画像
月商1億2千万円! 売上が伸びた3つの要因

1.外食頻度が減った分、おいしいものを食べたい
ウルフギャング・ステーキハウスの看板商品ベスト3は、@プライムTボーンステーキ22000円(2名様用)、Aプライムサーロインステーキ11000円、Bプライムフィレミニオン16720円。
 ほとんどのお客様が注文する名物商品・プライムTボーンステーキの商品シェアは30%。絶対的人気メニューである。熟成Tボーンは店内の熟成庫にて28日間、ドライエイジングで熟成させる。28日後の売上を予測して管理する必要があるため、在庫管理が非常に難しい。その後5割もトリミング(熟成後、可食部分のみに)されるので、原価もかなり高くなる。
 「コロナの影響で外食頻度が減った分、たまの外食だからとむしろ高級業態が支持され、客単価も上がって、売上が向上したと思われます」と梅澤ゼネラルマネジャーは語る。テイクアウトやデリバリーで初めてウルフギャング・ステーキのTボーンステーキを食べて本物のおいしさを知り、来店するお客様が増えたのも大きな理由の一つだという。
2.コロナ禍でも「ハレの日」はある
梅澤ゼネラルマネジャーの店長方針は、創業者ウルフギャング・ズウィナー氏の「Wolfgang’s Way」。「365日、年中無休。赤ちゃんからご年配の方まで、すべてのお客様をお迎えします。ご友人、ご同僚、ご家族でワイワイガヤガヤと気軽に楽しんでください」ということだ。
 舌の肥えた美食家をも唸らす、ニューヨークの"極上ステーキハウス"をそのまま日本へ。至福の時を過ごすにふさわしい格調高くエレガントな空間に包まれ、さながらNYにいるかのような雰囲気を味わえる。コロナ禍であっても、ハレの日をゴージャスに、幸せな気持ちで祝いたいというお客様が増え続けているのだ。
3.教育チームでスタッフを育成
 丸の内店のホールには9人の社員がいるが、そのうち3人が教育チームとしてスタッフの育成に当たっている。ホールスタッフには、ハレの日に気付くよう指導をしている。お子様の合格祝い、誕生日、還暦祝いや退職祝いなど、おめでたい席は多いが、お客様があらかじめそれを店に伝えるとは限らないので、乾杯の時の「おめでとう」という言葉など、そのサインを聞き逃さない・見逃さないようにする必要がある。
 個室は原則として10人以上のお客様が対象だが、小さなお子様がいるご家族や高級ワインをご注文のお客様には「個室でゆっくりなさいますか?」とお勧めしている。特別扱いされると嬉しいものである。
 ちなみにこの店にはモデル志望の女性スタッフや、実際にモデルをしている男子大学生アルバイトもいて、華やいだ雰囲気を醸し出している。

画像
バースデーの感動の瞬間

 丸の内店は記念日や誕生日のお祝いによく利用されるが、実はプロポーズ利用も多い。予約時にプロポーズのことを知らせていただけば、成功したときには店から花束をプレゼントすることもある。プロポーズされた女性のほとんどは胸がいっぱいになって涙してしまう。この店で多くのご夫婦が誕生し、幸せへの一歩を踏み出してきた。
 バースデーの感動の瞬間に立ち会うことも多い。ある日、小さな男の子(4歳)と両親が来店。この子は周りのお客様の誕生日の様子を見て、楽しそうに一緒に手をたたいていた。このテーブルを担当したスタッフは、乾杯の時に男の子とお母さんが「お父さん、おめでとう」と言うのを聞き逃さなかった。誕生日の話は伺っていなかったけれど、食事の後、そのスタッフは花火をスパークさせながらバースデープレートをテーブルへ運んだ。もちろん店からのプレゼントである。男の子は小躍りして喜んだ。この子はこのプレートの登場に合わせて、お父さんのためにハッピーバースデーを歌いたかったのだ。
 突然のサプライズにお父さんもお母さんもびっくり。感極まって泣き出した。その姿を見て、スタッフの目からも涙があふれ、止まらなくなった。梅澤ゼネラルマネジャーも、3人が泣いているのを遠巻きに見たという。このお客様は、その感動の瞬間をインスタにアップしてくれた。ウルフギャング・ステーキハウスのテーブルには、幸せな瞬間がいっぱい詰まっている。ここでは毎日、幸せと出会うことができるのだ。

