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コロナ禍でも好調、3つの要因

 舌賛大手町店は大手町プレイスビル内にある。このビルで働く従業員の総数は21000人(日本郵便、NTT、住友商事など)。コロナ禍でオンライン業務となった人が多く、出社する人が8000人にまで減ったにもかかわらず、大手町店は月商1300万円と好調をキープしている。その主要因は次の3点だ。
1.神戸牛焼肉(舟盛り)の商品力
 看板メニューは@名物!一頭日本橋盛り21450円(4人前)、A神戸ビーフの炙り焼き三種盛2475円、Bシャトー・ぶり!タン塩6545円。一頭日本橋盛り(写真)はイインスタ映え間違いなしのインパクトを放つ、まさしく「心おどる」商品だ。フードシェアは30%。4名以上のグループの7割が注文するという、圧倒的なメニューである。
2.ゆとりある店舗運営
 竹内店長の店長方針は「全てにおいて100%を目指す!」。行動力、所作、笑顔、ホスピタリティー等々、あらゆる面で100%を目指すのは、高級焼肉店としての自負があるからだ。コロナ禍でも人件費はカットせず、きめ細かいサービスの提供(優れた接客とクオリティーの高い料理)を貫いてきた。
 スタッフもそれを自覚しており、誇りをもって働いているため、オペレーションの安定はもちろん、スタッフの定着率も高い。こうして高い顧客感動満足度を保っている。
3.アトモスフィア
 大手町店の店舗空間には高級感が漂っている。空間だけでなく、トータルなアトモスフィア(雰囲気・居心地)が大事だと竹内店長は言う。アトモスフィアを良くするのは人だ。店長は毎日こまめにスタッフに声掛けしてほめ、全員のモチベーションを高めている。このため店の空気感やチームワークは抜群である。

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アルバイトの教育はアルバイトに任せる

 竹内店長はアルバイトにあたり、学歴や経験を問わず、夢や目標の明確な人を採用している。また「舌賛に入って何をしたいか? 何ができるようになりたいか?」を聞く。しっかりとした考えがある人には「いつからでも来ていいよ」と本人に任せる。来てくれたら全力でバックアップするつもりなのだ。このようにして採用した人は簡単に辞めないと、竹内店長は語る。
 新人教育は、まずは店長から店のコンセプトやハウスルール、飲食の基本など、根幹の話をする。それから後の具体的な教育は、先輩アルバイトに任せている。任せることでスタッフ自身の責任感が向上し、成長へとつながるからだ。

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お客様との嬉しいエピソード

 竹内店長は五反田店(本店)で社員になった。バイト経験が長かったおかげもあってか、一度来店したお客様のことは絶対に忘れなかった。どこのテーブルで、どなたと来店し、どんなオーダーだったのかも(ドリンクや締めのメニューまで)覚えられるのだ。(すごい集中力ですね!)
 他店へ移動し、数年後五反田店に戻った時、常連のお客様から「あ! 竹内くん」と呼ばれたそうだ。竹内店長はこのお客様のことはもちろん、お子様の誕生月も覚えていて、誕生日に来店された時にはサプライズで肉をバラの花びらのように飾り付け、花火を点けて提供し、とても喜んでいただいたという。
 このお客様とはいろいろな会話をした。自分も子どもが生まれるという話をしたところ、次の来店時に、子どもの名前が入ったかわいいよだれかけをプレゼントしていただいた。とても嬉しかったと店長。いつもお客様の誕生日祝いをしているせいか、店長自身も誕生日プレゼントをいただくことが多いとのことだ。

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一度も怒ったことがない店長

 スタッフとのコミュニケーションの基本は、全員への毎日の声掛け。一瞬のすれ違いであっても、元気を与えるような言葉を掛ける。
 新人スタッフがお客様にきちんと商品説明をして舟盛りの注文を受けてきた場合は「すごいじゃん!」とほめ、お皿をいっぱい下げてきたら「やるじゃん!」とねぎらい、スタッフが髪形を変えたら「めちゃ似合っているよ!」と声掛けする。
 先日も、大学1年生の新人に「○○君が今の気持ちのまま仕事を続ければ、3〜4年生になった時、この店のトップになれるよ。きっとその時にはやりたいことは何でもできるようになっているよ」とアドバイス。このスタッフはとても嬉しかったようだ。
 竹内店長は一度も怒ったことがないという。例えばスタッフが私語・雑談をしていたら、怒らずに「疲れている?」と聞く。何か不具合がある時は「なぜ?」とだけ聞く。これだけでスタッフには店長の意図が伝わるらしく、自分で問題点を自覚し、どうすべきか考えるというのだ。「私に圧があるのかもしれませんね」と店長は笑う。その店長の口癖は「私がフォローするから好きにやっていいよ」。だからスタッフはいつだって店長を信頼し、安心してのびのびと仕事をしているのだ。
 「片瀬社長に明確なビジョンがあるから、うる虎ダイニングにはワクワク感があります」と語る竹内店長。海外出店が始まる予定なので、そのトップになりたいというのが、竹内店長の今後の夢だ。
 ありがとう、竹内ブランドマネジャー!