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コロナ禍でも好調な3つの要因

1.蛇口からレモンサワー、60分500円
 テーブルに設置されたサーバーで好きなだけ自分で注げる、60分飲み放題のレモンサワーが名物。自分で注ぐので待ち時間もない。延長は30分300円で、最大120分まで延長可能だ。客層は、平日は会社員、週末はファミリー客が多い。女性客も多く、私が取材した日も一人で来店している女性客がかなりいた。
2.安くておいしい商品がズラリ
 看板メニューのベスト3は、@たけ田カルビ480円、A究極シロホルモン380円、Bながーいタン塩380円。焼肉・ホルモンの多くは380円で、圧倒的なバリューを感じるメニュー構成となっている。サイドメニューのチーズビビンバ、黒冷麺、チーズポテサラも人気だ。
3.アットホームな雰囲気で常連客増加
 「アットホームな環境を作る」のが小林店長の店長方針。お客様から「ただいま」「また来たよ」と言われる店にしたいという。
 あるときお子様連れの若い家族が来店し、店長はその家族との会話を楽しんだ。翌日、ビジネスマン4人(美容室チェーンの経営者と部下)が来店。「娘からいいお店だと聞いて来ました」とのこと。若い家族はその経営者の娘さんだったのだ。経営者もこの店の雰囲気がとても気に入り、部下を連れて5日間連続で来店。その後も箱入り高級メロンを差し入れしてくださったり、社員の会食や目標を達成した店長のねぎらいなどで利用してくださったりして、今では超常連客となっている。ちなみに、差し入れをしてくださる常連客は複数いらっしゃるそうだ。
 最近、常連のお客様が突然お亡くなりになり、そのご友人(やはり常連客)と一緒にお墓参りに行かせていただいた。まるで家族のような、アットホームな店なのである。
 「お客様の後ろには多くのお客様がいる」といわれる。一人のお客様に満足していただけたら、その家族や友人や同僚にもお客様になっていただける。お客様という名の友人を作ることが大切なのだ。

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スタッフが激変した経緯

 自分本位な態度が目立ち、他のスタッフに迷惑をかける女子学生アルバイトがいた。自分の都合や気分が最優先で、出勤時間はいつもギリギリ、仕事は言われたことだけやるという態度だった。なんとかしなければと思い、面談で「いつも自分のことしか考えていないね。仕事がテキパキできなくても叱らないけど、周りへの気遣いができない時は厳しく注意するよ。社会人になってから恥ずかしい想いをするのは自分だよ」としっかり言い聞かせ、お母さんにも「自分勝手な態度が目に余るときは叱ります」と伝えた。
 以降、店長は毎日彼女と向き合って「今日は何を意識し、何を目標に仕事をしたの?」と言い、叱咤激励し続けた。1ヵ月経過する頃から彼女は変わり始めた。15分前には出勤するようになり、お客様や他のスタッフと笑顔で会話を交わすようになった。お母さんからは「私生活も変わりました。時間も守れるようになったし、何より明るくなりました。店長さんのおかげです」と言われたそうだ。
 「スタッフ一人ひとりときちんと向き合い、愛情を持って接することの大切さを学びました」と語る小林店長である。(素晴らしいリーダーですね!)

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ホピタリティとサービスの違い

 小林店長は、FCのトレーナーとしてFCオーナー店長を指導する立場にある。「飲食ビジネスが初めてのFCさんは、飲食の基本から学んでいただく必要があるため、覚えるまでに少し時間がかかります」と小林トレーナーは言う。FC店長とサラリーマン店長との意識の違いに留意するとともに、個別の対応にも配慮している。同じことを話してもそれぞれ伝わり方が違うし、やる気の出る言葉も一人ひとり異なるため、自分自身の発言内容や言い方には十分に注意しているとのこと。その人の良いところを見つけて、まずほめる。その後気づいたことをワンポイントアドバイスする。この連続なのだ。
 サービスとホスピタリティの違いも教えている。サービスはすべてのお客様に対する基本的な対応のこと。ホスピタリティはお客様一人ひとりに対する個別の対応のことで、お客様の名前を覚える、汚れの目立ちそうな服にはエプロンを用意、アミ交換のタイミングに気づく、お子様のお皿やスプーンの準備、目の前のお客様に向けた最高の笑顔…などが積極的にできることだと小林店長は語る。(そうですね。ホスピタリティとは、オーダーメイドのサービスのことですね!)

グループLINEでスタッフの意識アップ

 北浦和店では、営業終了後、まかないを食べながら今日の良かったことや悪かったことについて話し合っている。
 またグループLINEでは予算売上や今月のオペレーション目標などを共有。店長が休みの時はスタッフが「本日の予算、達成しました」と日報を発信している。ところがある日、売上予算は40万円だが実際には38万5千円で、わずかに届かなかった。スタッフはそれを振り返り、「席が空くのを待てずに帰ってしまったお子様連れのお客様に対し、待ち時間についてもっとしっかりご説明をして引き止めていれば、40万円を達成できたはずだ!」と、反省しきりだったそうだ。小林店長は「達成できなくても、そんなふうにスタッフが高い意識を持って仕事に臨んでいること自体、嬉しいですね」と誇らしげだ。
 また、アンケート調査の毎月の集計(300枚)を、「店長の負担が大変なので私がやります」と、自主的に引き受けてくれるスタッフもいる。

 たけ田で店舗マネジメントや数値管理を勉強し、将来は実家の焼鳥屋を拡大するのが小林店長の夢だ。明確な夢は実現します。ガンバレ、小林店長兼トレーナー!