った瞬間だった。今日はチャーハンが食べたい気分だと伺い、店長自らの手でメニューにはないシーフードチャーハンを作って、食べていただいたそうだ。

こんな話もある。中国人留学生アルバイトのA君は、日本語の問題や仕事への姿勢など、いくつも問題を抱えていたのだが、ある日ついに料理長と衝突した。店長がすぐにA君と話をしたところ、「料理長から毎日ダメだダメだと怒られてばかり。もう辞めたい」と泣きながら訴えられた。一心太助店長は「君は一生懸命やってるけど、言い訳が多いんじゃないかな。料理長は君に仕事をしっかり覚えてもらいたいんだ。まずは素直に言うことを聞いてやってみようよ。それでうまくいかなければ辞めればいい。辞めるのはいつでもできるんだから」とアドバイス。A君は翌日から変わった。料理長も驚くほど素直になったのだ。そして今では、A君はキッチンのリーダーとして活躍するに至っている。

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店長の仕事は部下を育てること

高延店長は名刺交換したお客様を顧客名簿に記帳し、顧客管理している。特に、多く会話を交わしたお客様や常連になっていただけそうなお客様にはDMを出したり、誕生日にボトルサービスなどのプレゼントをする。

P/A教育が最も大切だと考えている高延店長だが、特に重要なのはお客様との会話で、できるだけ多く会話するよう指導している。会話することでお客様の顔と名前を覚えるし、自分の顔と名前も覚えてもらえる。お客様から、さかなや道場に来店するのではなく「あなたに会いに来たよ」と言われるような接客をしようと、常日頃から指導しているのだ。海浜幕張北口店の歴史はまだ浅いが、高延店長がこれまでに率いて来た店では、50人以上の顧客を持つアルバイトが何人もいた。アルバイトが常連を多く持つほど店は強くなり、業績が上がると、高延店長は語る。

また、生き生きとした笑顔でお出迎え、本日のおすすめの説明、ファーストドリンクの早さ、中間バッシングでのセールストーク、おしぼりの速やかな交換、最後のお茶出し、外までお見送りなど、細かいところまで徹底指導している。

クレンリネスは、トイレの美しさといけすの清掃に特に力を入れている。ホールのクレンリネスについては、お客様の目線で汚れをチェックするよう指導している。

連絡ノートには前日の反省と今日の目標を記入。そして毎日P/A全員に笑顔で声をかけ、今日のテンションや体調の確認をする。

高延店長の仕事ぶりを見てもわかるように、店長の仕事というのは、部下の能力を引き出して伸ばし、QSCレベルを上げ続け、その結果として業績をアップさせることなのだ。

「7割を未来に、3割を現在に」という言葉がある。店長は3ヶ月後や半年後を見据え、「緊急ではないが重要なこと」にエネルギーを注ぎ込まなければならない。緊急ではないが重要なこと、それこそが「教育」である。そして飲食店は教育産業なのである。

最後に高延店長の夢を伺った。「一心太助は現在30人(30店舗)になりました。早く100人の一心太助をつくりたいですね!」と、目を輝かせながら語ってくれた。

花のお江戸の名物は、火事と喧嘩と一心太助! 義理と人情に厚い、明るく超元気な実力店長が、さかなや道場にいた。がんばれ、初代一心太助!