画像
「ポジティブフィードバック」で強力なチームワーク

 梅澤ゼネラルマネジャーに丸の内店の強みを伺ったところ、「強力なチームワークです」と即答。チームワークを向上させるため具体的に実施しているのは、スタッフ全員に対して積極的に挨拶や声掛けをすること、スタッフからの要望や質問に対してクイックレスポンスすること、そして「いつもありがとう」「助かっているよ」などの感謝の言葉を伝えることだという。
 また、シフトを上がるスタッフが、アルバイトリーダーや社員に「今日の私の仕事はどうでしたか?」と毎日聞くようにさせている。フィードバックを習慣化しているのだ。この店のホールは、6〜8テーブルを2人(先輩と後輩)で担当するエリア担当制をとっており、最後に1日を振り返ってフィードバックするのである。良かった点とワンポイントアドバイスが中心。これによってスタッフは自分の成長を実感し、モチベーションを上げることができる。信頼関係も構築されていく。
 以下、ポジティブフィードバックのチェックリストを挙げた。あなたの店でもチェックしていただきたい。
<ポジティブフィードバック チェックリスト>
@スタッフとチームメンバーには、毎日積極的に笑顔で挨拶している。
Aスタッフに「ありがとう」「助かっているよ」と言語化して伝えている。
Bスタッフから質問されたり要望されたりした事柄には、クイックレスポンスで返答している。
Cスタッフがやってくれたことに対して、感謝の気持ちを示している。
Dスタッフのプライベートな状況を知っている。(小さい子どもがいるなどの家庭情報、サークル活動、マイブームなど)
Eスタッフの弱みやその改善方法について肯定的に話したことがある。
Fスタッフが現在努力していることの内容を知っている。
Gスタッフやチームメンバーとは月に1度は1 on 1で話している。
Hスタッフの健康状態(疲れ具合など)について把握している。
I「自分の意見を話す」よりも「質問して話を聞く」方が上手である。
Jいくら忙しくても、リクエストされればスタッフのためには必ず時間を割く。
Kスタッフの強みを5つ以上挙げられる。
(参考文献:「ポジティブフィードバック」ヴィランティ牧野祝子・著 あさ出版)

画像
店内セールスコンテストで客単価アップ

 前述した教育チームの役割は、1ヵ月間の新人教育、教育動画の作成、商品知識テスト(新人・中堅・ベテラン用)作成など。テストは、ウルフギャング・ステーキハウスの歴史、商品やワインの知識を学び、確認するためのもの。
 またホールでは、セールスコンテストを毎月行っている。担当テーブルの客単価を上げ、売上向上に貢献したスタッフにはポイントが付く。ポイントの上位3人が朝礼で表彰され、ウルフギャングの食事券(1位3万円、2位2万円、3位1万円)が与えられる。
 またフリーター上位3人、学生アルバイト上位3人、さらに最も成長した人やなかなか日が当たらないが頑張った人などをMVP表彰する。表彰に毎月15万円かけているのだ。
 表彰されると、家族で食事に来てくれる。ご両親は子どもの職場と仕事に誇りを持ち、応援してくれるようになる。表彰されなかったスタッフも、友人や家族と一緒に来店してくれる。「スタッフがよく食べに来てくれる店は、良い店である」というのは、梅澤ゼネラルマネジャーの持論である。
 彼の将来の夢は、ハワイの店のゼネラルマネジャーになることだ。また、「部下の社員の中から次のゼネラルマネジャーを出したい」とも語ってくれた。

 月商1億2千万円を誇る、日本を代表する素晴らしいステーキハウスの取材だった。
 ありがとう、梅澤ゼネラルマネージャー。幸せと出会えるテーブルで、これからも感動を与え続けてください。